Chikaru Yoshioka

Chikaru Yoshioka

Articles (14)

東京、1月に行くべき無料のアート展6選

東京、1月に行くべき無料のアート展6選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、1月に行くべき無料のアート展6選 ここでは2025年1月に開催する入場無料のアート展を紹介したい。「TOTOギャラリー・間」での漫画と建築のコラボレーション展や、宮原夢画の写真展、丹下健三と隈研吾の建築展など、入場無料で鑑賞できるアート展を揃えた。リストを片手にアート巡りと街歩きを楽しんでほしい。 関連記事『2025年、見逃せない芸術祭8選』
東京、1月に行くべきアート展5選

東京、1月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、1月に行くべきアート展5選 2025年1月に東京で行くべきアート展をお届け。「パナソニック汐留美術館」のル・コルビュジエの絵画芸術にスポットを当てる日本初の展覧会のほか、「森アーツセンターギャラリー」でのえりすぐりの古代エジプト美術が集結する展示など、見逃せない展覧会を紹介する。新たな年に新たな作品世界に出合おう。 関連記事『東京、2025年注目の漫画・アニメ展』
2025年、見逃せない芸術祭8選

2025年、見逃せない芸術祭8選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 2025年、見逃せない芸術祭8選 地域やエリアの特色を生かしながら、国内外の先駆的なアートやパフォーマンスが一気に集結する芸術祭。ここでは、2025年に開催予定の全国各地の芸術祭を厳選して紹介したい。 初開催の「東京お台場トリエンナーレ」や「千葉国際芸術祭」のほか、瀬戸内の島々を舞台に繰り広げられる「瀬戸内国際芸術祭」や、「大阪・関西万博」を機に開催する「大阪関西国際芸術祭」など、来年の芸術祭巡りの参考にしてほしい。 関連記事『東京、2025年注目のアート展13選』
東京、2025年注目のアート展13選

東京、2025年注目のアート展13選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、2025年注目のアート展13選 2025年に東京都内で開催される注目のアート展を特集。「東京オペラシティ アートギャラリー」の今津景の大規模個展、「森アーツセンターギャラリー」の古代エジプト展、「東京都美術館」でのミロ展、「TOKYO NODE」でのデザインを体感する「デザインあ展neo」、「森美術館」での藤本壮介の建築展など、さまざまなジャンルから厳選してセレクトした。 この記事を参考に、2025年の行きたいものリストを充実させてほしい。 関連記事『タイムアウトが「2025年、世界で注目するべき25のこと」を発表』
東京、12月に行くべきアート展5選

東京、12月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、12月に行くべきアート展5選  2024年12月に東京で行くべきアート展を厳選して紹介しよう。「東京都現代美術館」での坂本龍一の最大規模の個展のほか、「ワタリウム美術館」の最新VR作品を中心とした雨宮庸介による個展、人々の願いが込められた美術にフォーカスする「HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―」など、個性あふれるアート展をセレクトした。それぞれの作品世界を楽しんでほしい。 関連記事『東京、12月に行くべき無料のアート展12選』
東京、12月に行くべき無料のアート展12選

東京、12月に行くべき無料のアート展12選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、12月に行くべき無料のアート展12選 ここでは12月に開催する無料のアート展を紹介したい。杉本博司、ソフィ・カル、青柳龍太の3人のアーティストによる「UNSOLD UNSOLD」展や、虎ノ門「アート クルーズ ギャラリー バイ ベイクルーズ」でのソール・ライターの写真展、ロエベとのコラボレーションが大きな話題となったスナ・フジタの展示・抽選販売など、入場無料で鑑賞できるアート展を揃えた。冬のアート巡りを楽しんでほしい。 関連記事『東京、11月〜12月に開催されるダンス公演3選』
東京、11〜12月に開催されている刀剣展3選

東京、11〜12月に開催されている刀剣展3選

タイムアウト東京 > カルチャー >東京、11〜12月に開催されている刀剣展3選 伝統を有する美と技術が伝承された鉄の芸術品「刀剣」。ここでは、この冬訪れたい刀剣展だけを集めた。「銀座 蔦屋書店」内での、刀匠・河内國平と現代美術作家・ヤノベケンジによるコラボレーション展「天地以順動」や、墨田区「刀剣博物館」での「鏨の技巧 刀身彫刻の世界」などを通して、日本の優れた技と美の世界を堪能してほしい。 関連記事『東京、11月開催中の新しい日本画に出合える展示3選』『東京、11〜12月に開催されるミュシャ展3選』
東京、11月開催中の新しい日本画に出合える展示3選

東京、11月開催中の新しい日本画に出合える展示3選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、11月開催中の新しい日本画に出合える展示3選 ここでは、2024年11月に東京で開催する注目の日本画展を紹介したい。「泉屋博古館分館」での日本画家・尾竹三兄弟を東京で初めて紹介する「オタケ・インパクト」や、「山種美術館」でのおめでたい日本美術が大集合した「HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―」など、特定の視点で読みとく日本画展をセレクトした。多彩な日本画の世界を楽しんでほしい。 関連記事『東京、11月に行くべきアート展5選』
TODA BUILDINGでしかできない5つのこと

TODA BUILDINGでしかできない5つのこと

タイムアウト東京 > カルチャー > TODA BUILDINGでしかできない5つのこと ビジネス街として栄える一方で古くから画廊が立ち並ぶ京橋エリアに、2024年11月2日(土)、アート好きならマストなディスティネーションが誕生する。戸田建設の5代目の社屋となる「トダ ビルディング(TODA BUILDING)」である。 隣には「アーティゾン美術館」があり、ふらりと立ち寄って、気鋭の現代アートを体験できる場となる同施設。東京を代表する4つの現代アートギャラリーや、大空間の新ミュージアム、ギャラリーが併設するベーカリーカフェ、土木ファン垂涎(すいぜん)の建設業を知るミュージアムなどが入居し、誰もがさまざまなアートを楽しめる。 1〜6階は芸術文化施設として機能し、28階までがオフィススペース、そのほかに緑あふれるテラスやパブリックアートなどが多数点在している。ビジネスとアートが交錯する同施設でしかできないことを、5つ厳選して紹介したい。 関連記事『「柱」が大空間で躍動、京橋の新ミュージアムで鬼滅の刃の展覧会が開催』
東京、11月に開催されるアートフェスティバル4選

