Rie Iida

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世界の郷土菓子専門店、ジャーニーが三軒茶屋にオープン

世界の郷土菓子専門店、ジャーニーが三軒茶屋にオープン

世界の郷土菓子専門店のジャーニー(JOURNEY) が、2021年11月18日に三軒茶屋の太子堂中央街にオープンした。オーナーは、50カ国以上を旅して周り、出合った郷土菓子は500種以上という林周作。1号店となる原宿のビノワカフェ(Binowa Cafe)とは違って、こちらはテイクアウト専門だ。ショーケースには世界各国の味を再現した生菓子が常時9、10種類、焼き菓子が7、8種類ほど用意されており、2カ月で定番以外の菓子が入れ替わる。 林周作(Photo: Kisa Toyoshima) カフェでは設備の問題で作ることができなかったさまざまな商品が作れるようになっており、今後はこちらをメインキッチンとして、林が長年作りたかった菓子をさらに追求していく。 取材日(12月6日)はフランス、アルザス地方の『マナラ』(200円)という男の子の形をしたブリオッシュが1日限定で登場。同日は、サンタクロースのモデルになっている聖ニコラウスを祝う伝統的な祭りの日で、菓子を通じて世界の祭日や文化を伝えている。それぞれの季節やストーリーに触れながら、さまざまな地域の郷土菓子を楽しんでほしい。 『マナラ』(Photo: Kisa Toyoshima) ぽってりとしたフォルムのシュークリームはラトビアで出合った『ビエスピエナ ヴェイエクーカ』(550円)。クリームにはカッテージチーズとアプリコットのコンポートが入っていて、チーズのコクとアプリコットの酸味が相まって抜群のおいしさだ。カスタードクリームがメインのものとは全く違う爽やかなシュークリームで、同店の定番生菓子となっている。 『ビエスピエナ ヴェイエクーカ』(Photo: Kisa Toyoshima) 焼き菓子は、スペシャリテである『カヌレ』(500円)と『スコーン』(300円)をぜひ味わってほしい。カヌレは外はカリッと中はもちもちの食感で、一口食べるごとに芳醇(ほうじゅん)なバターの香りが口いっぱいに広がる。年末までは栗が丸々1個入った限定カヌレ(600円)も販売しているので、見逃さないように。 『カヌレ』と『スコーン』(Photo: Kisa Toyoshima) スコットランドで生まれたスコーンは、全粒粉を使っているのでザクザクとした歯触りが特徴的。シンプルながらも粉の味わいが癖になると、根強い人気を誇っている。 ほかにも、オーストラリア&ニュージーランド生まれのメレンゲ菓子『パヴロヴァ』(650円)は、サクサクのメレンゲに生クリームとフルーツが乗った華やかなケーキ。カフェで人気のスウェーデン発『プリンセストルタ』なども並んでいた。 Photo: Kisa Toyoshima ショーケース横には日持ちのする焼き菓子コーナーがあり、中でもおすすめなのがアゼルバイジャンを代表する餃子のような菓子『シェチェルブラ』(400円)。粗い砂糖の中にクルミのコクとカルダモンの香りが相まって、中東のエキゾチックな香りが楽しめるパイ菓子だ。 Photo: Kisa Toyoshima 冬にはスパイスや酒のきいた重めの菓子、夏になると暑い国やアジアの菓子と、季節によってラインアップが変わるのも同店ならでは。ボックスに詰め合わせて手土産にするのもいいだろう。 旅先で出会った郷土菓子と店の人々を撮影した写真がショップカードに(Photo: Kisa Toyoshima) 「旅が好き過ぎて行けない状況が辛い」と語りながらも、国内にいる今だからこそ「今年は100種類の郷土菓子を作る」という目標を設定した林(そ
バクテー専門の次世代自動販売機が北区十条のA1肉骨茶に登場

