Michikusa Okutani

Michikusa Okutani

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台中から旗の台へ、台湾の町パン職人の名店「阿美パン」が商店街に溶け込むまで

台中から旗の台へ、台湾の町パン職人の名店「阿美パン」が商店街に溶け込むまで

タイムアウト東京> Things to do > International Tokyo >台中から旗の台へ、台湾の町パン職人の名店「阿美パン」が商店街に溶け込むまで 16世紀、鉄砲とともにポルトガル経由で伝来したというパン。日本でも愛好され、オリジナルに忠実な味が追求されている。その一方で、焼きそばパン、あんパン、カレーパンといった、日本人の感性で魔改造された和風パンの名作も誕生した。 お隣の台湾でも、パンは好まれて食される日常食だ。短期の観光旅行などでは、小籠包や滷肉飯(ルーローハン)、麵線といった中華系の食に目が行ってしまうが、現地では、パンは朝食の定番。さらに魔改造された台湾風パンも日本同様にいろいろあり、町のパン屋をにぎわせている。 代表的なのは「肉鬆麵包(ロウソンミェンバオ)」と「香蔥麵包(シャンツォンミェンバオ)」あたりか。肉鬆麵包は台湾の定番食材で、豚肉を使った肉でんぶ「肉鬆」をパンに乗せたものだ。ネギパンは文字通り塩味の刻みネギを乗せたパン。どちらも総菜感覚が楽しい。肉鬆麵包は甘しょっぱい肉でんぶとパンの取り合わせが日本人には斬新で、好みが分かれやすいが、香蔥麵包は馴染みやすいはずだ。 台湾パンの見た目は総じて地味め。そのせいか、日本で食べられる機会は台湾ブームの続く今でもあまりない。そういった状況の中にあって、旗の台にある「阿美(アメイ)パン」は、東京で「ガチ」の台湾パンにありつける希少な店である。 関連記事『International Tokyo』
東京、ガチ豆花専門店5選

東京、ガチ豆花専門店5選

豆花(ドウファ)は台湾の定番スイーツ。豆乳に凝固剤を加えて固めたもので、ほの甘いシロップとトッピングを添えて賞味するシンプルな伝統食である。主に15時以降の気軽なおやつというポジションで、夜の締めの一杯なんていうのもイケる。店も屋台から大型店まで無数にある。 製法は豆腐に相通じるが、スイーツの方へ舵を振り切っているのが興味深い。ヘルシーかつ素朴な味わいは初めてなのにどことなく懐かしく、和菓子に通じる穏やかなおいしさがある。近年台湾ブームの波に乗って注目され、台湾の有名店も上陸、コンビニに登場したこともあるし、日本で定着しつつあると言っていいのではなかろうか。 製法がシンプルだから手軽に作れそうだが、こだわりだすと豆腐同様に深い沼にハマる。豆乳の木目の細かさ、凝固剤の種類、固めるタイミング、シロップとトッピングの味付けなど、そういったこだわりがおいしさに直結するのだ。また温と冷、両方のタイプがあり、それだけでも風合いが違ってくる。 冷えた豆花がことさらおいしく感じるの今の時期。「豆花」の文字を店名に掲げ、都内で現地そのままの味を追求する、ガチな豆花作りにこだわる個人経営の名店5軒をセレクトしてみた。 すでに名を成している有名店も少なくないので紹介に加え、東京在住の食いしん坊台灣人に試食してもらった。日本と台湾のスタンスの違いをふまえつつ、食べて回った現地人目線のジャッジはいかに? Photo : Keisuke Tanigawa王韋利 今回の食いしん坊台灣人・王韋利 台北出身2009年来日、不動産業の傍ら中国語教師を勤める。持ち前の食いしん坊スピリットで台湾屋台や家庭料理の美味を伝えるべく奮闘。職業柄、都内各地の土地柄に広く精通、食にも詳しい。
チャレンジャーな台湾人が本格台湾サンドイッチ店「グエィニン」を恵比寿にオープン

チャレンジャーな台湾人が本格台湾サンドイッチ店「グエィニン」を恵比寿にオープン

タイムアウト東京 > Things to do > International Tokyo >チャレンジャーな台湾人が本格台湾サンドイッチ店「グエィニン」を恵比寿にオープン 朝、台湾の街をのんびり散策しているとよく目にするのが「早餐店(ザオツァンディエン)」。朝ごはん専門店だ。朝食を外で済ませる習慣のある台湾ならではの商売で、早朝から14時ごろまで営業している。年季が入った小ぶりな店が多く、客が豆乳をすすっていたり、はたまたテイクアウトしていったりするのが日常風景となっている。ことにサンドイッチは朝食の代表格で、台湾ではモスバーガーですら朝にサンドイッチを出しているほどだ。 Photo: Keisuke Tanigawa「台湾ホットサンド」 現地の言葉で「三明治」と表記するサンドイッチは、見かけは日本のものと変わらず、地味なので観光客はあまり手を出さない。だがこのサンドイッチ、台湾化した独特の味わいが魅力的で、試してみるに値する台湾美食の一つなのである。 2022年8月。純度の高い台湾の美味を提供する早餐店「グエィニン(guenin)」が、台湾ブームの波に乗って恵比寿に上陸を果たした。東京で活躍する外国人にインタビューをしていくシリーズ「International Tokyo」。第8回は、店主の陳煥竣(チン・ファンジュン)が恵比寿に店を開くまでの意外なストーリー、そして、台湾サンドイッチがどれほどおいしいものなのか、その魅力を語ってもらった。
神楽坂でしかできない20のこと

