Kaoru Hoshino

Kaoru Hoshino

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Expo 2025 Osaka Kansai sneak peek: guide to the best ‘signature pavilions’ at the World’s Fair

Expo 2025 Osaka Kansai sneak peek: guide to the best ‘signature pavilions’ at the World’s Fair

With Expo 2025 Osaka, Kansai now open for visitors, it’s about time we took a close look at some of the most exciting structures and exhibitions you can experience on the artificial island of Yumeshima until October 13.  The vast Expo site is home to more than 180 pavilions created by a wide range of actors – from countries and international organisations to private companies. In this crowded field, some of the biggest standouts are the eight ‘Signature Pavilions’ located within the Grand Ring, the massive wooden structure encircling the site. These ambitious projects are spearheaded by leading Japanese figures representing diverse fields – from screenwriters to biologists. Guided by the Expo’s overarching theme of ‘Designing future society for our lives,’ each of the eight producers has infused their pavilion with a unique perspective. What these thought-provoking installations have in common is that they are all designed to inspire introspection and spark new ways of thinking about the future. Here are the deets on some of the most interesting signature pavilions at Expo 2025. RECOMMENDED: 10 unmissable things to do at Expo 2025 Osaka Kansai
タイムアウトマーケット大阪でしかできない8のこと

タイムアウトマーケット大阪でしかできない8のこと

タイムアウト東京 > Things to Do >タイムアウトマーケット大阪でしかできない8のこと 2025年3月21日(金)、大阪の最高峰の食と文化が一つ屋根の下で満喫できる「タイムアウトマーケット大阪(Time Out Market Osaka)」がオープンする。場所は、「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」の南館の地下1階だ。 「タイムアウトマーケット」とは、編集者がキュレーションした食と文化を体験できる世界初のフードマーケット。その都市を代表するシェフやレストラン、ユニークな文化体験が一堂に集結し、各都市のフードシーンのハブとして、拡大し続けている。 現在、北米・欧州・アフリカなど世界10カ所で展開されているタイムアウトマーケット。その11カ所目となるアジア初上陸の地として、大阪が選ばれた。この歴史的な開業に、世界中から熱い視線が注がれている。 大阪に新たに誕生するマーケットは、3000平方メートルを超える広大な空間に、全800席もの圧巻の座席数を完備。さらに、厳選された17のキッチン、2つのバー、ライブ演奏が楽しめるステージ、イベントルームを一つ屋根の下に集め、大阪の「最高」を凝縮した。 場内にはロングテーブルが配されているので、隣に座った人と思わず話が弾むこともあるだろう。 営業時間は11時から23時まで休みなくオープン。友人とのランチからディナーの後の2軒目としての利用まで、さまざまなシーンで気軽に楽しめるのが魅力だ。また、子ども向けメニューも用意されているのもうれしい。 実際に訪れると、スケールの大きさと、豊富な情報量に圧倒されるかもしれない。そこで、ここでは同施設で注目してほしい8つのポイントを紹介しよう。 関連記事『タイムアウトマーケット大阪のレストラン全店舗紹介』
8 best new attractions and facilities opening in Tokyo in 2025

8 best new attractions and facilities opening in Tokyo in 2025

They say change is the only constant in Tokyo. The capital has always been a city of reinventions – some voluntary, others forced – ceaselessly building to outdo itself. And just like in years past, 2025 will see plenty of shiny new facilities opened across the city. The decade-plus project to transform the Takanawa area will come to a culmination of sorts with the completion of Takanawa Gateway City, while Ikebukuro’s iconic Seibu department store will be reborn by way of a massive refurbishment project. We’ll also be getting a host of new hotels and a fun-looking manga museum way out east. Here are eight of the most attractive spots set to begin business over the next 12 months. RECOMMENDED: Discover Tokyo’s off-the-radar gems and best new bars in our new winter issue
三田でしかできない5のこと

三田でしかできない5のこと

タイムアウト東京 >ご近所ガイド> 三田でしかできない5のこと 江戸時代は大名屋敷や御家人の屋敷が並び、今でも風光明媚な土地として知られ、さらに学生街・ビジネスの中心地でもあり、活気溢れる現代的な街という一面も持つ三田エリア。 ここでは、国の重要文化財の建物の中にあるカフェや、非日常が味わえる新感覚の温浴施設など、一風変わった店を紹介しよう。この記事を片手に、バリエーション豊かな三田の街を散策してみては。
5 things to do at the new Ginza Sony Park

5 things to do at the new Ginza Sony Park

Glitzy Ginza has a new hotspot – and this one’s enjoyable without having to dig deep into your wallet. Opened on January 26, Ginza Sony Park is a hard-to-define structure right in the heart of Tokyo’s most storied destination for luxury shopping. Occupying the site of the original Sony Building from the 1960s, the multi-storey ‘park’ was built by the company behind the Walkman and PlayStation in an attempt to present the Sony brand’s philosophy in physical form.   But why set up a mixed-use public space without shops or other permanent tenants in a place like Ginza, where the surroundings are all but entirely dedicated to commerce? Ginza Sony Park tackles this question head-on, aiming to encourage revaluation and redefinition of the use of urban space in its neighbourhood. The facility is composed of three subterranean floors and five above-ground floors, and will host a regular programme of music and art events on the B2, third and fourth floors. Meanwhile, the B3 floor is occupied by a chic casual restaurant serving half-portion dishes – ideal when you’re looking for a quick bite. Aspiring to the status of urban oasis, the park boasts a spacious vertical interior where anyone can spend time as they like. Read on for five ways to enjoy this newly opened landmark. RECOMMENDED: Check out the best new attractions and facilities opening in Tokyo this year
Ginza Sony Parkでしかできない5のこと

Ginza Sony Parkでしかできない5のこと

タイムアウト東京 > カルチャー > Ginza Sony Parkでしかできない5つのこと 2025年1月26日(日)、銀座に新たな「公園」が誕生する。その名は「ギンザ ソニー パーク(Ginza Sony Park)」。同プロジェクトは、これまでにも音楽を持ち運べるようにした「ウォークマン®︎」や、ゲームを大人も楽しめる玩具へと昇華させた「PlayStation®︎」など、数々の独創的な発明で私たちの生活や文化に革新をもたらしてきたソニーが手がける。公園の設立は、ブランドの理念を建造物として具現化した大胆な試みだ。 「なぜ銀座にパブリックスペースを?」と思う人もいるだろう。しかし同施設もまた、都会に「余白」を生み出すユニークなアプローチで、人々の思考の変革を狙う。特定の目的が密集する銀座の街に、オープンスペースである公園を作るという挑戦は、目的が開かれているという点で、既存の価値観に挑むカウンターのようだ。 同施設は地下3階と地上5階からなり、定期的に文化イベントが開催される。地下3階には、スモールポーションで食事が提供される気の利いたカジュアルダイニングを展開。建物内にあるゆとりは、人々が自由に時間を過ごせる場となる。 ここでは、同施設を訪れたらぜひ注目してほしいポイントを、5つ厳選して紹介しよう。
2025年に行くべき新施設10選