東京、11月に開催されるアートフェスティバル4選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、11月に開催されるアートフェスティバル4選 ここでは、2024年11月に都内で開催されるアートフェスティバルを紹介。東京を代表する53の美術館とギャラリーを巡る現代アートの祭典「アートウィーク東京」や、アートブックやZINEの魅力を伝える「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」など、見逃せないフェスティバルをセレクトした。デザイン、本、パフォーマンスと、新たなお気に入りのアートに出合う秋を過ごしてほしい。 関連記事『秋に旅すべき美しい紅葉スポット8選』『東京、夜遅くまで営業するカフェ10選』
東京、11月に行くべき無料のアート展8選

東京、11月に行くべき無料のアート展8選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、11月に行くべき無料のアート展8選 街歩きが心地よい季節。今回、11月に開催する芸術の秋にぴったりの無料のアートイベントをセレクトした。 銀座「資生堂ギャラリー」での「渡辺志桜里 宿/Syuku」展や、「ポーラ ミュージアム アネックス」での能登半島地震への支援を目的としたチャリティオークション「Place in my heart」展、TODA BUILDINGに新オープンする「小山登美夫ギャラリー京橋」での杉戸洋の個展など、入場無料で鑑賞できるアート展示を揃えた。アート尽くしの秋を過ごしてほしい。 関連記事『東京、11月に開催されるアートフェスティバル4選』
東京、10月に開催されるアートフェスティバル4選

東京、10月に開催されるアートフェスティバル4選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、10月に開催されるアートフェスティバル4選 ここでは、2024年10月に都内で開催されるアートフェスティバルを紹介。天王洲運河一帯で開催する領域横断型のアートフェスティバル「MEET YOUR ART FESTIVAL」や、日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO」など、この秋注目のフェスティバルをセレクトした。アート巡りと街歩きを楽しむ秋を過ごしてみては。 関連記事『10月に行くべき音楽フェスティバル4選』『東京、10月から11月に行くべきアート展』

News (21)

インドネシアを拠点にする注目のアーティスト、今津景の初の大規模個展が開催

インドネシアを拠点にする注目のアーティスト、今津景の初の大規模個展が開催

初台の「東京オペラシティ アートギャラリー」で、インドネシアを拠点に活動する今津景の個展「今津景 タナ・アイル」がスタートした。会期は2025年1月11日(土)〜3月23日(日)まで。美術館での大規模個展は初となる本展では、インドネシアの神話、植民地主義、開発や環境汚染などを題材とした、生命力にあふれる67点の作品群から構成されている。 平面作品から巨大な立体作品まで 今津は、インターネットやデジタルアーカイブといったメディアから収集した画像をアプリケーションで加工を施しながら構成。その下図を元に、キャンバスに油彩で描く手法で作品制作をする。 2017年、アーティストインレジデンスをきっかけに、インドネシア・バンドンに拠点を移した。2022年にドイツの「ドクメンタ15」、2024年にタイの「バンコク・ビエンナーレ」に参加するなど、近年国内外で大きな注目を集めている。 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 本展のタイトル「タナ・アイル」は、タナが「土」、アイルが「水」を意味し、両方の言葉を合わせると「故郷」を指す。展示は、現在生活をするインドネシアと日本という2つの土地での経験と思考に基づく。 Photo: Chikaru Yoshioka映画のセットのような雰囲気の『Bandoengsche Kinine Fabriek』 血液の循環で表されたインスタレーション作品『Bandoengsche Kinine Fabriek』。近年地球温暖化に伴いその範囲が拡大しているマラリアと、その特効薬である「キニーネ」の植民地主義が潜む歴史を表現している。毒々しい映画のセットのような雰囲気が印象的だ。 インドネシアで取材した開発と環境汚染 インドネシアで生活する今津にとって、先進国で繰り返される資源の収奪や、その結果生じる環境問題は現実味を持つもの。「世界で最も汚染された川」と呼ばれるチタルム川や、エビ養殖業で知られるシドアルジョ一帯の天然ガス採掘現場で起こった泥火山噴出とそこの人々の生活など、現地を取材した作品を制作している。 Photo: Chikaru Yoshiokaエビ養殖業で有名なシドアルジョ泥火山をテーマにした絵画 Photo: Chikaru Yoshiokaマラリアをモチーフとした絵画 あらゆる生物、骨、植物などのモチーフなどがミックスされた今津の絵画群は、地球上のあらゆる問題がつながり合っているような、または、生命の循環を感じさせるような、ハッとさせられる瞬間がある。 生命が循環する神話の世界観へ インドネシアの神話に登場する「サテネ」という神が構える鉄のゲートを抜けると、ピンク色の床に巨大な絵画群、頭蓋骨や手の骨、身体の一部や植物を模したオブジェが配置されている。 Photo: Chikaru Yoshioka鉄のゲートのインスタレーションを潜る 「ハイヌウェレ」というインドネシアの神話から着想を得たもので、ハイヌウェレはココナッツから生まれ、自分の排せつ物から金銀財宝を生み出す力を持つという女性の名前だ。その力を恐れた島民たちによってハイヌウェレは生き埋めにされるが、彼女の遺体を切断し土地に埋めると、そこからさまざまな芋が育ち、島民の食を支えたという。 Photo: Chikaru Yoshioka巨大な頭蓋骨のオブジェと絵画 Photo: Chikaru Yoshioka身体の一部や植物のオブジェ 今津はこの神話を、フェミニズムや
日本初、坂本龍一の最大規模の個展「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」が開催