神楽坂でしかできない20のこと

タイムアウト東京 > ご近所ガイド > 神楽坂でしかできない20のこと 和を中心に幅広いジャンルの飲食店が、坂道の織りなす変化に富んだ景観に溶け込んでいる街・神楽坂。スイーツ専門店だけも約30店舗。食のみならず、新潮社を筆頭に出版社が密集する本の街でもあり、今の時代であっても独立系書店・新しい古書店が点在、ギャラリーも多数見られ、文化的素養も高い。 オツな和雑貨店も潜んでいて油断ができない。都心のただ中にありながら神社仏閣や石畳の路地も散見され、昔ながらの風景が残す落ち着いた雰囲気もこの街の魅力の一つだ。 脇道をさまよう程に面白みのいや増す大人の迷宮。海外からも熱い視線を集めつつあるそんな神楽坂はそれゆえにとっかかりを見つけるのが難しい。この地ならではのスポットを、ビギナーからツウ向けまで幅広く紹介しよう。 関連記事『神楽坂、プチフランスガイド』
東京で楽しむリアル台北旅行24時間(夏編)

東京で楽しむリアル台北旅行24時間(夏編)

タイムアウト東京 > Things to Do > 東京で楽しむリアル台北旅行24時間(夏編) 日本における台湾人気が止まらない。往来をコロナ禍にふさがれ、現地を気楽に訪れることができない飢えが拍車をかけるのか、台湾関連のフェスティバルは都内各所で次々に開催され、軽食やスイーツを供する店が着実に増えている。 台北から現地直送の本格店が上陸する一方、イメージ優先の「台湾風カフェめし」を出す店がもてはやされ、今や玉石混交の状態だ。「哈台族(ハータイーズー=台湾マニア)」のはしくれとして、台湾人も通う現地そのままの味や雰囲気が味わえる場所を都内から厳選し、台湾(具体的に台北)旅行気分で散策できるルートを組んでみた。台湾と変わらぬ夏の暑さが続く近頃の東京。台湾気分で楽しく乗り切ろう。 関連記事『東京、リアル台湾を味わう店13選』
新宿の本格台湾料理店で激レアな伝統的人形劇「布袋劇」を賞味する

新宿の本格台湾料理店で激レアな伝統的人形劇「布袋劇」を賞味する

東新宿は、近くにある歌舞伎町ゆかりの台湾人が多く暮らしてきたエリアである。2022年2月、そこに本場濃度の高い台湾屋台料理の店、台湾小館が登場。すでに東京で暮らす台湾人の間で話題になっている。 明治通り沿いの真新しい3階建ての建物に掲げられた、東洋趣味のノスタルジックな大看板が目印。「民以食為天(人にとって食が何よりも尊い)」「吃飯我最大(メシ時はオレ様がナンバーワン)」といった意味合いの大仰な標語が、ユーモラスに添えられているあたりからムード満点だ。 メニューは、台湾に数度足を運んで屋台料理を満喫し、より現地度の高い美味に箸を伸ばしたくなってきた向きにはたまらぬ品ぞろえ。観光客定番の小籠包からディープな黑白切まで食べられるのだから驚く。さらにこの店では「布袋劇」の定期開催まで始めている。 ここでは、実際にどんな劇が楽しめるのか、その魅力とは一体何なのかを紹介しよう。

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ガチ度トップクラス、高田馬場に台湾一人鍋店「臺所」がオープン