2025年に行くべき新施設10選

タイムアウト東京 > Things to do > 2025年に行くべき新施設10選 現在、東京では「100年に一度」と言われる大規模再開発が進行中。新しい建物が次々と誕生している。 2025年には、注目すべき新施設のオープンが相次ぐ予定だ。特に、高輪エリアで進行中の大規模なまちづくり計画「高輪ゲートウェイシティ」の完成や、歴史上初となる「西武池袋本店」の全面リニューアルには、大きな期待が寄せられている。   進化を続ける東京から、2025年も目が離せない。 関連記事『2025年春、直島に新美術館がオープン』『沖縄やんばるに、大規模テーマパーク「ジャングリア」が2025年開業』
東京、12月20〜25日開催のクリスマスイベント6選

東京、12月20〜25日開催のクリスマスイベント6選

クリスマスは目前。2024年のクリスマスは平日なので、週末に祝う人も少なくないだろう。 まだ予定を決めかねているなら、このリストを参考にしてほしい。12月20日(金)から25日(水)の間に開催されるバラエティ豊かなクリスマスの特別イベントを6つに絞って紹介する。
東京、ドイツパン&スイーツ3選

東京、ドイツパン&スイーツ3選

タイムアウト東京 > ショッピング&スタイル >東京、ドイツパン&ドイツ菓子3選 東京都内でドイツパンやドイツ菓子を扱う店の数は決して多くないものの、どの店も本場さながらの味を提供する実力派ぞろいだ。独特の香ばしい風味とむっちりとした食感が魅力のプレッツェルや、アニスやカルダモンなどのスパイスが香るクッキーを提供する、おすすめの3店舗を紹介しよう。
東京、12月に行くべき漫画・アニメ展5選

東京、12月に行くべき漫画・アニメ展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、12月に行くべき漫画・アニメ展5選 12月も都内では、さくらももこ原作の漫画『コジコジ』の体験型展示をはじめ、アーティストがゴジラの世界観を再解釈した作品の展示やコミックマーケットなど、注目のアニメ関連イベントがめじろ押しだ。 一味違う展覧会で別の角度からアニメの世界を堪能してみては。 関連記事『USJの新エリア「ドンキーコング・カントリー」が12月11日オープン』
東京、ドイツ発の名品が手に入るショップ5選

東京、ドイツ発の名品が手に入るショップ5選

タイムアウト東京 > ショッピング&スタイル > 東京、ドイツ発の名品が手に入るショップ5選 ドイツというと、多くの人がサッカーやビールを思い浮かべるかもしれない。しかし、ドイツ人にとってこれは聞き飽きた答えだろう。というのも、実際のところドイツにはほかにも誇れる名品が数多く存在するからだ。 例えば、家で過ごす時間が多いドイツでは、優れたボードゲームが数多く生み出されている。また、物を大切にする文化が根付いているため、半永久的に使用できる高品質な製品も多い。さらに、コンセプチュアルで唯一無二のファッションブランドが存在していることも、あまり知られていない。 そこで今回は、機能性やデザイン性に優れたドイツの名品を取り扱うショップを5つ紹介する。 関連記事『東京、クリスマスコンサート2024』『東京、クリスマスマーケット2024』
東京、12月に開催される蚤の市・マーケットイベント5選

東京、12月に開催される蚤の市・マーケットイベント5選

12月は、大規模なマーケットイベントが目白押しだ。東京都の無形民俗文化財に指定されている伝統的な「世田谷のボロ市」や、作家自身が自作の文学作品を手売りする「文学フリマ」など、毎年注目を集めるイベントが多数開催される。 今回は、寒さが本格化するこの季節にぴったりな屋内開催のイベントを中心に、5つ厳選して紹介する。 関連記事『新橋の横丁タワー「グランハマー」でしかできない6のこと』

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スタジオジブリ幻の名作『海がきこえる』が3週間限定の全国リバイバル上映を開催

スタジオジブリ幻の名作『海がきこえる』が3週間限定の全国リバイバル上映を開催

1993年に日本テレビの開局40周年記念番組として放送された、スタジオジブリ制作の長編アニメーション『海がきこえる』が、全国でリバイバル上映することが決定した。上映期間は、2025年7月4日(金)から3週間限定。既に映画ファンやジブリファンから多くの注目が集まっている。 作家・氷室冴子の小説を原作に、スタジオジブリの若手スタッフが中心となって制作された同作。高知と東京を舞台に、10代の終わりが近づく3人の若者たちの心の揺れや葛藤がみずみずしく描かれている。 制作当時のキーワードが「平熱感覚」だったように、激しい展開の変化はないものの、感情の変化を丁寧にすくい取った表現が印象的な同作。宮﨑駿や高畑勲が直接関わっていない初の作品としても知られ、ジブリの中でも異彩を放つ。 画像提供:株式会社つみき スタッフには、『天空の城ラピュタ』『魔女の宅急便』の原画やキャラクターデザインを担当した近藤勝也が作画監督として協力。さらに、宮﨑作品の背景を多く手がけた田中直哉も美術監督として参加。後に『ゲド戦記』『コクリコ坂から』などで脚本を担当することになる丹羽圭子の姿もあり、豪華なメンバーの面々に驚かされる。 細部まで美しく描写されたノスタルジックな1990年代の風景と、若者の等身大の物語をリアルに描いた同作品は、時を経て多くの人の心に響き、再評価されている。2024年に渋谷の「Bunkamura ル シネマ 渋谷宮下」でリバイバル上映が期間限定で行われた際は、連日満席となるロングランヒットが話題となった。その後も全国公開を望む声が高まる中での今回の再上映に、期待せずにはいられない。 なお、同上映イベントは、映画レビューや鑑賞記録が投稿できるサービス・Filmarksが主催する「リバイバル上映プロジェクト」の第1弾として実現。全国139館での上映が予定されており、劇場一覧は公式Xで随時公開される。 また、オリジナルの来場者特典や全国上映を祝したイベントも開催予定だ。2025年の夏は、映画館へ足を運び、甘酸っぱく、懐かしい感情をもう一度味わってみては。 関連記事 『22年ぶり「ジブリの立体造型物展」が天王洲で開催』 『坂本⿓⼀の幻のドキュメンタリー、4Kで2026年に劇場公開が決定』 『2025年度公開、人気漫画の実写映画7選』 『なんかいいモン観たわ、映画「BAUS 映画から船出した映画館」』 『東京、3月から4月にリバイバル上映される映画』 東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら
「大阪・関西万博」シグネチャーパビリオンの全貌を紹介