日本初、坂本龍一の最大規模の個展「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」が開催

清澄白河の「東京都現代美術館」で、坂本龍一(1952〜2023年)の「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」がスタートした。坂本の先駆的な創作活動をたどる本展は、美術館で展示する日本初の最大規模の個展となる。 「時間とは何か」「音を立体的に展示するとはどういうことか」といった、坂本が長年関心を寄せていた音と時間をテーマに、未発表の新作と代表作から成る10点あまりの没入型・体験型サウンドインスタレーションがダイナミックに構成されている。これまでの美術鑑賞とは異なる体験が待っているだろう。 実験的な創作活動の軌跡をたどる 50年以上にわたる多彩な表現活動を通して、時代の先端を開いてきた坂本。2000年代以降は、さまざまなアーティストと協働し、現代美術を通して音を立体的に設置する試みを行ってきた。 Photo: Kisa Toyoshima坂本龍一 with 高谷史郎『IS YOUR TIME』2017/2024の展示風景 Photo: Kisa Toyoshima坂本龍一+高谷史郎『LIFE–fluid, invisible, inaudible…』2007の展示風景 本展では、坂本が生前に共作してきたカールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)の映像や、アピチャッポン・ウィーラセタクン(Apichatpong Weerasethakul)との私的な日常が切り取られた映像、「時間とは何か」という問いを『夢十夜』『邯鄲』といった夢の物語で表現した高谷史郎との作品、真鍋大度とのLEDディスプレーなどで構成されている。 Photo: Kisa Toyoshima坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》2024の展示風景 水盤に雨を降らせる瞑想的な空間 アーティストグループ、ダムタイプのメンバーでもある高谷とのインスタレーション作品『water state1』では、展示空間に入ると、周辺に大きな石と、中央に黒い水盤が置かれている。特定地域の降水量のデータを抽出した天井の装置からは水滴が落ち、水面には波紋が広がる。波紋の変化は音にも変換され、水と音が共鳴し合う空間は、時間の経過に合わせて照明とともに変わってゆく。 Photo: Kisa Toyoshima『water state1』の展示風景 Photo: Kisa Toyoshima水滴で水面に波紋が広がる 澄んだ黒い水面に水滴を落とす様をじっと見つめていると、思考が静かになり、瞑想(めいそう)のようなクリアな状態になるようだ。 窓をのぞき込み坂本の気配を感じる ニューヨークを拠点としたアーティストデュオ、Zakkubalanとの協働作品では、暗い部屋の中にスマートフォンやタブレットが窓のように配置。それぞれの画面には、坂本が多くの時間を過ごしたニューヨークのスタジオやリビング、庭などの様子が映像で映されている。本人はそこにいないのだが、風音や夜のキャンドルのともしびも感じられる映像からは、坂本の痕跡や気配を感じ取れるだろう。 Photo: Kisa Toyoshima夜のリビングの様子の映像 一つ一つの窓は、記憶の断片をのぞき込んでるようで、過ぎゆく時のはかなさや尊さについても考えさせられる。 霧と光と音が一体になったスペシャルコラボレーション 屋外の「サンクンガーデン」では、中谷芙二子の霧の彫刻とコラボレーションした幻想的な空間が広がる。外の澄んだ空気の中には霧が舞っている。森から抜け出た後のようで、周囲の鳥の声
東京、12月21・22日に行きたいアート展3選

東京、12月21・22日に行きたいアート展3選

ここでは、絵画・インスタレーション・写真と、今週末に行きたいアート展をジャンル別にピックアップ。マネ、セザンヌ、ルノワールらによる人物画から、須藤絢乃のセルフポートレート、川俣正の2024年のアーカイブと、年末年始前に駆け込みたいアート展を厳選して3つ紹介したい。 ひとを描く エヴァ・ゴンザレス《眠り》1877-78年頃、石橋財団アーティゾン美術館 「アーティゾン美術館」で、「ひとを描く」展を開催。ヨーロッパの美術史において作品制作の重要な要素の一つであった自画像や人物画85点を通して、人物表現の豊かさを紹介する。 画家にとって、自画像は自らの技量を示すことのできる題材であると同時に、新しい表現の実験の場でもあった。また、肖像画は重要な生活の糧となっていた。 会場では、エドゥアール・マネ、ポール・セザンヌ、ピエール=オーギュスト・ルノワールら、近代ヨーロッパの画家たちによる人物画を一望する。モデルになったのは誰か、どのような物語を描いているのかなど、制作背景から人物画の名作を新しい視点で楽しめる。 また、『ヘラクレスとケルベロス図』『男女図』『婦人図』など、古代ギリシャ陶器30点を一堂に展示。さらに、近代日本人画家の藤島武二と長谷川路可による古代ローマの模写作品を初公開する。 作品に描かれたさまざまな表現を見比べ、鑑賞を楽しんでほしい。 ※11月2日〜2025年2月9日/10〜18時(金曜は20時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は月曜(祝日の場合は翌日)/料金は窓口販売1,500円、ウェブ1,200円、学生無料(要ウェブ予約)、中学生以下無料(予約不要) Kawamata Archive 画像提供: アートフロントギャラリー 代官山の「アートフロントギャラリー」で、川俣正の個展が開催。フランスを拠点に活動する川俣の、2024年の活動を一挙に紹介する。 今回、「代官山ヒルサイドテラス」に、近年世界各地で高い評価を得ているプロジェクトシリーズを展開した。ギャラリー前の樹木には最新作の『Tree Hut』を、建物のベランダには鳥の巣をイメージした『Nest』を設置している。   また、写真などによるプロジェクト記録展示に加え、「大地の芸術祭」の『snow fence』、「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」の『六甲の浮き橋とテラス』、京都での『夢浮橋ワーク・イン・プログレス2024』など、2024年の各プロジェクトの模型やマケットも展示・販売する。  世界を舞台に活躍する川俣の今年の活動を見尽くしてほしい。 ※11月8日〜2025年1月19日/12〜19時(土・日曜は11〜17時)/休館日は月・火曜/入場は無料 MISSING 須藤絢乃《鬼が栖むか蛇が栖むか R.》2024年、インクジェットプリント 恵比寿「MEM」で、須藤絢乃の新作個展が開催。さまざまな時代で強烈な印象を残した女性たちに須藤がふんするセルフポートレート作品『⻤が栖むか蛇が栖むか』を発表する。 須藤は20代半ばに大病を患う。そのことがきっかけで、「尋ね人」の貼り紙に写される行方不明の少女たちに自らが扮装したシリーズ『幻影 Gespenster』を制作する。自身もいつか人知れず消えてしまうのかもしれないという不安や恐怖を抱える中、彼女たちが生きていた時の輝きを作品に残そうとした。 今回、須藤は社会やメディアで取り上げられ話題となった後、現在の消息が不明の女性たちに姿を変えた。失踪した少女たちも時代のアイコニックな女性たちも、他者のままではなく自分ご
おめでたい作品が大集合、山種美術館で「HAPPY」をテーマにした日本美術展が開催