ガチ度トップクラス、高田馬場に台湾一人鍋店「臺所」がオープン

「火鍋(フォグゥオ)」とは中国語で鍋の総称。中国系の人々はおしなべて鍋料理が好きなようで、年中温暖な気候を保っている台湾においても例外ではない。食べる時期もオールシーズンで、夏場に「今日は暑いから火鍋に行こうぜ」なんてせりふが当たり前に行き交う。 食いしん坊が集まっている台湾では、大陸から持ち込まれた火鍋がバージョンアップされたり、オリジナルの火鍋も豊富にあったりして、旅行ではとても食べ切れない。まだまだ日本では知られざる鍋が潜んでいるのである。 Photo: Kisa Toyoshima 2023年12月8日に高田馬場でプレオープン、12月18日(月)にグランドオープンを迎える「臺所(たいところ)」では、そんな台湾ならではの火鍋を気軽に味わえる。手がけたのは、新宿駅前で台湾人客が列を作る台湾軽食の名店「合作社」だ。もちろん、期待を裏切らない味に仕上がっている。台湾ではスタンダードな「一人鍋の店」をうたっており、同店でも1人用サイズの鍋で供される(別々の鍋が食べられる2人用もあり)。 Photo: Kisa Toyoshima 場所は高田馬場駅から徒歩1分、飲み屋街のただ中にあるスタイリッシュなビルの3階。周囲の飲み屋の雰囲気と適度に距離を置いた店内は、白を基調とするカフェと見まごうしゃれた造りである。メニューを張り巡らせたような台湾料理店とは一線を画している。 Photo: Kisa Toyoshima 台湾製白タイルを壁面に敷き詰め、表示類の文字も本場であつらえたもの。今の台北辺りの街角の息吹をそのまま持ち込んだかのような明るい異界だ。 Photo: Kisa Toyoshima「石頭鍋」 鍋は4種類あるが、まず味わうべきは「招牌(ジャオパイ=看板商品)」の「石頭鍋」(1,680円、以下全て税込み、小ぶりなご飯付き)。台湾の代表的な鍋料理で、この火鍋店で街があふれかえった時代もあるという。 Photo: Kisa Toyoshima 作り方が独特だ。鍋にまずごま油を入れて肉を炒める。頃合いを見て特製スープを注ぎ、野菜や具材を投入、煮込んだものを中国醤油ベースのつけだれで味わうというもの。炒めた肉を鍋のスープのだしに利用するのがミソで、香ばしいごま油と相まって、普通の鍋とはひと味違ったコクが生まれる。 Photo: Kisa Toyoshima「焼酎鶏鍋」 そのほかに3種類ある鍋は、主役となる素材にそれぞれ特徴がある。「焼酎鶏鍋」(1,980円)は台湾定番の料理酒、米酒(ミィジゥ=米焼酎)を鍋に投入。煮詰みつつ、火を付けアルコール分を飛ばし、鶏肉と具材諸々を加え、鍋を調える。 Photo: Kisa Toyoshima かすかなほろ苦さとほんのりした甘味が魅力の大人味。こと寒い時期にはもってこいで、体の温まる一品だ。 Photo: Kisa Toyoshima 「沙茶白菜鍋」(1,680円)も台湾の定番調味料、沙茶酱(サーチャージャン)を使った鍋。沙茶酱とはニンニク、エシャロット、唐辛子、干しエビなどを加えた甘辛い調味料である。炒めものなどにもよく使われており、調味料に加えられたさまざまな食材が、独特のコクと風合いを生み出す。 「剝皮辣椒鍋」(1,980円)は、前もって説明がないと手を出しにくい鍋といえるだろう。なにせ、オクラサイズの「剝皮辣椒(ポーピーラージャオ=青唐辛子の漬物)」が主役の鍋なのだ。鍋に丸ごと浮いている唐辛子のビジュアルは、いかにも激辛チックだが、辛さはほぼない。具材としておいしい上に
東京に押し寄せる台湾式朝食ブーム、大阪の話題店「ワナマナ」が飯田橋にオープン

東京に押し寄せる台湾式朝食ブーム、大阪の話題店「ワナマナ」が飯田橋にオープン

外食文化が発達している台湾では、「早餐店(ザオツァンディエン=朝食専門店)」があちこちにあり、住民の定番スポットとなっている。そんな早餐店を体験できる本格的な店が、ここ最近都内で地道に増えている。2022年8月の恵比寿の「グエィニン」 、2023年2月には池袋の「豆乳専科」、そして4月に開店した飯田橋の「ワナマナ」である。 Photo: Kisa Toyoshima ワナマナの1号店は大阪で2021年にオープン。台湾スイーツカフェ・チェーン「台湾甜商店」を営む台湾人オーナーの経営で、店造りのセンスはそつがなく、味は限りなく本格志向だ。台湾人の間でも好評で、大阪店は行列の絶えない店となっている。 Photo: Kisa Toyoshima 飯田橋店の場所は、雑踏から一歩距離を置いた「飯田橋サクラテラス」の奥にある。台湾を思わせるのんびりした気配が漂う場所を選んだとか。ロケーションの演出からして心憎い。 Photo: Kisa Toyoshima ビルの中庭に面し、爽やかなグリーンを基調とするカフェ風の店内は、ガラス張りの壁越しに日射しが差し込み、明るく心地よい。これからの暑い季節は木の下のテラス席も良さそうだ。 Photo: Kisa Toyoshima 店内に入ると、内装に合わせたグリーンのTシャツで揃えたスタッフが、客に向かって「早安(ザオアン=おはよう)」と現地語で明るく声をかける。現地の早餐店は魅力的な反面、紛れ込むのにちょっと勇気がいるが、ここは一人でも入りやすい。旅行前の練習にもいいだろう。営業時間は8時から19時まで。午後早めには店じまいする現地の早餐店と違って、軽い夕飯やランチにも使えるのがうれしい。 Photo: Kisa Toyoshima 肝心のメニューは、搾りたての自家製豆乳各種に、現地よりも日本で大人気の「鹹豆漿(シェントウジャン=塩っぱい豆乳スープ)」、「燒餅(シャオビン=台湾風焼きパン)」、あっさりもっちりの「蛋餅(ダンビン=台湾式クレープ)」、台湾マヨネーズが決め手の「現烤吐司(シェンカオトゥスー=焼きたてトースト)」「饅頭(マントウ=まんじゅう)」など台湾朝食の定番がずらり並ぶ。いずれも気取らぬ、素直なおいしさである。 Photo: Kisa Toyoshima「鹹豆漿」 Photo: Kisa Toyoshima「燒餅」 おすすめは台湾式おにぎり 看板商品は「飯糰(ファントゥアン=台湾式おにぎり)」。「肉鬆(ロウソン=台湾風でんぶ)」にザーサイなど、さまざまな現地式具材を餅米で包み込んだもので、日本の太巻きの具で作ったおにぎりといった感じ。見た目は「映えない」が、ひと味もふた味も違うおいしさだ。 Photo: Kisa Toyoshima「招牌飯糰」 まず試してみるなら「綜合飯糰(ゾンフーファントゥアン)」がおすすめだ。具にざっくり刻んだ「油條(ヨウティァオ=台湾式揚げパン)」が入っているのが特徴で、さくっとした口当たりと塩味が餅米と意外なほどマッチ。燒餅の油條入りも、生地と揚げパンのサクパリ感が合わさってえもいわれぬ食感が楽しめる。 Photo: Kisa Toyoshima炸饅頭 スイーツ系も用意されている。飯田橋店で人気なのは「炸饅頭(ジャーマントウ=揚げまんじゅう)」。文字通り、まんじゅうを揚げて練乳やピーナツの粉をまぶしたもの。見た目ほどくどくはない素朴な甘みを味わおう。ほのかに甘い「タロ芋まんじゅう」も捨てがたい。秋口ごろにはネギや肉鬆を乗せたドメスティックな
日本の町パン文化が変わる? 老舗台湾サンドイッチ「洪瑞珍」が高田馬場に上陸