「大阪・関西万博」シグネチャーパビリオンの全貌を紹介

「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の開催まであと10日。会場では、世界中からの来場者を迎える準備が着々と進められている。 敷地内には、海外・国内・民間など180を超えるパビリオンが建設されているが、「大阪・関西万博」の中心となるのが「シグネチャーパビリオン」だ。これは、「大屋根リング」の中心部に位置する8つの展示パビリオンの総称で、脚本家や生物学者など、各界を代表する8人のトッププロデューサーが主導する「シグネチャープロジェクト」によって構成されている。 Photo: Kisa Toyoshima「いのちの未来」外観 同プロジェクトは、8人のプロデューサーたちが「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマをもとに、それぞれの思想や哲学をパビリオンに反映させたもの。それぞれの視点から、来場者とともに考える場を創造する。 このほど、メディア向けに「シグネチャーパビリオン」の内部が公開された。ここでは、各パビリオンの魅力を紹介しよう。 各界のトップランナーたちの哲学を具現化 ロボット工学の最前線で研究・開発を続ける石黒浩がプロデュースするパビリオン「いのちの未来」では、AI・医療・環境技術の進化を予測し、50年後や1000年後に私たちが迎える未来の姿をストーリー仕立てで描く。 Photo: Kisa Toyoshima「いのちの未来」の内部 会場では、1970年の「日本万国博覧会」で話題となったロボット「デメ」のデザインを継承した最新型ロボットや、人間そっくりのアンドロイドが登場。テクノロジーの発展によって、人間の可能性がどこまで広がっていくのかを来場者に問いかける。 Photo: Kisa Toyoshima「いのちの未来」の内部 放送作家であり脚本家の小山薫堂が主導するパビリオン「EARTH MART」では、いのちを支える「食」に着目。スーパーマーケットを模した展示空間では、商品と出合う感覚で、「どれほどいのちを食べているか」に気付く仕掛けが施されている。 Photo: Kisa Toyoshima「EARTH MART」 「対話」に焦点を当てるのは、映画監督の河瀬直美が手がけるパビリオン「Dialogue Theater –いのちのあかし–」だ。台本のない見知らぬ人同士の会話を通じて、恐れや分断の正体を浮かび上がらせ、相互理解への第一歩を促す。パビリオンの建築には、奈良と京都の廃校舎の一部が再利用されており、子ども時代の無邪気な交流を思い起こさせる。 Photo: Kisa Toyoshima「Dialogue Theater - いのちのあかし - 」 Photo: Kisa Toyoshima「Dialogue Theater - いのちのあかし - 」外観 データサイエンティストの宮田裕章率いるパビリオン「Better Co-Being」では、「豊かさとは、個人ではなく共創の中で生まれるもの」という考えのもと、多彩なアート作品が展示される。建築デザインは「金沢21世紀美術館」などを手がけたSANAAが担当。屋根や壁がなく、環境に呼応する建築と作品が混じり合い、新たな「共生のかたち」を提示する。 Photo: Kisa Toyoshima「Better Co-Being」外観 Photo: Kisa Toyoshima塩田千春の作品 メディアアーティストの落合陽一が手がける「null2(ヌルヌル)」は、鏡面状の幕に覆われた建物全体が振動や伸縮によって歪む特徴的なパビリオンだ。建物の中では、鏡
「大阪・関西万博」シグネチャーパビリオンの全貌を紹介

「大阪・関西万博」シグネチャーパビリオンの全貌を紹介

「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の開催まであと10日。会場では、世界中からの来場者を迎える準備が着々と進められている。 敷地内には、海外・国内・民間など180を超えるパビリオンが建設されているが、「大阪・関西万博」の中心となるのが「シグネチャーパビリオン」だ。これは、「大屋根リング」の中心部に位置する8つの展示パビリオンの総称で、脚本家や生物学者など、各界を代表する8人のトッププロデューサーが主導する「シグネチャープロジェクト」によって構成されている。 Photo: Kisa Toyoshima「いのちの未来」外観 同プロジェクトは、8人のプロデューサーたちが「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマをもとに、それぞれの思想や哲学をパビリオンに反映させたもの。それぞれの視点から、来場者とともに考える場を創造する。 このほど、メディア向けに「シグネチャーパビリオン」の内部が公開された。ここでは、各パビリオンの魅力を一部紹介しよう。 各界のトップランナーたちの哲学を具現化 ロボット工学の最前線で研究・開発を続ける石黒浩がプロデュースするパビリオン「いのちの未来」では、AI・医療・環境技術の進化を予測し、50年後や1000年後に私たちが迎える未来の姿をストーリー仕立てで描く。 Photo: Kisa Toyoshima「いのちの未来」 会場では、1970年の「日本万国博覧会」で話題となったロボット「デメ」のデザインを継承した最新型ロボットや、人間そっくりのアンドロイドが登場。テクノロジーの発展によって、人間の可能性がどこまで広がっていくのかを来場者に問いかける。 Photo: Kisa Toyoshima「いのちの未来」の内部 放送作家であり脚本家の小山薫堂が主導するパビリオン「EARTH MART」では、いのちを支える「食」に着目。スーパーマーケットを模した展示空間では、商品と出合う感覚で、「どれほどいのちを食べているか」に気付く仕掛けが施されている。 Photo: Kisa Toyoshima「EARTH MART」 「対話」に焦点を当てるのは、映画監督の河瀬直美が手がけるパビリオン「Dialogue Theater –いのちのあかし–」だ。台本のない見知らぬ人同士の会話を通じて、恐れや分断の正体を浮かび上がらせ、相互理解への第一歩を促す。パビリオンの建築には、奈良と京都の廃校舎の一部が再利用されており、子ども時代の無邪気な交流を思い起こさせる。 Photo: Kisa Toyoshima「Dialogue Theater - いのちのあかし - 」 Photo: Kisa Toyoshima「Dialogue Theater - いのちのあかし - 」外観 データサイエンティストの宮田裕章率いるパビリオン「Better Co-Being」では、「豊かさとは、個人ではなく共創の中で生まれるもの」という考えのもと、多彩なアート作品が展示される。建築デザインは「金沢21世紀美術館」などを手がけたSANAAが担当。屋根や壁がなく、環境に呼応する建築と作品が混じり合い、新たな「共生のかたち」を提示する。 Photo: Kisa Toyoshima「Better Co-Being」外観 Photo: Kisa Toyoshima塩田千春の作品 メディアアーティストの落合陽一が手がける「null2(ヌルヌル)」は、鏡面状の幕に覆われた建物全体が振動や伸縮によって歪む特徴的なパビリオンだ。建物の中では、鏡張
Photo of the Day - タイムアウトマーケット大阪プレオープニングパーティー