おめでたい作品が大集合、山種美術館で「HAPPY」をテーマにした日本美術展が開催

新春は、誰もが幸せを願う。日本画を専門とした「山種美術館」では、そんな年末年始にふさわしい、長寿や子宝、富や繁栄など、人々の願いが込められた日本美術に焦点を当てた「【特別展】HAPPYな日本美術―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―」が、2025年2月24日(月・祝)まで開催している。古墳時代から近代・現代まで、HAPPY感が満載の日本美術だけを集めた展覧会だ。 見れば福が来るモチーフが大集結 松竹梅や七福神をはじめとしたラッキーモチーフをはじめ、思わず笑みがこぼれるような表情を見せる人物や動物の表現や、見ているだけで心が楽しくなるような幸福感にあふれた情景。本展は、そんな見るものを楽しく幸せな気持ちにさせる力を持った55点の作品群で構成されている。 Photo: Keisuke Tanigawa竹内栖鳳『艶陽』山種美術館蔵 Photo: Keisuke Tanigawa児玉希望『鯛』山種美術館蔵 まず、2025年は巳(み)年。ヘビや初夢にちなんだ作品も多数出展されている。竹内栖鳳の『艶陽』に登場するヘビは、うろこ一枚一枚がとてもリアルに表されている。穏やかな色合いのヘビと植物は、清々しい気持ちになる新年にぴったりだ。縁起が良さそうな児玉希望の『鯛』は、鮮やかな青と赤、金色が目を引く。 Photo: Keisuke Tanigawa横山大観『寿』山種美術館蔵 Photo: Keisuke Tanigawa小松均『赤富士図』山種美術館蔵 横山大観の『寿』は、墨で描かれたユニークな造形の文字だけでなく、背景に金泥で松竹梅も描かれ、幸福度が高まる上に力も出てきそうだ。小松均の『赤富士図』は、大迫力の赤い富士が目の前に迫り、貫禄がある。 愛らしくほっこりする動物も 伊藤若冲の『伏見人形図』は、モチーフと色合いともにポップな作品だ。若冲はあまり人物画を描いてこなかったが、この郷土玩具である伏見人形はよく題材にしていたという。現代にも通ずるキャラクターのようでもあり、若冲の画題の幅広さと画家としての非凡な才能も感じるだろう。 Photo: Keisuke Tanigawa伊藤若冲『伏見人形図』山種美術館蔵 Photo: Keisuke Tanigawa川端龍子『華曲』山種美術館蔵 猛々しくない獅子がチョウにおびえる川端龍子の『華曲』では、獅子が何ともとぼけた表情を見せており、思わず笑みがこぼれる。 Photo: Keisuke Tanigawa渡辺省亭『葡萄』山種美術館蔵 Photo: Keisuke Tanigawa山口華楊『生』山種美術館蔵 渡辺省亭の『葡萄』は、毛の質感まで細かに表されているネズミをじっくりと鑑賞したい。そのほかにも、気持ち良さそうな表情を見せる鶴や、愛らしい子牛に気持ちが和む。 ジャーナリスティックな視点を持つ龍子作品 メインビジュアルにもなっている龍子の『百子図』は、ゾウの周りにうれしそうな表情を見せる子どもたちが集まっている。 1949年、ゾウのいない「上野動物園」に、インドからゾウが贈られた。動物園のスターであるゾウと子どもたちが戯れる平和な光景が描き出された本作は、子孫繁栄を象徴する作品だ。当時のニュースをテーマにした、龍子の終戦直後のジャーナリスティックな視点も感じ取れる。 Photo: Keisuke Tanigawa川端龍子『百子図』大田区立龍子記念館 ユニークな表情のはにわも展示 最近、注目のはにわも登場。本展のはにわは、小さなイノシシを抱え、狩猟の成功を象徴するような笑った表情を浮
どこでもないどこかの風景が広がる、府中で小西真奈による初の大規模個展が開催

どこでもないどこかの風景が広がる、府中で小西真奈による初の大規模個展が開催

どこか懐かしさを感じさせ、穏やかに人々の記憶に語りかける。そんな風景画を描く小西真奈は、現代の日本において風景画の可能性を広げている画家の一人だ。 「府中市美術館」では、そんな小西の個展「小西真奈 Wherever」が2025年2月24日(月・祝)まで開催している。大型作品13点を含め、2000年代と2010年代の作品で構成された本展では、小西によるどこでもないどこかの風景画が広がる。 作家自身による展示構成 小西は、アメリカの美術大学で学んだ後に帰国。2006年の「VOCA賞」を受賞し、評価を確立した。本展では、3つのスペースの展示構成も自ら行い、設営自体が絵を描いているようだったという。 Photo: Chikaru Yoshioka作品説明を行う小西 Photo: Chikaru Yoshioka油彩画(左)と鉛筆画 明るい光の表現とフリーハンドの線で表された油彩画や、輪郭だけ残すような描き方の鉛筆画が展示され、清々しく気持ち良い空間が広がる。 Photo: Chikaru Yoshioka鮮やかな色合いの作品が展示空間を彩る 記憶のアルバムをめくるような展示 今年に描かれたものは、小西が多摩地域にアトリエを構えていることから、同地域になじみのある場所が数多く登場する。この数年の間、出産やパンデミックで隔離生活を余儀なくされた小西は、自宅近くの公園や植物園などの身近な景観を捉えた。 「都立神代植物公園」は数多く描かれ、温かさと晴々しい雰囲気を醸し出している。反射する水面や青々とした緑、澄み切った空が生き生きとし、その中に自身の子どもや人物が描かれている時もある。 Photo: Chikaru Yoshioka温室を描いた作品群 Photo: Chikaru Yoshioka温室を描いた作品群 写真を元に描いていることから、特定の場所でありながら、誰にとっても懐かしさを感じさせるのも小西の風景画の魅力だ。作品一点一点には、遠い記憶をたどり、アルバムをめくるような感覚がある。 静寂に支配される画面 阿蘇や岩手県の浄土ヶ浜といった日本国内の景色は、2004〜2009年の間に制作された。現場で写真を撮影した後、アトリエで写真を元に描き、どこかに数人の人物が入っているのが特徴だ。 川辺や岩場など、壮大な自然の風景が描かれた作品群は、そこに音が存在しないような静寂に支配されている。実際の場所を精緻に描いているはずなのだが、異界を感じさせ、どこでもないような神秘的な場所に見える。 Photo: Chikaru Yoshioka2006年のVOCA賞受賞作品『キンカザン』(左) VOCA賞を受賞した宮城県のキンカザンでの作品は、霧がかった山から神聖な空気が醸し出されている。そのまま画面上に吸い込まれそうな魅力も放つ。 Photo: Chikaru Yoshioka壮大な自然を描いた作品群 時が止まったような絵画群はいつまでも観ていられるようだ。街中の喧騒(けんそう)から離れ、ぼーっとしたい時に足を運びたくなるような本展。ふらりと訪れてほしい。 関連記事 『小西真奈 Wherever』 『東京、12月に行くべきアート展5選』 『木彫植物が建築空間に溶け込む、渋谷で「須田悦弘」展が開催』 『2025年3月下旬、大宮に「住めるミニシアター」が誕生』 『東京、12月に行くべき無料のアート展12選』 東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら
東京、12月14・15日に行きたいアート展3選