日本の町パン文化が変わる? 老舗台湾サンドイッチ「洪瑞珍」が高田馬場に上陸

台湾ラバーと在留台湾人が歓喜するニュースが飛び込んできた。高田馬場に、「三明治(サンミンチー=台湾サンドイッチ)」の老舗「洪瑞珍(ホンレイゼン)」が、直営のテイクアウト店を2023年4月26日にオープンしたのである。 三明治とは台湾サンドイッチの現地語の呼び名だ。見た目は地味だが、台湾流にカスタマイズされていて、油断のできぬおいしさを秘めている。ゆえに「台湾サンドイッチ」ではなく、あえて三明治と呼んで親しみたい。 Photo: Akane Suzuki左から「全粒粉ハム」「満漢」「チョコ(期間限定品)」 現地では朝食の定番の一つで、町のあちこちにある庶民的な早餐店(ザオツァンディエン=朝食専門店)で、気軽に手に入れることができる。「麥當勞(マクドナルド)」に次ぐ台湾出店数を誇る「摩斯漢堡(モスバーガー)」ですら、朝に三明治を供しているほどだ。 そんな中で最も知られているのが、1947年に創業した洪瑞珍の三明治だ。創始本店は台湾中部の北斗にあり、台北など各地に枝分かれして、出店している。レトロな包装のかわいらしさも手伝い、食してとりこになった旅行者は数知れない。 Photo: Akane Suzuki それもそのはず、洪瑞珍こそが三明治を生み出した店なのである。生みの親は洪宜杉(ホンイーシャン)。食糧難の時代に具材を極力減らしつつも味わい深いサンドイッチとして考案された。時代の必然が生んだミニマムの名作が、現代の食の嗜好(しこう)とマッチしたといえる。創始本店は洪宜杉の息子である洪峻聲(ホンジュィンシャン)が継いでいるが、洪宜杉も存命で今年94歳。存在そのものが創始店の証といえよう。 日本初の直営店舗 その洪瑞珍がついに日本に上陸。2022年に上野で開催された台湾カルチャーフェスティバル「TAIWAN PLUS」での試験販売では、2時間ほどで1000個完売の人気ぶりが注目を集めたこともあり、台湾ファンと在京台湾人の間ではオープン前から話題を集めていた。 Photo: Akane Suzuki 場所は名画座の「早稲田松竹」の向かい。赤いサンドイッチのマークが目印のスタイリッシュな建物だ。歴史も感じさせるシンプルながら、かわいらしい赤のパッケージは、従来は6個入りのみだったが、日本向けに4個用を新たに用意した。店員は全員台湾人で、オープンのため、創始本店で2カ月の研修を積んだ接客も心地よい。日本店にかける並々ならぬ思いが伝わってくる。 洪瑞珍日本代表の黃哲誠(ファンヂァチャン)によると「高田馬場はチャイニーズやタイワニーズが学生を中心に多く暮らしているため、台湾同様にデイリーユースもしやすいだろう」と同エリアに出店を決めたという。 Photo: Akane Suzuki 店はしゃれたカウンターの奥がキッチン。12時と15時と18時の3回、作り立ての三明治を店頭の冷蔵ケースに並べ、しっかり鮮度管理して販売する。 3層に分かれて挟まれた具材とパンの絶妙なコンビネーション 独特のコクともっちりした食感の食パンは、台湾に比べて乾燥しやすい日本の風土を考慮して、1年を費やして完成した特注品。これに薄いハムや、卵焼きなどシンプルな素材を特製マヨネーズ風ソースを絡めて挟み込む。パン・具・パン・具・パン・具・パンと、具が3層に分かれて挟まれているのが特徴だ。 Photo: Akane Suzuki 看板商品の「満漢(マンハン)」を見てみよう。中心にハムとチーズ。両側の層に卵焼き、いずれも特製マヨネーズを薄く塗り重ねてある。素朴極まりない。ひとか
台湾人が手がけるレトロな小吃食堂「合作社」の2号店が高田馬場にオープン