Photo of the Day - タイムアウトマーケット大阪プレオープニングパーティー

2025年3月21日(金)のグランドオープンを間近に控えた「タイムアウトマーケット大阪(Time Out Market Osaka)」のプレオープニングパーティーが、18日(火)に華やかに開催された。その熱気が冷めやらぬうちに、タイムアウト東京編集部が会場の様子をレポートする。 Photo: Kisa ToyoshimaKAZ(左)、カーナ Photo: Kisa Toyoshima 会場には、著名人やインフルエンサーなど、1000人近くのゲストが集い、21日に誕生するタイムアウトマーケット大阪を盛大に祝った。その盛況ぶりに同マーケットへの注目度が反映されているようだった。 Photo: Kisa ToyoshimaDJ兼シンガーソングライターのYonYon さらに、場内のステージには、KIRINJIとのコラボ楽曲でも話題を呼んだYonYonがDJとして登場。アップテンポな音楽で、クラブさながらの高揚感が会場を包み込んだ。 Photo: Kisa Toyoshima Photo: Kisa Toyoshima 厳選された17のキッチンでは、腕のあるシェフたちが渾身の料理を提供。ゲストたちはロングテーブルに座り、こだわりの料理を味わいながら、和やかに会話を楽しんでいた。同マーケットでは、動物性食品不使用のフードメニューや、子ども向けのメニュー、ノンアルコールドリンクも揃えているので、あらゆる人が自分に合ったスタイルで食事を楽しめるのが魅力だ。 Photo: Kisa Toyoshima Photo: Kisa ToyoshimaヘアデザイナーのYumi(左)、メイクアップアーティストのMiyuki 800席のほとんどが埋まり、マーケットの敷地外にまで達するほどのフードを待つ長い列ができるほどの大盛況ぶり。真新しいキッチンでは、スタッフが忙しなく動き回るのが印象的だ。きっとこのキッチンも、年月を経て味わい深い空間へと育っていくのだろう。 Photo: Kisa Toyoshima ゲストたちの反応 Photo: Kisa Toyoshimaプロデューサーの村中良暢(左)とアーティストの浜崎健 パーティーに訪れた豪華ゲストたちが語ってくれた、タイムアウトマーケット大阪の印象をいくつか紹介しよう。大阪在住のアーティスト・浜崎健は「超有名店が集結しているだけでなく、大阪の食の魅力を凝縮したようなレストランのラインアップが素晴らしいですね」と印象を語ってくれた。 Photo: Kisa Toyoshima来日して1年のドイツ人家族 Photo: Kisa Toyoshima「和菓子処 大栄堂本舗」の中井敬之 また、ドイツから来日した家族は、「クリッターズバーガーのWAGYUバーガーがおいしかったです。娘のお気に入りもハンバーガーです」とコメント。さらに、「和菓子処 大栄堂本舗」の中井敬之は、「ここでは多彩な味が楽しめます。セイイチロウニシゾノのスイーツがおいしかったです」と感想を述べた。 フォトグラファーのアラン(左)、「heys」オーナーのShuriタイムアウトマーケット大阪 フォトグラファーのアランと「heys」オーナーのShuriの二人は、「大阪のローカルな店が出店しているのが良いですね」と、店舗のラインアップについて好印象を抱いていた。 食べ歩き系インスタグラマーのshostagramは、バーについて「人が多く集まるマーケットだからこそ、作業効率を上げる工夫が必要ではないでしょう
直感をハサミで切り取る「宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」展が開催

直感をハサミで切り取る「宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」展が開催

身近なモチーフをテーマに、布を切り貼りして数多くの作品を作った宮脇綾子の回顧展「宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」が「東京ステーションギャラリー」で開催中だ。2025年は彼女の生誕120年と、没後30年の節目の年でもある。 Photo: Kaoru Hoshino『切った玉ねぎ』(1965年) 1905年生まれの宮脇が制作を始めたのは、終戦を迎えた40歳の頃。主婦として家族を支え、自分の命を守ることで精一杯だった戦時下での日々を終え、それまで防空壕(ごう)に出入りしていた時間を何かに使いたいと思ったことがきっかけだった。家事の合間に取り組めて、準備や後片付けに手間がかからない制作手法が「アプリケ」であった。 Photo: Kaoru Hoshino『ちまき』(1960年) 宮脇は、物を大切にするしゅうとめの影響を受け、どんな端切れも決して無駄にしなかった。思いがけない方法で端切れを組み合わせる作品は生前から高い評価を受け、数多くの展覧会に参加。また、アプリケ教室「アップリケ綾の会」を開き、その普及にも尽力した。 制限の中で磨かれた即興的センス 彼女の作品が人を引きつける理由は、ユニークな布の選び方と使い方にある。例えば、野菜を表現するとき、単にその形に布を切り取るのではなく、異なる色や柄、手触りの布を、巧みに切り分けて組み合わせる。写実的なイメージではないが、布の重なりや色彩の調和によって、かえって存在感が生まれるのだ。 隣り合う色と色の組み合わせによって魅力的な画面を作り上げる手法は、極めて絵画的。宮脇の、布を単なる「素材」ではなく、絵の具のように扱う感覚には、画家であった夫、晴の影響があるのだろう。 Photo: Kaoru Hoshino『うど』(年代不詳)   Photo: Kaoru Hoshino『かぼちゃの断面』(1974年) 会場では、ぜひディテールに注目してほしい。『白菜』では、竜がデザインされた布をあえて裏返し、白菜の葉の複雑な形を表現している。柔軟な発想とウィットに富んだ楽しい作品だ。 Photo: Kaoru Hoshino『白菜』(1975年) また、『がらてや』は、フェルト・目の粗い布・レースなどを直感的に使い分けることで、エビの甲羅の複雑な色味や形を表現。彼女の細やかな観察眼と、即興的なセンスが際立っている。 Photo: Kaoru Hoshino『がらてや』(1975年) アプリケは、絵画のように写実的な描写ができない分、ある意味では不自由な技法ともいえるが、制約の中でこそ独自の表現が生まれることもある。宮脇はその名手だ。 限られた枠組の中で、即興的に「間に合わせの技」をつなぎ合わせる宮脇の姿勢は、社会のシステムにあらがうのではなく、独自の道を切り開いてきた彼女の生き方そのものと重なって見える。 制作は日々の営みそのもの 同展は、宮脇の作品を192点所蔵する「豊田市美術館」の協力を得て開催され、初期から晩年まで150点を超える作品を網羅的に展示。戦後の困難な時代を生きた一人の女性が、これほど膨大な作品を残したことに驚かされる。 Photo: Kaoru Hoshino「Chapter 6」の展示 約20年間、ほぼ毎日続けられた『はりえ日記』は、彼女のライフワーク。自然体で作り続けたからこそ、結果として膨大な作品が生まれ、芸術家としてのオリジナリティーが確立したのだ。 Photo: Kaoru Hoshino『はりえ日記』第9巻(1974)年 宮脇が心から楽しんで制作してい
ル・コルビュジエの円熟期の創作に迫る展覧会が「パナソニック汐留美術館」で開催中