東京、12月14・15日に行きたいアート展3選

心に響くアート作品と出合える喜びや感動は、冬の寒さをも吹き飛ばす。そんな時間を過ごしてほしく、今週末に行きたいアート展を集めた。「ポーラ美術館」での印象派から現代美術までの色の秘密に迫る展示、「ギンザ グラフィック ギャラリー」の菊地敦己の個展、「文化学園服飾博物館」での衣服に広がる動物の模様と、厳選して紹介したい。 カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ ゲルハルト・リヒター《ストリップ(926-3)》2012年 ポーラ美術館 © Gerhard Richter 2024 (18062024) 「ポーラ美術館」で、「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」が開催。ウジェーヌ・ドラクロワ(Eugène Delacroix) 、クロード・モネ(Claude Monet)、アンリ・マティス(Henri Matisse)、ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)、草間彌生、杉本博司、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)など、印象派から現代美術まで、近現代美術における「色彩」の変遷をダイナミックに紹介する。 自然や都市、美術館などで目にする現実の色より、画面を通して経験する「仮想の色」に慣れつつある現代社会。しかし、時代を表してきた美術家たちは、日々研究を重ね、独自の表現方法を創り、人生をかけて色彩を生み出してきた。 チューブに入った油絵の具を巧みに扱い、さまざまな色彩によって視覚世界を再構築した19世紀の印象派や新印象派、20世紀のフォーヴィスムの絵画や抽象絵画。そして、色彩の影響力によって観る者の身体感覚を揺さぶる現代アート。日々の暮らしに彩りをもたらし、物質と精神をともに豊かにしてきた「本当の色」を身近に感じてほしい。 ※12月14日〜2025年5月18日/9~17時(入館は閉館の30分前まで)/料金は2,200円、学生1,700円、中学生以下無料 菊地敦己 グラフィックデザインのある空間 Wasting Time, 2013 「ギンザ グラフィック ギャラリー」で、アートディレクターであり、グラフィックデザイナーの菊地敦己の展示が開催。空間の中のグラフィックをテーマに、「平面上の空間」と「空間上の平面」との関係性を探る3つのインスタレーションを展開する。 菊地は、武蔵野美術大学彫刻学科在籍中にデザインの仕事を開始して以来、独自の方法論を築きながら30年にわたって精力的に活動を続けている。美術館のビジュアル・アイデンティティーやサイン計画、ファッションブランドのためのアートディレクションをはじめ、エディトリアルブックデザインの分野でも秀逸な仕事を数多く残す。 それと並行し、批評性をもった実験的な作品を発表する展覧会を頻繁に開催し、多面的な表現活動を行っている。見るという感覚を揺さぶる、菊地のグラフィックデザインを体感してほしい。 ※12月10日〜2025年2月1日/11〜19時/休館日は日曜・祝日/入場は無料 あつまれ! どうぶつの模様 裂:ミイラ覆い布(部分)[アヌビス神] エジプト 前305-前30年 (12月5日-1月23日) 「文化学園服飾博物館」で、「あつまれ! どうぶつの模様」展が開催。世界各地の衣服に表される動物の模様を集めてそれらの持つ意味を探り、人間と動物の本来あるべき関係を改めて問う。 鳥や獣などの動物をモチーフとした模様を衣服に取り入れることは、さまざまな地域で見られる。模様からは、それぞれの民族がどのような動物を目にし、どのように暮らしを
木彫植物が建築空間に溶け込む、渋谷で「須田悦弘」展が開催

木彫植物が建築空間に溶け込む、渋谷で「須田悦弘」展が開催

「渋谷区立松濤美術館」で、「須田悦弘」展が2024年11月30日からスタートした。新作13点や貴重な卒業制作をはじめ、絵画、ドローイング、補作を公開する本展は、東京の美術館では25年ぶりとなる。建築家・白井晟一が手がけた1980年代風の雰囲気がたっぷりと漂う同館に、草花や雑草の木彫作品を須田悦弘自身が感覚的に配置し、植物が持つ静けさが広がる唯一無二の世界を作り上げている。会期は2025年2月2日(日)までだ。 白井晟一の建築空間に植物が溶け込む 須田は多摩美術大学でグラフィックデザインを学ぶも、授業でスルメを彫ったのをきっかけに木彫りの楽しさに目覚めた。卒業後、日本デザインセンターに就職するが、1年で退職。その後、植物の彫刻を30年以上制作し続けている。 Photo: Kisa Toyoshima須田悦弘『スルメ』1988年 作家蔵 本展では、インスタレーションとして実寸大の植物たちが展示され、美術館の建築とコラボレーションした空間が広がる。小さな雑草や草花が、さりげない箇所や意外な空間、屋外にも配されているため、館内のあらゆる箇所に目を向けてほしい。 Photo: Kisa Toyoshima須田悦弘『コブシ』1994年頃 作家蔵 Photo: Kisa Toyoshima須田悦弘『ドクダミ』2024年 作家蔵 真ん中の吹き抜けに池と噴水があり、レトロさとノスタルジックさが漂う同館の建築空間は非常に魅力的だ。ベルベットの壁のサロンのような雰囲気の2階展示室は、中央に大きなソファが置かれている。ゆったりと落ち着きながら美術鑑賞を楽しみたい。 本物と見紛うほどの精巧さ 「好きな植物しか作っていない」という須田は、同じ植物を何度も作ることもある。ツバキやアサガオ、サザンカなど、形や色、薄さを見ながら、道を歩いてきれいだと思ったものを制作している。花芯や細い茎、花弁や葉の精巧さは驚異的で、間近でじっくりと鑑賞すると本物そのもののようだ。館内の見落としそうな箇所に配置された、ひっそりと存在する草花や雑草は非常に愛らしい。 Photo: Kisa Toyoshima須田悦弘『スズメウリ』2024年 作家蔵 須田はドローイングや下絵を描かず、実物や写真を見てじかに掘り出している。基本的には、非常に彫りやすい素材だという朴(ほお)の木を使用。「非常に彫りやすい素材」なのだとか。 古美術やデザインの仕事も 個人的に古い仏像や寺が好きな須田による、古美術の欠損部分を補う「補作」の作品も展示。現代美術作家の杉本博司に依頼されて補った鎌倉時代の神鹿像の補作などは、どこを補ったか分からないほどの精緻さが見られるだろう。 また、現在までデザインを手がけている須田のパッケージデザインのイラストも並ぶ。写実的であったり、イラスト的であったりと、クライアントに応じて巧みに描き分けている。 Photo: Kisa Toyoshima《春日若宮神鹿像》鎌倉時代(13~14世紀)※須田悦弘 補作:角・榊・鞍(平成時代)、瑞雲(令和時代)《五髷文殊菩薩掛仏》鎌倉時代 公益財団法人小田原文化財団蔵 日常を忘れ、小さな植物たちと対峙(たいじ)する贅沢な時間が過ごせる本展。宝探しのように館内で作品探しを楽しんでほしい。 関連記事 『須田悦弘』 『東京お台場トリエンナーレ2025が来秋初開催、草間彌生のインスタレーションも』 『1年半の「不在」を展示テーマに、三菱一号館美術館がリニューアルオープン』 『東京、12月に開催されるシネマフェスティバル4選』 『2025年3月ア
東京、11月〜12月に開催されるダンス公演3選