台湾人が手がけるレトロな小吃食堂「合作社」の2号店が高田馬場にオープン

2023年2月10日、高田馬場に本格台湾料理店「合作社」の2号店がオープンした。合作社は新宿駅南口近くに2021年オープン。現地そのままのおいしい小吃(軽食)を手軽にありつけるとあって、日本在住の台湾人や台湾マニアが詰めかけ、行列必至の人気を誇る店である。台湾人店主の黃(ファン)が古き良き台湾の味にこだわり、一品ずつ丁寧に仕上げていく。 Photo: Yui その勢いに乗ってオープンしたのが高田馬場店だ。店舗は2階建ての一軒家で、座席数は20席。メニューは本店の新宿店に準ずる形で展開。ルーロー飯、まんじゅうの生地にぶ厚い豚肉を挟んだ特製台湾バーガー、台湾人絶讃の台湾風唐揚げジーパイ、卵巻きダンピン(意外なうまさのポテト入りが人気)といった、日本にも浸透してきた定番の看板商品などが味わえる。 Photo: Yui このほか、台湾風揚げソーセージや、名前はおどろおどしいがクセがなく独特のもちもち感が魅力の「豚の血ケーキ」、独特のサックリ感が楽しい台湾揚げ出し豆腐、優しく温かい口当たりが新鮮な温仙草ゼリーとバラエティーに富む。飲み物も、タピオカミルクティーはもちろんのこと、タロイモのスムージー、豆乳紅茶などがおすすめだ。 Photo: Yui温仙草ゼリー Photo: Yui豚の血ケーキ 台湾好きなら、遊び心あふれる内装や小物にも目を向けてほしい。新宿店も現地の街角にそのままありそうなポップな内装と雰囲気が楽しいが、2号店はその経験を生かし、ディテールがより凝った仕様になっている。 Photo: Yui 入り口脇の郵便箱と住所表記から始まり、1階の壁面を覆う白とひすい色のタイルと、カウンターのレトロ柄の曇りガラスは希少な台湾製を使用。壁に並ぶアクリル板の品書きも現地で書いてもらったものだという。こういったこだわりが、リアルな現地感をさりげなく生み出している。 Photo: Yui Photo: Yui 2階はグレー基調のシンプルな造りだが、台湾らしさは失われていない。1〜2階の照明に記されたスローガンの数々に注目してほしい。台湾語(標準語とは別に昔から使われている福建系の中国語)で書かれているあたりが何ともディープである。 Photo: Yui Photo: Yui 意訳すると、「合作社一級棒」は「合作社はナンバーワンの美味」、「好酒沈甕底」は「美酒は瓶の底に潜む(逸品は最後に現れる)」、「食飯皇帝大」は「食べている時は皇帝だ(食事の邪魔をするな)」といったユーモラスな内容。もともと合作社の店名は「学校の購買部」のこと。台湾人ならではの遊び心あふれるセンスが発揮され、店の隠し味となっている。 Photo: Yui ほかにも、セルフサービスで使われる水用グラスには「乎乾啦(カンパイ!)」なんて刻まれているし、昔の映画館の掲示板をまねたボードで、おすすめ商品を告知するといった具合。そういったセンスの根底に流れるのは、古き良き台湾への憧憬(しょうけい)、現代における「柑仔店(ガマディアム)」の復活である。 Photo: Yui 柑仔店とは台湾におけるローカルなよろずや、雑貨店のこと。生活に不可欠なまき、米、油、塩、醤油、酢、茶を販売し、子ども向けの菓子なども扱う。日々、近隣の人々が訪れ、人情味あふれる昔ながらの社交場でもあった。しかし、時代の流れとともにコンビニエンスストアやスーパーに取って代わられ、「利便性と引き替えとなった味気ない雰囲気に息苦しさを感じていた」と黃。そうした中で「柑仔店の雰囲気を現代によみがえ
台湾の名物サンドイッチ「洪瑞珍」が上陸、キッチンカーで都内各地を巡る

台湾の名物サンドイッチ「洪瑞珍」が上陸、キッチンカーで都内各地を巡る

2023年2月12〜13日、「銀座松竹スクエア」に台湾の地元名物である三明治(サンドイッチ)のキッチンカーが出現した。1947年創業の老舗「洪瑞珍(ホンレイゼン)」のサンドイッチは、台湾で広く親しまれるソウルフードと呼べる人気の品だ。見た目は地味だが、台湾流にアレンジされた味わいは独特で、どこか懐かしく、日本人の口にもよく合う。ありそうでなかった味わいに、現地でとりことなった観光客は数知れない。 Photo: Michikusa Okuno「満漢(マンハン)」(ハム、チーズ、卵) ここ日本でも、2022年9月に上野恩賜公園で開催された「TAIWAN PLUS」で初上陸。250メートルもの長蛇の列となり、わずか2時間で1000個を完売、話題を集めたのも記憶に新しい。 Photo: Michikusa Okuno この度、そのサンドイッチが「台湾サンドカー」(キッチンカー)となって都内に登場。東銀座を皮切りに都内各地を巡行する。同店では、台湾そのままの味を手軽に楽しんでもらうべく、味の要となる甘みとコクのある独特な食パンをはじめ、具材や調味料を丹念に吟味(ぎんみ)し、1年かけて完全再現。かわいい包装を開くと具が3層に分かれて挟まっているが、これで一切れ。豪快にかぶりついてほしい。ハム、チーズ、卵焼きなどシンプルな具ながら、まろやかなマヨネーズ風のソースが特製のパンと合わさり、口内で奏でる絶妙なハーモニーがたまらない。 Photo: Michikusa Okunoパン生地がより味わい深い「全粒粉ハム」のサンドイッチも人気 場所や作れる量に限界があるため、現在は毎日300個限定。早めに訪れるのを勧めたい。看板商品の「満漢(ハム、チーズ、卵)」(390円、以下全て税込み)を筆頭に定番品は「ハム」「チーズ」「いちご」「ブルーベリー」(各320円)、「全粒粉ハム」「全粒粉チーズ」(350円)の6種類。迷った時は「4個入りセット(いちご、ハム、ブルーベリー、チーズ)」(1,200円)がいいだろう。 Photo: Michikusa Okuno 台湾サンドカーの今後の巡行予定地やスケジュールは公式Instagramでチェックしてほしい。2月24日(金)までは「来てほしい駅」を募集するプレゼントキャンペーンも展開中。抽選で、6種1セットのサンドイッチがもらえるチャンスだ。ぜひ参加してみてほしい(詳細はInstagramを要確認)。 このほか、2月15日(水)、17日(金)、22日(水)、23日(木・祝)、24日(金)の12時から「誠品生活日本橋」でポップアップショップを展開している。期間限定の「チョコ」(450円)も販売しているので見逃さず。さらに2023年春先には、高田馬場に実店舗もオープン予定だ。 新たなブームを生み出しそうな注目のサンドイッチ。一足早くチェックしてみては。 関連記事 『洪瑞珍』 『チャレンジャーな台湾人が本格台湾サンドイッチ店「グエィニン」を恵比寿にオープン』 『東京、リアル台湾を味わう店11選』  『新宿の本格台湾料理店で激レアな伝統的人形劇「布袋劇」を賞味する』 『東京、台湾スイーツ10選』 東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら
創業136年、福岡の老舗家具メーカー「杉工場」が神楽坂にショールームを開店