ル・コルビュジエの円熟期の創作に迫る展覧会が「パナソニック汐留美術館」で開催中

モダニズム建築の礎を築いた20世紀を代表する建築家のル・コルビュジエ(Le Corbusier)の展覧会「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965」が「パナソニック汐留美術館」で開催されている。建築でその名を世界にとどろかせたコルビュジエだが、同展ではコラージュ・絵画・タペストリーなど、多様な芸術表現に焦点を当て、彼の芸術家としての側面に迫る。 2019年に「国立西洋美術館」で開催された展覧会では、コルビュジエが推進した「ピュリスム(純粋主義)」の運動に焦点を当て、1918年から約10年間の活動を振り返った。一方で同展は、彼の円熟期に焦点を当て、異なる視点からコルビュジエの創作を掘り下げる。 会場では、コルビュジエが生涯を通じて追求した、絵画・彫刻・建築を一つの理念として結びつけようとする「諸芸術の統合」への取り組みを紹介。コルビュジエの思考の全貌を知る上で重要な手がかりとなるだろう。 Photo: Keisuke Tanigawaル・コルビュジエの絵画と、ジャン・アルプによる彫刻『地中海群像』(1941/65年) 建築家でもあり、芸術家でもあったコルビュジエ 同展は、世界恐慌の影響で機械万能主義が衰退したパリにおいて、貝殻や骨、流木といった自然物の形態が創作の着想源として注目されるようになった1930年代のコルビュジエの作品から始まる。また、フェルナン・レジェ(Fernand Léger)やジャン・アルプ(Hans Arp)ら同時代の芸術家たちの絵画や彫刻作品も展示されており、彼らの遊び心あふれる作品からは、未来を希望的に見据えた視点が感じられるだろう。 Photo: Keisuke Tanigawaル・コルビュジエ『イコン』(1963年) 特筆すべきは、第2章で展示されているタペストリー作品。コルビュジエにとってタペストリーは、インテリアの装飾にとどまらず、転居の多い現代人のための「即席の壁」として構想されたものであり、床に敷くのではなく壁に立ち上がるように設置することが意図された。 絵画と建築を統合しようとするこの斬新なアイデアは、さまざまな分野を結びつけたいという彼の革新的な思想を象徴する一例といえるだろう。 Photo: Keisuke Tanigawaル・コルビュジエのタペストリー作品 ルシアン・エルヴェ(Lucien Herve)が撮影したコルビュジエの建築写真と、ワシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky)の版画が並列して展示されている第4章の展示も見逃せない。この実験的な構成は、未来への理想や抽象的な形態の探求といった、2人の創作に共通するテーマを浮かび上がらせるという点で興味深い。 Photo: Keisuke Tanigawa並列されたワシリー・カンディンスキーの版画とルシアン・エルヴェの写真 コルビュジエの最も未来的なビジョンが紹介されている最後の展示室では、1958年の「ブリュッセル万国博覧会」のために制作されたマルチメディアインスタレーション『電子の詩』が、同館によって再現されている。同作は、映像・音・建築を統合するというコルビュジエの究極の目的を体現したもので、展覧会の締めくくりとしてふさわしいものとなっている。 会場ではぜひ、同館の常設展示室であるルオー ギャラリーに特別設置されたコルビュジエらがデザインした名作椅子や、会場内に設置されたシャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand)による長椅子に座りながら作品を眺めてほしい。きっと忘れられない体験と
店主のこだわり詰まったギャラリー兼雑貨店「タイドトーキョー」が学芸大学にオープン