東京、11月〜12月に開催されるダンス公演3選

冬はダンス鑑賞が熱い。年に一度のコンテンポラリーダンスの祭典、舞踏カンパニー・大駱駝艦の新作公演、トランスナショナルな視点による作品が集まったYPAM2024など、このシーズンに観るべきダンス公演を紹介しよう。いま、そこでしか起こらないステージを目撃してほしい。 ヨコハマダンスコレクション リュウ・イリン『…and,or…』Photo:菅原康太 「横浜赤レンガ倉庫」1号館、「横浜にぎわい座」のげシャーレ、「KAAT 神奈川芸術劇場」で、「ヨコハマダンスコレクション」が開催。約500人の振付家を世界に送り出した公募型コンペティションのほか、近年の受賞者による公演、世界的に活躍する振付家の新作、海外のフェスティバルとの連携など、多彩なプログラムが展開する。 今注目すべき国内外のアーティストでは、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク、ジョルジュ・ラバット(Georges Labbat)、髙橋春香、小㞍健太などが参加。また、横浜・ソウル・香港の3つのダンスフェスティバルが専門性とネットワークを共有して2017年から展開している「HOTPOT 東アジア・ダンスプラットフォーム」も同時開催する。 ダンスを愛する人はもちろん、美術や建築、アジアをはじめ世界各地の多様でクリエーティブな動きに興味のある人もぜひ訪れてほしい。 ※11月28日〜12月15日/上演時間・料金は公演により異なる 横浜国際舞台芸術ミーティング Graphic design: Tezzo Suzuki / Photo: Courtesy of Asahi Shimbun 「KAAT 神奈川芸術劇場」ほか多数の劇場やスペースで、「横浜国際舞台芸術ミーティング」(以下YPAM)が開催。アジアで最も影響力のある舞台芸術プラットフォームの一つとして国際的に認知されているYPAMは、職業的目的に特化した一部のプログラムを除き、ほとんどのプログラムは一般観覧ができる。 主催公演では、日本体育大学学生70人とドイツの現代バレエの振付家とのコラボレーション作品「集団行動」や、シンガポールの演出家が横浜を中心にボランティアパフォーマーを募って取り組むイギリスのバロックオペラのクィア的翻案「ディドーとエネアス」が日本初演となる。また、在日コリアンの死刑囚との想像上の対話を通して、日本の暴力史を考察するレクチャーパフォーマンスなど、トランスナショナルな視点による作品が集まった。 今、ここでしか体験することのできないライブパフォーマンスを目撃してほしい。 ※11月29日〜12月15日/上演時間・料金は公演により異なる 脳-BRAIN- Photo : Daiga Koshiyama 「世田谷パブリックシアター」で、麿赤兒率いる舞踏カンパニー「大駱駝艦」の「脳-BRAIN-」 が上演される。内なる宇宙である「脳」をテーマとして人と脳の関係性を問う、2年ぶりの新作だ。 1972年創設の大駱駝艦は、1982年に舞踏カンパニーとして初のフランス・アメリカ公演を行い、鮮烈なインパクトを与えて世界に広く「Butoh」を浸透させた。主宰の麿は、常に「人類とは」を掘り下げて考え、あらゆる角度からアプローチし、創作活動を続けてきた。作品のテーマは、人類の行く末を憂いつつも、未来に希望の思いを馳せている。 舞踏手17人が繰り出す、目の覚めるようなステージを体感してほしい。 ※11月28・29日 19時30分〜、11月30日・12月1日 15時〜/料金は前売りS席6,000円、24歳以下4,000円/前売りA席5
東京、11月30日・12月1日に開催されるアート展4選