創業136年、福岡の老舗家具メーカー「杉工場」が神楽坂にショールームを開店

神楽坂上の知る人ぞ知るモダン古民家「一水寮」。登録有形文化財である建物を中心に、コアなショップやギャラリーが潜む注目のエリアに2022年11月25日、新たな店が加わった。家具メーカー「杉工場」のショールームだ。 同社は1886(明治19)年、福岡県うきは市吉井町で創業、たんすなどの家具作りから始まり、学校の生徒用机、椅子、跳び箱などの備品を手がけて全国へ納品するようになった老舗である。 「こども ビームス」のオリジナルデスクの製作など勉強机で知られているが、家庭用の机、本棚、椅子といったそのほかの製品も取り扱っている。「こどもから、大人になっても、それでも あたりまえに、そこにあるもの」を理念とし、どの品も自社工場で一括生産、天然木の肌合いを生かし、木とじかに触れ合えるよう、ウレタン塗装などはせずにオイル仕上げ(自然塗装)が基本。さらに金具類を極力排すことで耐久性を高めたり、香りが良く防虫効果のあるヒノキを引き戸の中に使ったりしている。見えない部分にまで職人技が込められた一生ものばかりだ。 Photo: Michikusa Okuno 定番商品は、いずれも郷愁感と若々しい創造性が巧みに同居している。必要とあればサイズや数が自由に揃えられるのも魅力だ。使い込んだ時の経年変化も楽しい。 Photo: Michikusa Okuno こういった家具の魅力は、実際に触れたり座ってみなければ伝わらない部分が多い。杉工場が東京にショールームを持つに至った理由もそこにある。「杉工場 神楽坂店」があるのは、一水寮の裏手にある元アパートをリノベーションした「柿の木荘」の1階。東京進出を考えていた折、タイミングが合って「ご縁」とばかりに決断した。 Photo: Michikusa Okuno店を営む杉明乃(左)、良子(右) ショールームを営むのは杉良子・明乃の母娘。青山なども検討したが、神楽坂の同地は、吉井町をほうふつさせるような落ち着いた雰囲気がいいという。 Photo: Michikusa Okuno吉井町の工場の土と一水寮の庭の土を合わせた土壁 内装と庭は、同郷のアーティストである杉謙太郎によるもの。店内はニュートラルな土間スペースと、生活感のある板の間スペースに分かれ、家具を異なった目線で吟味できる。入り口正面で目を惹くひび割れた土壁は、本社のある吉井町の工場の土と一水寮の庭の土を合わせたもの。この地に根を張ろうという決意がうかがえる。 Photo: Michikusa Okuno「復刻」シリーズの丸いす 同店で注目してほしいのは、かつて身の回りで使われていた家具の「復刻」シリーズ。杉工場の食堂で使われていた丸いす「食堂椅子-ナラ」(1万7,600円、以下全て税込み)や、福岡名物の屋台で使われる横長の腰かけ「屋台椅子-ヒノキ」(2万8,600円)などを復刻したものが並ぶ。当時の背景を探り、材や仕上げを分析検証。数ミリ単位の繊細な調整を繰り返して誕生した椅子は見た目も美しく、洗練された存在感がある。 Photo: Michikusa Okuno折りたたみ式作業用テーブル 新作家具も多いが、やはり懐かしい手触りを残すものが多い。テーブル幅を広げることができる折りたたみ式作業用テーブルなどもその一つ。メカニックな構造と木製の温もりが独特の風合いを生み出しているだけでなく、軽量化にも成功している。 Photo: Michikusa Okuno 商品はその場で持ち帰れず、注文後、早くて数日で吉井町の工場から届けられる。さらに、全ての商品はよ
神楽坂の変化するレトロアパートが舞台、改修前後を活用した現代アート展開催