店主のこだわり詰まったギャラリー兼雑貨店「タイドトーキョー」が学芸大学にオープン

2024年にタイムアウトが選ぶ「世界で最もクールな街」ランキングに選出されたことで関心が高まる学芸大学。この街に、人々が集い、クリエーティブなつながりを生むギャラリー「Do you trust me?」が2025年1月5日にオープンした。店内には、個性的なデザインながら機能性に優れた服飾雑貨を扱うセレクトショップ「タイドトーキョー(ta:id tokyo)」も併設され、この街を盛り上げる新たなスポットとして注目が集まっている。  Photo: Kisa Toyoshima店内風景 店主は、2019年からタイドトーキョーを運営し、これまで各地でポップアップに参加してきたルミ。2023年8月から2024年7月末までコミュニティー型商業施設「ビーフラット コミューン(B-Flat COMMUNE)」で出店するなど、さまざまな形で出店活動を行ってきた。実店舗の運営は今回が初となる。 Photo: Kisa Toyoshima「Coucou Suzette」のヘアアクセサリー 店内に足を踏み入れると、作家の思いや個性が感じられるアイテムが並ぶ。ルミがこれまでの出店活動を通じて直接知り合い、その人柄やものづくりの姿勢に共感した作家の商品を中心に取り扱うのが同店のこだわりだ。 Photo: Kisa Toyoshimaタフティング技法で制作された「NEEDLEWORK EVERYDAY」のバッグ そんな彼女の活動を支えるのは、作家たちとの信頼関係と、ものづくりに対する深い敬意。ルミは、「作家に披露する場がなければ、心細い思いを抱えながら創作を続けることになります。その不安が和らげばと思って」と、作家たちが創作に専念できる環境を整えたいという考えを語った。 Photo: Kisa Toyoshima天然石とスワロフスキーを使用した「chicchi works」のリング デザインと機能の両立が魅力のアイテムたち タイドトーキョーに並ぶ商品の魅力は、見た目のかわいさだけでなく、機能性や環境に配慮した優しさにある。例えば、「マリナアンドミツコ(MARINA & MITSUKO)」の食卓を華やかに彩るカラフルなプレートは、竹の繊維をパウダー状にし、コーンスターチなどで成形したエコフレンドリーなアイテムだ。 Photo: Kisa Toyoshima「MARINA & MITSUKO」のプレートとボウル また、鎌倉発のオリジナルインナーウエアブランド「クーラ(CUURA)」は、肌に優しい生地を使用し、チクチクしない快適さとデザイン性を両立させている。ルミが作家一人一人とコミュニケーションを取り、作り手の思いや背景に共感した上でセレクトしているからこそ実現したユニークなラインアップが揃う。 Photo: Kisa Toyoshima「CUURA」の「KINTARO」シリーズのトップス(左)とバミューダパンツ 交流から生まれる垣根を超えたつながり 店舗という場所は、ともすれば「個」に閉じがちだ。しかし、ルミはこれまで行ってきた各地での出店活動といった相互コミュニケーションが活発に行われる環境での経験を通じて、同店でも作家と客など人と人とのつながりが生み出す、単なる物販を超えた創造的な場を目指す。 Photo: Kisa Toyoshima店内の入り口付近はギャラリースペースになっている 新店舗では「ドゥーユートラストミー?(Do you trust me?)」というギャラリースペースが設けられている。ここでは、誰でも自由に参加できる「idobat
ワタリウム美術館を舞台にしたVR作品に注目、雨宮庸介の都内初の展覧会が開催中

ワタリウム美術館を舞台にしたVR作品に注目、雨宮庸介の都内初の展覧会が開催中

アーティストの雨宮庸介による東京の美術館での初個展「雨宮庸介展|まだ溶けてないほうのワタリウム美術館」が、2025年3月30日(日)まで「ワタリウム美術館」で開催している。2000年に制作された雨宮の最初期作品から代表作の『溶けた林檎』から最新作『まだ溶けていないほうのワタリウム美術館』までを一度に観られる、またとない機会だ。 Photo: Kaoru Hoshino『Fruits and the colors(black & white)』(2020年) 1979年生まれの雨宮は、多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業後、2011年に渡欧し、2013年にアムステルダムのサンドベルグ・インスティテュート修士課程を修了した。その後、ベルリンを拠点に活動し、2022年に10年ほど生活していた欧州から帰国した。 雨宮は、代表作として知られている『溶けた林檎』を2005年からライフワークとして作り続ける一方で、映像など多様な表現方法に挑み、常に現実と虚構について問い続けている。同展では、雨宮の多彩な作品を網羅的に配することで、アーティストとしての確かな足跡を示すとともに、彼の作品をさらに深く掘り下げる。 Photo: Kaoru Hoshinoロッカーの入り口 展覧会は、2階に設置された小さな扉を開くところから始まる。屈みながら向こう側へ出ると、扉は複数並んだロッカーの一つにつながっていたことに気がつく。部屋に入るたび体のサイズが変わる『不思議の国のアリス』のように、この小さな扉は、身体感覚が揺さぶられる感覚を与えてくれる装置として機能している。身近なものを素材にしながら、鑑賞者に自身のリアリティーを再考させる問いを忍ばせる、雨宮らしい仕掛けだ。 Photo: Kaoru Hoshino『長テーブルと林檎が描かれたドローイング』(2001〜2024年)、『溶けた林檎』(2004〜2024年) 扉の先にある薄暗い室内には、柔らかなライトに照らされた長テーブルが置かれ、その上には雨宮の代表作『溶けた林檎』が30個ほど並べられている。本物のリンゴと見紛うほどに精巧に作られた彫刻だが、それらは重力に押しつぶされたかのようにどろりと溶け出している。「リンゴらしさ」と「リンゴらしくなさ」の相反するする2つの要素を内包させた作品だ。  どこでもないここを肯定するVR作品 3階では、雨宮が同展開催直前まで制作していたというVR作品『まだ溶けていないほうのワタリウム美術館』が体験できる。展示室に座ってVRのヘッドマウントディスプレー(HMD)とヘッドフォンを装着すると、先ほどまで自分がいた展示室そのものが目の前に広がり、仮想現実で現実を体験するという不思議な状況に没入できる。 最新VR 作品のためのドローイング(2024年) 雨宮は、仮想現実へと誘う装置であるHMDを逆手に取り、鑑賞者を一度「ここではないどこか」へ送り出すことで、「どこかではないここ」へと再び目を向けさせる。鑑賞する前と後では、現実そのものを肯定する新たな視点が加わったような清々しい感覚が味わえるだろう。同展の中でも、特に印象的な作品だ。 Photo: Kaoru Hoshino「ビューイング・ストレージ」 あらゆる仕方で「普遍性」を表現 4階には、同展の手がかりとなる「ビューイング・ストレージ」が設置。ここは、雨宮がこれまでに制作してきた作品群や制作過程の木彫などが雑多に置かれたスタジオのような空間となっている。 Photo: Kaoru Hoshino「ビューイング・ストレージ」
藤原ヒロシが手がける新たなカルチャーの発信源「V.A.」が原宿のモントーク跡に誕生