東京、11月30日・12月1日に開催されるアート展4選

今週末に行くべき注目のアート展を紹介したい。「東京都現代美術館」での年に一度のアートブックの祭典や、「東京都庭園美術館」での青木野枝と三嶋りつ惠による新作インスタレーション、「パルコミュージアムトーキョー」のゴジラ生誕70周年を記念したアート展など、個性あふれるイベントをセレクトした。アートを通して新しい世界に出合ってほしい。 TOKYO ART BOOK FAIR Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König Archive 「東京都現代美術館」で、「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」が2024年11月28日(木)〜12月1日(日)に開催。国内外から約300組の出版社、ギャラリー、アーティストが一堂に集まり、アートブックやZINEの魅力を直接伝える。 一つの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「ゲストカントリー」の第8弾では、ドイツをフィーチャー。日本でも高い人気を博すアーティストのステファン・マルクス(Stefan Marx)やベルリンのアートブックフェア「MISS READ」、老舗出版社「Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König」、世界一美しい本を作ると評される「シュタイデル(Steidl)」など、ドイツのアート出版をけん引する多様なブックメイカーたちをひもとく。 また、前述のマルクスのほか、MISS READを主宰するミハリス・ピヒラー(Michalis Pichler)、キュレーターの中島点子、ベルリンの書店「do you read me?!」、クリエーティブエージェンシーの「Studio Yukiko」がキュレーターとなった選書コーナーも登場。現代ドイツのインディペンデント出版シーンを垣間見ることができる。 年に一度のアートブックの祭典を見逃さないように。当日券は若干数の発券予定なので、注意してほしい。 ※11月28日 12〜19時、11月29日~12月1日 11〜18時/入館は閉館の30分前まで/料金はオンライン事前予約制1,000円(別途発行手数料165円)、当日1,200円、小学生以下無料 GODZILLA THE ART by PARCO キービジュアル 「パルコミュージアムトーキョー」で、ゴジラ生誕70周年を記念したアートプロジェクト「GODZILLA THE ART」の第4弾「GODZILLA THE ART by PARCO」が2024年11月29日(金)〜12月16日(月)の会期で開催。現代アートギャラリー「ナンヅカ(NANZUKA)」所属の中村哲也や大平龍一をはじめ、浅野忠信などの世界各国15人のアーティストたちが参加する。 1954年に第1作目となる『ゴジラ』の公開以降、国内30作品、アニメーション3作品、ハリウッド版5作品を含めた、計38作品のシリーズを制作してきたゴジラ。本展では、それぞれのアーティストがゴジラへの思いと独自の視点を反映させ、ゴジラをモチーフにさまざまな手法、メディア、スケールでアート作品を生み出した。 また、映画で使用されたゴジラスーツの立像やジオラマも特別公開するほか、特別なゴジラフィギュア、展覧会オリジナルグッズも販売予定。入場予約チケットは2024年11月29日(金)〜12月1日(日)のみ事前予約制で、11月22日(金)10時から販売開始だ。 ※11〜21時(12月16日は18時まで)/入館は閉館の30分前まで/料金は1,000円、未就学児無料 そ
東京お台場トリエンナーレ2025が来秋初開催、草間彌生のインスタレーションも

東京お台場トリエンナーレ2025が来秋初開催、草間彌生のインスタレーションも

観光地として国内外に広く知られているお台場で、2025年秋に新たな国際芸術祭「東京お台場トリエンナーレ2025」が誕生。国内外の現代アートを中心とする同芸術祭は、2025年10月18日(土)から12月25日(木)に開催予定だ。美しいウォーターフロントを舞台に、野生的なインスタレーションや歴史的なものを取り込んだ現代アートが点在する。 ウォーターフロントを舞台に現代アートが街を彩る 東京湾に面した埋立地に造成された街で、豊富なスペースが魅力的なお台場。芸術祭の会場となるのは、「台場公園」「フジテレビジョン本社屋」「フジテレビ湾岸スタジオ」「日本科学未来館」だ。水辺で緑が多いこれらのエリアでは、秋の街歩きも楽しめるだろう。 フジテレビ本社屋 芸術祭のアーティスティックディレクターを務めるのは、「埼玉県立近代美術館」や「草間彌生美術館」館長の建畠晢と、国際現代美術展の芸術監督やキュレーターを歴任してきた三木あき子、「ANB Tokyo」の設立とディレクションを手がけた山峰潤也だ。この3人が現代アートを通して、さまざまな角度からお台場を切り開いていく。 Photo: Chikaru Yoshioka「東京お台場トリエンナーレ 2025」記者発表会。左から東京都生活文化スポーツ局文化振興部長・蜂谷典子、アーティスティック・ディレクターの山峰潤也、三木あき子、建畠晢、お台場トリエンナーレ実行委員会実行委員長・遠藤龍之介、実行員会事務局長・宮道治朗 野生・カオス・新世界がキーワード 今回のテーマは、「泰平の眠りを覚ます上喜撰―野生とカオスと新世界」。お台場は、かつて幕末に造られた江戸湾の防衛拠点であり、地名の「台場」は大砲を置く「台」となる場所を意味している。1853年のペリー来航に直面した江戸幕府が外国船の襲来の脅威を感じ、江戸を守るために人口の島を築いた。江戸時代の歴史あるお台場は、その後、東京のウォーターフロント開発の象徴ともいえる発展をしてきた。 台場公園 砲台が草地の中に散在している現在の風景は、遺跡のような雰囲気を持つ。野趣に富む遺跡と計画的に整備された街並みが共存するお台場には、新たな世界を切り開く潜在的なエネルギー、またはカオスをも受け入れる野生的なバイタリティーが潜んでいる。 草間彌生や笹岡由里子が参加 参加アーティストは、草間彌生、笹岡由梨子、アブラハム・ポワンシュヴァル(Abraham Poincheval)、ヤギの目、ルー・ヤン(Lu Yang)、ブラスト・セオリー(Blast Theory)。草間は2000個のミラーボールが屋外に輝く『ナルシスの庭』と、巨大バルーンの『ヤヨイちゃん』の2つの作品を出展する。 草間彌生 笹岡由梨子 《LOVERS》 2024年 Photo:西野正将 毒のあるユーモアを持つ人形劇で知られる笹岡は、ユーモラスでグロテスクな人形劇を発表。近年海外での仕事も多く、ベルリンの動物園では「動物の労働」というテーマで制作した。 アブラハム・ポワンシュヴァル 《Bouteille, Saint-Denis (FR)》 2024年 
Courtesy Semiose. Photo: Hafid Lhachmi. ADAGP Paris 2024. 雲の上を歩こうとしたり、運河沿いにボトル型のボートで1週間暮らしたりといった、体を張った探検家のようなパフォーマンスで知られるポワンシュヴァルは、お台場で異なる世界の見え方を提供する作品を公開予定だ。 参加アーティストは全部で40人ほどになる予定で、会場
1年半の「不在」を展示テーマに、三菱一号館美術館がリニューアルオープン