神楽坂の変化するレトロアパートが舞台、改修前後を活用した現代アート展開催

「一水寮」は、神楽坂駅近くの住宅街にひそむ昭和期の名建築である。地元の建築家、故・高橋博が1951(昭和26)年に出入りの大工たちのために建てた木造2階建ての寮で、広く切った窓、縦ラインを強調した窓柵、年月を経たトタン板の風合いが相まって、独特の風格を漂わせている。 Photo: Michikusa Okutani一水寮 2013(平成28)年、登録有形文化財に指定。切妻屋根が美しい隣の母屋も同じく登録有形文化財となった。現在一水寮は、高橋の孫に当たるオーナーの鈴木歩によるプロデュースのもと、隣接する棟とともに複数の店舗と事務所が入居し、多目的に使用されている。 Photo: Michikusa Okutani柿の木荘 さらに同寮には、敷地内の裏庭に「柿の木荘」という建物がある。入り口脇の柿の木に由来するここは、1966年に賃貸アパートとして建てられ、2016年からは主に「アーティスト・イン・レジデンス」の滞在施設として使用されてきた。 だが、コロナ禍の影響のため現状での存続が難しくなったことから、1階、2階半分を賃貸スペース、2階半分を現行の滞在施設として残す改修工事を実施。建物の外観や、手すりの美しい屋内階段などは残しつつ、柱の補強なども行い、アトリエやスタジオ向きの開放的な空間に生まれ変わった。 Photo: Michikusa Okutani髙田安規子・政子「Inside out」 1階には新店舗が入居予定。さらに今回、このめったにないタイミングを使って、改修「前/後」にまつわる展覧会 「メディウムとディメンション:Liminal」が、2022年9月27日(火)まで開かれている。一水寮ともども、昭和の面影を濃厚に残す柿の木荘の改修に伴い、さまざまな形で時間と空間にアプローチするというものだ。 Photo: Michikusa Okutani古橋まどか「辻、朽ちる、生す」インスタレーションの一部 アパート時代に部屋数が12あったことにちなみ、同展をキュレーションした美術評論家である中尾拓哉の元に、選ばれた磯谷博史、長田奈緒、鎌田友介、佐々木耕太、鈴木のぞみ、髙田安規子・政子、玉山拓郎、津田道子、平川紀道、平田尚也、古橋まどか、山根一晃の12組の現代アート作家が参加する。 Photo: Takaaki Akaishi髙田安規子・政子「箒」 柿の木荘に残されていた引き出しやほうきを立体作品に仕立てた髙田安規子・政子。部屋の番号札や、柱に貼ってあった切手を原寸の立体作品として作り直し、気付かれないほどさりげなく展示する長田奈緒。その部屋にかつてあった風景を、室内に配置した映像で残響のように漂わせる津田道子の作品など、改修中の非日常と日常が入り交じる建物内の随所に仕掛けられた多彩な展示が並ぶ。 観賞時に渡される詳細なガイドブックを参考にじっくりと堪能してほしい。 Photo: Michikusa Okutani鈴木のぞみ「Other Days, Other Eyes : 柿の木荘2F東の窓(夜)」 Photo: Michikusa Okutani山根一晃「リフォーム」 ガイドブックのステートメントでは、同展を次のように紹介している。 「和製英語である『アパート』は一つの建物の中に別々に住まいがある住居を指し、本来の語である『Apartment』もまた『apart』、すなわち『(時間・空間的に)離れて』という意と無関係ではない。複数人の住まいとして同じ/別々の日常を繰り返してきた建物に存在した時間と空間を行き来しながら、
台湾プロダクトが集結、誠品生活日本橋に「台湾エクセレンス ポップアップストア」