藤原ヒロシが手がける新たなカルチャーの発信源「V.A.」が原宿のモントーク跡に誕生

2022年3月、20年にわたって愛されてきた「モントーク(montoak)」が幕を閉じ、その跡地に物販・カフェ・ベーカリーを複合的に展開するコンセプトストア「V.A.」が2024年12月15日(日)に誕生する。 Photo: Kisa Toyoshima外観 ディレクターを務めるのは、日本のストリートファッションを牽引してきた藤原ヒロシ。さらに、カフェカルチャーの先駆者である山本宇一がカフェ監修を担当し、ストアデザインは「ステューシー 原宿チャプター(STÜSSY HARAJUKU CHAPTER)」などを手がけた荒木信雄が手がけるなど、東京カルチャーを代表する3人がタッグを組んだ話題のスポットだ。 Photo: Kisa Toyoshimaタイルが敷き詰められた階段 アンバー色のガラスに包まれた寡黙な外観はそのままに、店内に足を踏み入れると、工夫の凝らされたコンクリートの壁や、敷き詰められた小さな丸いタイルなど、装飾的な要素が詰め込まれたホテルのロビーのような空間が広がる。長い時間をかけて作り上げられた空間の細部に宿るこだわりは圧倒的だ。 Photo: Kisa Toyoshima 1階の物販エリアには、「New Era®」や「L.L.Bean」、「Levi’s®」といったブランドのコラボレーションアイテムが並ぶ。「UNDERCOVER」のデザイナーである高橋盾とディレクター西山徹が制作した限定アイテムにも注目したい。 Photo: Kisa Toyoshima1階の物販エリア Photo: Kisa Toyoshima裏側にロゴを印刷したL.L.Beanのトートバッグ Photo: Kisa Toyoshima1階の物販エリア また、「agnès b.」や「CONVERSE」が藤原ヒロシの「fragment design」とタッグを組んだ同店限定アイテムもラインアップされている。店名の「V.A.」が意味する「Various Artists」の名の通り、今後もさまざまなアーティストとのコラボレーション企画が予定されており、訪れるたびに新しい発見がある。 Photo: Kisa ToyoshimaVAT BAKERY Photo: Kisa Toyoshima店内で焼き上げられるVAT BAKERYのフード 中2階の「バット ベーカリー(VAT BAKERY)」では、店内で焼き上げたドーナツやペイストリーを提供。フォトジェニックなスイーツは2階のカフェスペースで味わうことができ、テイクアウトも可能だ。2階には2024年5月に閉店した神田の純喫茶「珈琲専門店 エース」から譲り受けた革張りの椅子とテーブルが並び、歴史と現代が調和した空間が広がる。 Photo: Kisa Toyoshima珈琲専門店 エースから譲り受けた椅子とテーブル   表参道の並木道を見渡せる大きな窓を備えたカフェスペースでは、「珈琲専門店 エース」の名物「のりトースト」や、白玉とあんこが贅沢に入った「あんこ抹茶ラテ」、そして甘さが特徴の「カフェパリス」など、懐かしくも新しいメニューが楽しめる。 Photo: Kisa Toyoshima「のりトースト」と「ドリップコーヒー」 Photo: Kisa Toyoshima「あんこ抹茶ラテ」(左)、「カフェパリス」 Photo: Kisa Toyoshimaカフェスペース この場所には、かつて1972年に開店した伝説のカフェ「カフェ ド ロペ(Café de Ropé)」があった。カル
2025年3月下旬、大宮に「住めるミニシアター」が誕生

2025年3月下旬、大宮に「住めるミニシアター」が誕生

埼玉県の大宮駅から徒歩5分の位置に、待望のミニシアター「オット(OttO)」が2025年3月下旬に誕生する。地域の文化を支える新たな拠点として、地域住民や映画ファンから大きな期待が寄せられている。 かつて日本全国に7000館以上あった映画館は、現在600館を下回るまでに減少。映画文化が息づいていた街も、今や過去のものとなりつつある。 さいたま市も例外ではない。かつて大宮には映画館が12館あったが、現在は駅から離れた場所にシネマコンプレックスが2軒あるのみ。文化の拠点としての役割を担っていた映画館は、街からほぼ消え去った。そんな背景の中での新たなチャレンジに、注目が集まっている。 画像提供:OttO1990年頃の大宮区桜木町1丁目エリア きっかけは自宅の建て替え 同プロジェクトを手がけるのは、地元在住の今井健太。1990年代から続く大宮駅西口の都市開発による街の変遷を、間近で感じてきた人物だ。今井は、さいたま市が推進する土地区画整理事業により街並みが整備される一方、かつてのように人々が集える場所が失われていく現状を目の当たりにしてきた。 そんな中、義父が所有する建物の区画整理による建て替えを機に、土地の管理運営を託された。駅近という恵まれた立地にもかかわらず、今井は住宅の再建ではなく、地域の未来を見据え、この土地を文化インフラとして活用する決断を下した。 「近所の皆が仲良く、昔から住んでいる人も引っ越してきた人も顔を合わせる事ができる場所があった方がいい」という義父の思いを引き継いだ今井と、その理念に賛同して集まった仲間が、このプロジェクトを形にしたのだ。 気軽に立ち寄りたくなる場所 オットは、ミニシアターの枠を超えた複合施設として運営される。施設内にはカフェやシェアハウスも併設し、地域住民はもちろん、誰でも気軽に立ち寄れる場所を目指す。建築家の佐々木善樹が手がけるオットの館内は、機能性と心地よさを兼ね備えた風通しの良い空間になるよう設計が施されている。 1階には、バーカウンターとカフェスペースを設置し、モーニングからナイトタイムまで幅広い時間帯で食事が楽しめる。また、映画関連の書籍をはじめ、料理本、コミックなど多彩なジャンルの書籍が並ぶブックカフェとしても利用できる。週末にはマルシェやフリーマーケットの開催も予定されており、オープンな場所として活用されるという。 画像提供:OttO1階のバーカウンターとカフェスペースのイメージ 2階はシアタールーム。約220インチのスクリーンと50席の観客席を備えた上映室には、山形の「鶴岡まちなかキネマ」から譲り受けた座席を使用する。映画上映だけでなく、音楽ライブや講演会、貸し切り上映会にも対応するなど、多目的な利用が可能。また、3階から5階には、短期から長期滞在まで対応できる25室のシェアハウスが併設される。 画像提供:OttO2階のシアタールームのイメージ 画像提供:OttOシェアルームのイメージ 池袋や新宿へのアクセスが良く、大宮は「通り過ぎる街」になりがちだった。しかし、この新しい映画館の誕生をきっかけに、大宮が文化を発信する街へと変わっていく未来を期待せずにはいられない。 オットの開館には、クラウドファンディングによる支援が欠かせない。5,000円から支援ができ、1万円の「ムビチケミニシアター券」を購入すれば、オープン日から1年間映画を楽しみながら応援できる。集められた資金は、デジタルシネマ映写機の導入やカフェ・シェアハウスの運営費用に充てられる予定だ。 クラウドファンディングの詳細は
「大阪・関西万博」でオランダが次世代に伝えたいこと