1年半の「不在」を展示テーマに、三菱一号館美術館がリニューアルオープン

丸の内のランドマークとして知られている「三菱一号館美術館」。2023年4月から、空調設備の入れ替えや全館LED照明化、壁面と絨毯の色の変更などの修繕工事のため長期休館していたが、2024年11月23日に晴々しいリニューアルオープンを迎えた。 待ちわびた初回の展示を飾るのは、フランスを代表する現代アーティスト、ソフィ・カル(Sophie Calle)と、同館のコレクションの中核を成すアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec)だ。所蔵作品と現代アーティストとの協働である『「不在」―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』は、2025年1月26日(日)まで開催されている。 カルから提案されたテーマ「不在」 かねて喪失や不在についての考察を行うカルから提案された、本展のテーマ「不在」。カル発案の主題をもって、同館はロートレックのコレクションを構成した。 Photo: Keisuke Tanigawaロートレックの作品群が並ぶ Photo: Keisuke Tanigawaロートレックの作品 19世紀に人物そのものに迫る作品を描いたロートレック。テーマに対しては、色彩・線描・形態の不在、女性の存在と男性の不在、あるいは、不在と存在の可視化など、不在という視点を交えて、ポスター32点や主要版画作品などの合計136点の作品群を改めて読み解いている。 Photo: Keisuke Tanigawaカルの作品の展示風景 Photo: Keisuke Tanigawa展示テーマの「不在」 カルは、死にまつわる『自伝』や、額装写真の前に垂らされた布をめくると写真が現れる『なぜなら』といった代表的なシリーズをはじめ、ピカソ作品の不在を示す『監禁されたピカソ』、絵画の盗難がきっかけとなったシリーズ『あなたには何が見えますか』、映像作品『海を見る』など、多様な創作活動を紹介している。 ロートレックによって「存在」を記録された友人たち ロートレックは、生涯にわたって人物画を描き続けた。ダンスホール、キャバレー、サーカスと、自らも大いに娯楽を楽しんだ彼は、パリ・モンマルトルでの歓楽の様子を描いた鮮やかなポスターなどで知られている。常に人間を観察してきた彼によって、その存在を作品に記録されたモデルや友人たちにも注目したい。 Photo: Keisuke Tanigawa鮮やかなポスター Photo: Keisuke Tanigawaワニが登場するメニューカード その中でも印象的なのが、コメディー要素を持つワニと人物画が出てくるメニューカードである。シンプルに描かれたワニは、ロートレックの死後、そのコレクションを守り抜いた友人であり画商のモーリス・ジョワイヤン(Maurice Joyant)を表している。その存在は何とも愛らしい。 Photo: Keisuke Tanigawa動物たちの作品 また、ロートレックに代表されるポスターとは異なった印象を持つ、動物たちを描いた作品群も紹介したい。1894年に出版されたジュール・ルナール(Jules Renard)による小説『にんじん』に感銘を受けたロートレックが、ルナールとともに制作した。 Photo: Keisuke Tanigawa動物の作品 それぞれの動物を短文で見事に描写するルナールと、微細なたたずまいを感じさせる生き物の姿を捉えたロートレック。簡潔かつ見事なデッサンから、生き物に対するロートレックの強い関心と優れた観察力が伝わるだろう。ロートレッ
アートウィーク東京が開催、現代アート作品が買える特別展「AWT FOCUS」も

アートウィーク東京が開催、現代アート作品が買える特別展「AWT FOCUS」も

2024年11月7日(木)〜10日(日)で開催される、年に一度の現代アートの祭典「アートウィーク東京(AWT)」。無料バスでのギャラリー・美術館巡りや、現代アート・建築・フードのコラボレーションによる「AWT BAR」など、多様で魅力的なプログラムが展開する。ここでは、美術館とギャラリーの体験をかけ合わせた、展示作品が買える特別展「AWT FOCUS」に注目して紹介したい。 虎ノ門「大倉集古館」を舞台にする本展では、「森美術館」の館長・片岡真実監修の下、「大地と風と火と:アジアから想像する未来」をテーマに57組のアーティストによる作品群が集合した。 自宅の壁に飾るなら? 購入する視点で鑑賞してみる 本展は作品購入が目的のギャラリーと、作品鑑賞がメインの美術館の2つの要素をかけ合わせた企画で、出展作品は全て購入可能だ。館内には、国内外のギャラリーが提案したい作品が、片岡のキュレーションにより配置されている。 Photo: Kisa Toyoshimaトーマス・ルフ(Thoma Ruff)の作品 Photo: Kisa Toyoshimaトーマス・ルフ(Thoma Ruff)の宇宙の模様を作るカーペット 現代ドイツ写真を代表するアーティストの一人であるトーマス・ルフ(Thoma Ruff)の作品には、人工的に生成されたフラクタル構造がベロア素材のカーペットにプリントされている。自宅に敷ける宇宙の模様を作るこのカーペットは、視覚的な美しさと深み、立体感を持つ。自宅での配置方法などを思案しながら鑑賞することで、作品との関係性が少し近くに感じられるのが面白い。 中国調の大倉集古館の装飾も堪能 ホワイトキューブの空間ではなく、黒を基調にした中国調の建築に作品が公開されている本展では、同館の装飾や雰囲気も楽しめる。片岡は、中国風の邸宅に自身が住んでいるという体で、作品配置を考えたという。 Photo: Kisa Toyoshima金子富之の作品 世界各地の妖怪、精霊、神仏など目に見えない精神世界を描き続ける金子富之の作品には、迫力満点の龍蛇(りゅうだ)神が描かれている。天井や柱にも竜の装飾があり、作品と空間とのコラボレーションは見応えがある。 Photo: Kisa Toyoshimaホセ・ダヴィラ(Jose Davila)の作品 また、メキシコ人建築家でありアーティストのホセ・ダヴィラ(Jose Davila)の作品は、メキシコで生まれたアカプルコチェアのフレームから自然石がぶら下がっている。作品の後ろには同館の赤い窓枠があり、作品の影と合わさって、絶妙なバランスの空間を生み出す。 空間に流れる物語を体感する アジア的宇宙観を起点に、自然の推理や目に見えないエネルギーといった観点から世界を見つめ、多様性が共存する未来を創造する本展。さまざまな文化的背景を持つ作品群を通して、世界や宇宙を俯瞰(ふかん)するようなストーリーを感じることができる。 Photo: Kisa Toyoshima原田裕規の作品 原田裕規のCG映像には、生命が見当たらない、過去か未来の地球をイメージした空間が写されている。その中で作家は、現存する2万種以上の生物名を読み上げる。 Photo: Kisa Toyoshima小林万里子の刺しゅう作品『所有され得ぬ者たち』 小林万里子は、「死んで土に還る」という循環の中、動植物が同じ世界観で生きる刺しゅう作品『所有され得ぬ者たち』や、死んだ猫から植物が生える『この世界からは出ていくけれど』を展開。 Photo: Kisa