台湾プロダクトが集結、誠品生活日本橋に「台湾エクセレンス ポップアップストア」

誠品生活日本橋で、2022年8月18日(木)〜10月17日(月)の2カ月間、「台湾エクセレンス ポップアップストア」がオープンする。「台湾エクセレンス(TAIWAN EXCELLENCE)」とは日本の「グッドデザイン賞」に相応する、優れた台湾ブランド製品に贈る賞のこと。今回は、受賞製品から代表的台湾ブランド21社104製品が展示販売される。 例年展示会のみを3〜5日間ほど実施していたが、今回初めて実際にその場で製品を購入できる店舗として展開する。「MIT(メイドインタイワン)」の逸品がこれだけ揃う機会はめったにないため、見るだけでも十分価値があるだろう。 画像提供:台湾エクセレンス ポップアップストア「エキスポ」 「毎日が楽しくなる台湾製品との暮らし」をテーマに、誠品生活日本橋店内の「エキスポ(expo)」「誠品生活市集」「フォーラム(FORUM)」の3つの売り場で展示・販売・イベントを実施。メイン会場となる「エキスポ」では、4グループに分かれて各所に受賞製品が展示されている。 食品販売ブースである誠品生活市集では電気釜やコーヒーメーカーを展示販売。フォーラムではオープニングセレモニーを行うほか、受賞企業の製品を体験できるワークショップを行う。 画像提供:台湾エクセレンス ポップアップストア「誠品生活市集」 日本初のリアル店舗 ここからは展示内容の一部を紹介しよう。「アクティブライフ(ACTIVE LIFE)」は自転車やアウトドア用品のコーナー。自転車は「ジャイアント(GIANT)」の製品などすでに日本でも評価され、浸透している分野だ。加えて、「ステップツーゴールド(Step2Gold)」が製作した、歩行を補助するつえがボタン一つで休憩用の椅子に変身し、900グラムと軽量化も実現した「タダチェアー(Ta-da Chair)」(2万1,780円、以下全て税込み)などを展示している。 画像提供:台湾エクセレンス ポップアップストア「タダチェアー」、2017年台湾エクセレンス銀賞受賞 「デジタルライフ(DIGITAL LIFE)」はパソコン、スマートフォン、充電器などのコーナーだ。こちらで紹介される「ライスイヤー(Rice Ear)」製の「ルフトデュオ(LUFT Duo)」(1万6,500円)は手のひらサイズで、軽量(250グラム)のポータブル空気清浄機。 1台で約12畳分の範囲に効果があり、臭いも除去できる。高級感のあるデザインも魅力的だ。 画像提供:台湾エクセレンス ポップアップストア「ルフトデュオ(LUFT Duo)」、2020年台湾エクセレンス賞受賞 「クリエイティブライフ(CREATIVE LIFE)」では文具、カメラ、オーディオスピーカーを紹介。石灰石を主原料とする新素材で作られた紙「ストーンペーパー」を使用した、「台湾ロンミン(Taiwan Lung Meng)」の特製ノート(6,050円)。紙に比べて優れた強度と耐水性を持つ。 画像提供:台湾エクセレンス ポップアップストア「ストーンペーパーノート」、2020年台湾エクセレンス金賞受賞 「ヘルシーライフ(HEALTHY LIFE)」は食器、マッサージ器、シャンプーのコーナー。「アセラ(ACERA)」が生み出したマグボトル「大豊収」シリーズ(1万6,280円)は、職人の技術で六角形のハチの巣と金色の小さな蜜蜂が立体的に浮き上がるデザインを施したもの。伝統的な台湾テイストを現代にマッチさせた工芸品としても優れた製品だ。特許技術の高温焼成セラミックによって、ミネラルウォータ
リサイクルにこだわる高感度インテリアショップ、FUNagainが谷根千に誕生

リサイクルにこだわる高感度インテリアショップ、FUNagainが谷根千に誕生

感度の高いオンリーワンの小店がさりげなく店開きしている刺激的な顔を隠し持つ谷根千(谷中・根津・千駄木エリア)。その外れ、不忍通りと道灌山(どうかんやま)通りが交差するT字路近くに2022年4月16日、ファンアゲイン(FUNagain)がオープンした。ここは、家具と雑貨を扱うリサイクルショップだが、いわゆる従来のリサイクルショップではない。 Photo: Kisa Toyoshima店主の高島大輔(左)と中山良子 ビームス(BEAMS)やエストネーション(ESTNATION)でレイアウトと商品構成を担当し、今も第一線で活躍する店主の高島大輔と、シップス(SHIPS)でバイヤーを務める中山良子が夫婦で営む店である。従来の仕事の傍ら、長年温めてきたアイデアを実現した場なのだ。 Photo: Kisa Toyoshima 家具を扱う以上、ある程度の広さが確保できて、かつ品物にマッチする店と場所を捜していたところ、折よく見つかったのが今の場所。使い込んだ白いキャンバストートのようなビルの壁面からして味わいがあり、扱う品々とよくマッチ。なるほど、街並みに悪目立ちせずシックな存在感を放っている。 Photo: Kisa Toyoshima その昔、地元クリエーター御用達の喫茶店だった頃の痕跡を残す店の内装もいい。元厨房(ちゅうぼう)のレジコーナーや、年月を重ねた組み木の床をそのまま生かし、むき出しにした壁面や天井に家具や食器、版画、つり下げたラグマットの束などが、適度な間を置いてセンス良く並ぶ。 Photo: Kisa Toyoshima Photo: Kisa Toyoshima 古物を扱う店は得てして暗く、雑多な雰囲気になりがち。しかし同店は、正面奥の壁面を鮮やかなピンクに塗りつぶし絶妙な差し色に仕立てている。アクリル素材の棚と時代物の木製ショーケースが違和感なく並び、食器類を色ごとにまとめて分散して展示するなど、センスを駆使して明るくヌケのいい空間を作り出す。店内レイアウト歴戦のプロである高島の面目躍如だ。 「チープ・シック」のライフスタイルをインテリアに Photo: Kisa Toyoshima 「長く洋服業界で働いてきて苦手だったのが『これはどこそこで生まれたディテールで、時代背景がこうだからそのアイテムと合わせるのは違う』みたいな教え。プロとして背景に詳しくいるというのは、理解できる。けれど、その知識にとらわれ過ぎて思考停止になっているのでは?と思うこともあって。インテリアにも同じようなことが多かれ少なかれあります。 こういう苦しみは、人の目や先人の作ったルールや価値観を気にしすぎることで生まれていて、それによって楽しくなくなっているのだとやっと最近気付きました。FUNagainはそういったジレンマから解放されて作ったお店です」 Photo: Kisa Toyoshima 従来の価値観や流行に左右されることなく、お気に入りを見つけて身に着け、長く楽しもうという「チープ・シック」のライフスタイル。1970年代に開花して、デニムなどの仕事着からミリタリー、古着やTシャツを日々の着こなしに取り込み、当たり前のものにしてしまったそのファッション哲学を継承しつつ、それを今日のインテリアの世界で展開しようという試みである。 Photo: Kisa Toyoshima 店で扱うのは、国内各地のリサイクルショップなどを探して賄う国籍や年代不問の品々だ。高島が直観で良いと感じた掘り出し物をセレクト。家具類は日常使いできるよう調整して