「大阪・関西万博」でオランダが次世代に伝えたいこと

「2025年大阪・関西万博」(以下、万博)では、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマに沿って、各国のSDGsの達成に向けた取り組みが展示される。その中で注目されるのが、子どもたちへの教育やサステナビリティをテーマにしたオランダの取り組みだ。 オランダは過去に「子どもの幸福度ランキング」で3回首位を獲得するなど、子どもが幸せに暮らせる国として知られており、循環型社会の実現に向けた政策にも積極的である。 こうした背景を受け、オランダ王国大使館・総領事館と、日本語教科書の出版や講演を通じてマルチリンガルの子ども教育に関わる活動を行うオランダ在住の日本人3人から成る「おひさまプロジェクト」は、大阪・関西万博の特別企画として、子どもたちに向けたワークショップを2024年12月1日、「ITOCHU SDGs STUDIO」で開催した。 Photo: Kaoru Hoshinoネイティブ講師によるオランダ語レッスンの様子 オランダは「子どもの幸福度ランキング」首位常連 最初に、オランダ語の簡単なあいさつや、オランダの文化を紹介。単なる紹介だけでなく、リサイクル率向上の一環として採用されているペットボトル飲料のデポジット制などを例に挙げ、オランダがSDGsをどのように日常生活に取り入れているかをクイズ形式で子ども達に伝えた。子どもたちはオランダが実施するサステナブルな取り組みを楽しみながら学んだようだ。 Photo: Kaoru Hoshinoアップサイクルアートに使用する古紙を選ぶ子どもたち Photo: Kaoru Hoshinoアップサイクルアート制作中の様子 続いて行われたのは、古紙を使ったアップサイクルアートの制作。普段捨ててしまうものを再利用し、新たな価値を生み出すプロセスを体験した。SDGsを日常生活に取り入れる方法を経験する、貴重な機会となっただろう。 Photo: Kaoru Hoshinoこれらの古紙を再利用して、新たな作品が生まれる 「次世代に受け継ぐための万博だと考えています」と語るのは、万博担当商務官を務める在大阪オランダ王国総領事館のマルタイン・フーレ(Martijn Heule)。今回のイベントをはじめ、万博を通じてオランダが目指すのは、子どもたちに持続可能な社会の在り方を自然に理解してもらうことだ。 万博を契機に各国とのつながりを生むことで、将来、子どもたちがサステナビリティや他文化に親しみを持ち、興味を深めていく。そして、それがより良い未来を築くきっかけとなることが、万博が果たすべき重要な役割の一つである。 今後も、イベント・展示会・セミナーなど多彩なプログラムが予定されているので、引き続き注目したい。 Photo: Kaoru Hoshinoアップサイクルアート制作中の様子 万博の情報発信基地に期間限定ショップが登場 今回のワークショップが行われたITOCHU SDGs STUDIOの地下1階の「GALLERY」では、2025年1月31日(金)まで「2025大阪・関西万博コンセプトストア いのち輝くシリーズ 外苑前店」が展開中。会場は、「大阪・関西万博」のパビリオンや入場チケットなどの基本情報を伝える紹介スペースと、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に共鳴した公式ライセンス商品を展示・販売するスペースで構成されている。 Photo: Kaoru Hoshino大屋根リングの端材を再利用した展示台 注目は、商品だけでなく、その横に記載された製造過程の詳細や背景。サステナビリティに向
神楽坂の古い街並みに新スペースPAAMAが誕生、内装は関祐介が担当

神楽坂の古い街並みに新スペースPAAMAが誕生、内装は関祐介が担当

神楽坂に残る古い街並みの一角に現れた新スペース「パーマ(PAAMA)」で、韓国を代表するデザイナー、イ・カンホ(Kwangho Lee)の展覧会が2024年12月7日(土)まで開催中だ。イは、スタイロフォームやポリ塩化ビニル、鉄、陶土といった日常的で多様な素材を用いた家具のデザインで知られている。 Photo: Kaoru Hoshinoイ・カンホ 彼のデザインは、機能性を追求するだけでなく、実用性と芸術性を押し広げる挑戦そのものといえる。その取り組みとして、空間を「誰も住んでいない」と仮定することで、デザインの固定観念を打ち破り、自由な発想を広げるプロジェクト「NOL」は、彼の代表的なものの一つ。さらに韓国の伝統文化を再解釈して作品に取り入れるなど、ジャンルの枠を超えた活動に注目が集まっている。 Photo: Kaoru Hoshinoイ・カンホ 伝統的な技術や日常的な素材に新たな意味や解釈を与えるのは、彼のシグネチャースタイルになっている。このコンセプトをもとにロープやケーブルを編み込むことで制作されたのが、「Obsession(執着)」と名付けられたシリーズだ。 Photo: Kaoru Hoshinoイ・カンホ 同展のタイトルにもなっているこの作品群は、ナイロン製のロープや電気ケーブルを編み込み、日常的な素材を新しい形で再構築している。これらは1980年代の韓国家庭で見られた、母や祖母によるかぎ針編みの記憶からインスピレーションを得たもの。しかし、伝統的な枠にとらわれず、イならではのアプローチで有機的かつ彫刻的な作品へと生まれ変わった。その結果、観る人に新しい視点をもたらしている。 Photo: Kaoru Hoshino関祐介により制作された展示台 「東京らしさ」が詰まった新スペース パーマは、雑誌『ポパイ』のアートディレクターを務めた前田晃伸の事務所とギャラリーを併設した新しいスペースだ。ヘアスタイルの「パーマ」に由来するその名称には、髪形のように自由自在にスタイルや領域を変えるというコンセプトが込められている。 内装は、「サカイ(sacai)」をはじめ、「キコ コスタディノフ(Kiko Kostadinov)」の内装で知られるインテリアデザイナーの関祐介が担当。倉庫だった建物の雰囲気をあえて残し、インダストリアルな趣を活かした空間となっている。 Photo: Kaoru Hoshino自動販売機の間を抜けるとギャラリーへつながる階段がある 雑居ビルの地下に位置し、「こんな場所にギャラリーが?」と思わせる、東京特有の驚きが詰まったロケーションだ。ギャラリーへとつながる階段には、元の構造を生かした遊び心あるデザインが施されており、一見殺風景な空間にさりげない仕掛けが隠されている。 Photo: Kaoru Hoshino階段の上に作られた階段 展覧会に合わせ、「TOO MUCH Magazine」の編集チームが製作し、前田がアートディレクションを担当した作品集も販売されている。写真家の伊丹豪が撮影したイの作品や、前田自身が韓国のスタジオで撮影した写真、さらには独占インタビューも収録されており、イの世界観を存分に堪能できる一冊となっている。 Photo: Kaoru Hoshinoイ・カンホ 工業製品とハンドクラフトの境界を曖昧にするイの作品と、建物が調和した本展にぜひ足を運んでみては。 関連記事 『東京、11月から12月に行くべきアート展』 『東京、クリスマスツリー10選』 『2025年3月アジア初上陸、