バクテー専門の次世代自動販売機が北区十条のA1肉骨茶に登場

コロナ禍で今急速に飲食店で普及しているのが「次世代自動販売機」。冷凍システムを導入することで、個人店、チェーン店に関わらず手軽に設置でき、ユーザーも24時間好きな時に買えるという利便性が話題で、来年のヒット予測ランキングにも入っている。そんな話題の次世代自動販売機が、北区十条銀座にあるバクテー(肉骨茶)専門店、 A1肉骨茶(エーワンバクテー)に設置されたと聞いて、早速現場へと足を運んでみた。 Photo: Rie Iida バクテーとは、豚のスペアリブをニンニクと漢方でとろとろになるまで煮込んだスープで、ご飯と一緒に食べるマレーシアのローカルフード。現地では日本のラーメン屋同様、バクテー屋が至るところにあり、それぞれの店によって野菜や漢方の配合が異なるそうだ。 Photo: Rie Iida   同店では、マレーシアのスパイスメーカーであるA1社が日本人向けに18種類の薬膳を配合したスパイスを使用。イートインでは、『元祖 あっさり骨肉茶』『濃厚肉骨茶』『コク旨 味噌肉骨茶』の3種類のオリジナルバクテーを展開している。 店主の橋本俊英(左)、聡美夫婦(Photo: Rie Iida)  「日本で誰もが知っている味にしたい 」という思いから、バクテー伝道師として2013年にオープン。本場の味が楽しめると定評があり、遠方から足繁く通う常連客も多いそう。 しかし、今回の営業自粛要請において客足も遠のいてしまったため、思い切って冷凍システムを導入し、自動販売機の設置を決めた。コロナ対策はもちろん、スープを無駄にしないフードロスの面でも良い結果につながっているそう。自動販売機には常時『元祖 あっさり骨肉茶』と『濃厚肉骨茶』の2種類のバクテーと、店主の故郷である群馬のおいしいものを紹介するコーナーを設けている。 Photo: Rie Iida 早速、『元祖 あっさり骨肉茶』(1,200円)を購入してみると、中には肉ごと冷凍されたバクテーと、薬味としてニンニクとダークソイソース、青唐辛子(と、おいしい食べ方の解説も)が入っていた。 作り方は簡単で、沸騰した鍋で10〜15分湯せんするだけ。土鍋でグツグツと温め直すと、ぐっと気分も盛り上がるはず。ソースや薬味でイートインと同じように、スープを「味変」できるのもうれしい。 Photo: Rie Iida 熱々にして白ネギとパクチーを添える。想像以上にあっさりとしており、肉厚なスペアリブがスルッと骨から抜けるので、食べやすい。薬膳の効果もあってか、体がすっかり温まった。今の寒い季節にぴったりだろう。 食べ方としては、最初そのままのスープと肉を味わい、次にスペアリブに特性ダークソースを付けて楽しむ。さらにスペアリブにニンニクとチリソースを加え、最後はスープの中にご飯を投入するのが本場流だ。 Photo: Rie Iida 家で調理する場合は、レタスやコマツナなどの野菜を入れたり、豆腐や春雨を入れたりして、よりスープっぽくアレンジすることもできる。 店の味を自分好みにカスタマイズできるのも次世代自動販売機ならではの楽しみなので、ぜひトライしてみてほしい。 エーワンバクテーの詳細情報はこちら 関連記事 『池袋、エスニックの名店7選』 『インドカレーのデリーが工房併設のアトリエデリーを湯島に開店』 『東京、チャイスタンド7選』 『本格パキスタンスイーツとデリの宝庫、新大久保のアジアンスーパーが話題』 『モロッコ人が通う、東京のハラルレストラン7選』 東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンで
まさにリアル版ブラタモリ?「すみだメタ観光」公式ガイドツアーに参戦

まさにリアル版ブラタモリ?「すみだメタ観光」公式ガイドツアーに参戦

新しい観光の形として注目の「メタ観光」。文化的資源の価値を歴史的意義だけでなく、アニメの聖地や「インスタ映え」、微地形など複数のレイヤーで楽しむ観光のスタイルで、墨田区でも「すみだメタ観光祭」と称してさまざまな取り組みを展開している。その集大成として2021年12月12日に、初の公式ガイドツアーが開催された。 鳩の街商店街(Photo: Rie Iida) キュレーターは凸凹地形を研究する「東京スリバチ学会」会長の皆川典久。『東京23区凸凹地(高低差散策を楽しむバイブル)』(昭文社)を監修し、微地形のエキスパートとして『タモリ倶楽部』や『ブラタモリ』などにも出演している。ここでは古地図や凸凹地図を頼りに、「メジャー観光地には行かない」2時間半のブラタモリ的ツアーの内容を少し紹介しよう。 手がかりを探しながら歩く 行徳道、わずかに微高地となっているそう(Photo: Genya Aoki) 曳舟駅からスタートし、まずは1955年に暗渠(あんきょ)化した曳舟川を目指す。一見、なんてことない道を歩いていても「ここは江戸時代に塩を運ぶために整備された行徳道で、地図上では微高地なんですが……分かりにくいなぁ(苦笑)」と、終始イヤホンを通じて皆川節を聞きながら歩くことができる。 ちなみに、皆川がフィールドワークを行っているのは凸凹した「スリバチ地形」だが、墨田区は平らな「マナイタ地形」。その対比がガイドの至る所にあって、マニアックな視点がとにかく新鮮で面白い。 Photo: Genya Aoki 次は地元のパワースポットでもある、室町時代の応仁2(1468)年に創祀(そうし)された高木神社へ。ここはムスビの神であることから「むすび石」を御朱印と共に授与していて、お守りや絵馬などあちこちにおにぎりのモチーフが点在している。各自参拝を済ませると、暗渠化した古川という農業用水路を経由し、鳩の街通り商店街へ向かう。 鳩の街商店街、古民家を生かしてカフェなどにリノベーションしている姿も(Photo: Genya Aoki)   細い路地がある鳩の街商店街だが、かつて町工場で働く労働者たちの遊興の場として誕生。戦後は米兵の施設になり「ピジョン・ストリート」と呼ばれていたので、今の通り名に。古い建物には色街時代の面影を残すものもあり、さまざまな歴史の痕跡を探しながら歩く。 路地に入り暗渠らしさを探していく(Photo: Rie Iida) 墨田区は、見晴らしのいい大通りならどこからでも東京スカイツリーを望みながら歩けるが、そこをスッと路地に入って暗渠に残る風景を探し歩くのが皆川流。「塀やコケの生え方などから、暗渠らしさを見つけてほしいのですが……、なにせ低地は見つけにくいですね」と、これまでスリバチ的な街歩きをしたことのない筆者にとっては、目からうろこの視点ばかり。 味覚を通じて想像が膨らむ 長命寺桜もち(Photo: Rie Iida) 徳川家光が鷹狩(たかが)りの時に寺の井戸水で命を救われ、社号を変えたという慶長18(1956)年創建の長命寺を訪れ、その裏手にある創業300年の長命寺桜もちで小休止。隅田川の土手に咲いている大島桜の葉を塩漬けにした桜もちを考案した店主が、長命寺の門前で売り始めたのが始まりだそう。以来、創業時から変わらない素材と製法で作られている。 長命寺桜もち(Photo: Rie Iida) 早速、葉を外して口に運んでみると、薄い餅に移った桜の香りとこしあんの風味が絶妙で、ツアーの中盤にちょうど良いブレイクタイムになった。