Chikaru Yoshioka

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東京、3月に行くべきアート展5選

東京、3月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、3月に行くべきアート展5選 積極的に外出がしたくなる季節。グッとくる新しいアートとも出合いたい。ここでは、2025年3月に東京で行くべきアート展を厳選して紹介しよう。全て日本初公開・初来日となる抽象絵画の先駆者の「ヒルマ・アフ・クリント展」、「麻布台ヒルズギャラリー」での松山智一の東京で初となる大規模個展、「アーティストラーメンどんぶり」が登場する展示など、この春一押しのアート展をセレクトした。心に響く体験をしてほしい。 関連記事『東京、2025年注目のアート展13選』
東京、3月に行くべき無料のアート展9選

東京、3月に行くべき無料のアート展9選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、3月に行くべき無料のアート展9選 アートにあふれる街、東京。ここでは無料のアートイベントを紹介する。 「銀座メゾンエルメス フォーラム」での、マリー・ローランサンや津田道子らによるグループ展や、休館中の「Bunkamura」館内での渋谷の街とストリートに焦点を当てた展示やイベントをはじめ、入場無料で楽しめるアート展を揃えた。気軽に立ち寄ってほしい。 関連記事『東京、3月に行くべきアート展5選』
東京、2月に行くべきアート展5選

東京、2月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、2月に観るべきアート展5選 2025年2月に東京で行くべきアート展示を厳選して紹介したい。全館オープンを迎える「横浜美術館」、4月からの休館を前にコレクションが勢揃いする「DIC川村記念美術館」といった建築空間も堪能したい展示や、20世紀前半を代表するアーティストカップルを特集する「アーティゾン美術館」など、他では見られないテーマのアート展をセレクトした。 今月はどんなアートに出合うだろうか。心躍るひとときを過ごしてほしい。 関連記事『東京、2月に行くべき無料のアート展8選』  
東京、2月に行くべき無料のアート展8選

東京、2月に行くべき無料のアート展8選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、2月に行くべき無料のアート展8選 アートにあふれる街、東京。本記事では、2025月2月に行きたい無料のアートイベントを紹介する。 スクリプカリウ落合安奈ら若手アーティスト6人によるグループ展や、アーティストユニット・米谷健+ジュリアの個展、トレヴァー・ヤンと毛利悠子による二人展など、入場無料で楽しめるアート展を揃えた。参考にしてみてほしい。 関連記事『2月に開催される注目の芸術祭4選』
2月に開催される注目の芸術祭4選

2月に開催される注目の芸術祭4選

タイムアウト東京 > カルチャー > 2月に開催される注目の芸術祭4選 2025年2月に開催される芸術祭やアートフェアを厳選して紹介したい。アートとテクノロジーの祭典や、普段は一般非公開の会場で開かれるフェアなど、そこでしか体験できない創造性あふれるアート空間が待っている。 関連記事『2025年、見逃せない芸術祭8選』
チームラボプラネッツでしかできない5つのこと

チームラボプラネッツでしかできない5つのこと

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > チームラボプラネッツでしかできない5つのこと 単一アートグループとして世界で最も来館者が多い美術館として、ギネス世界記録に認定された、豊洲の「チームラボプラネッツ東京 DMM」。国内外から高い評価を受ける同館が、2025年1月22日(水)に大規模拡張しオープンした。 今回、絶滅動物を捕まえる『つかまえて集める森』や、創造的な運動空間の『運動の森』といった20点以上の作品群を公開。さらに、ランを育成する空間で茶や酒を楽しむ『Orchid Glass House』などの新設や、ビーガンラーメンを食べる作品空間『Black Emptiness Table』も大々的にリニューアルした。 ここでは、新しい見どころが満載の増設スペースの魅力を5つに絞って紹介したい。 関連記事『チームラボでしか実感できない3のこと』
東京、1月に行くべき無料のアート展6選

東京、1月に行くべき無料のアート展6選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、1月に行くべき無料のアート展6選 ここでは2025年1月に開催する入場無料のアート展を紹介したい。「TOTOギャラリー・間」での漫画と建築のコラボレーション展や、宮原夢画の写真展、丹下健三と隈研吾の建築展など、入場無料で鑑賞できるアート展を揃えた。リストを片手にアート巡りと街歩きを楽しんでほしい。 関連記事『2025年、見逃せない芸術祭8選』
東京、1月に行くべきアート展5選

東京、1月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、1月に行くべきアート展5選 2025年1月に東京で行くべきアート展をお届け。「パナソニック汐留美術館」のル・コルビュジエの絵画芸術にスポットを当てる日本初の展覧会のほか、「森アーツセンターギャラリー」でのえりすぐりの古代エジプト美術が集結する展示など、見逃せない展覧会を紹介する。新たな年に新たな作品世界に出合おう。 関連記事『東京、2025年注目の漫画・アニメ展』
2025年、見逃せない芸術祭8選

2025年、見逃せない芸術祭8選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 2025年、見逃せない芸術祭8選 地域やエリアの特色を生かしながら、国内外の先駆的なアートやパフォーマンスが一気に集結する芸術祭。ここでは、2025年に開催予定の全国各地の芸術祭を厳選して紹介したい。 初開催の「東京お台場トリエンナーレ」や「千葉国際芸術祭」のほか、瀬戸内の島々を舞台に繰り広げられる「瀬戸内国際芸術祭」や、「大阪・関西万博」を機に開催する「大阪関西国際芸術祭」など、来年の芸術祭巡りの参考にしてほしい。 関連記事『東京、2025年注目のアート展13選』
東京、2025年注目のアート展13選

東京、2025年注目のアート展13選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、2025年注目のアート展13選 2025年に東京都内で開催される注目のアート展を特集。「東京オペラシティ アートギャラリー」の今津景の大規模個展、「森アーツセンターギャラリー」の古代エジプト展、「東京都美術館」でのミロ展、「TOKYO NODE」でのデザインを体感する「デザインあ展neo」、「森美術館」での藤本壮介の建築展など、さまざまなジャンルから厳選してセレクトした。 この記事を参考に、2025年の行きたいものリストを充実させてほしい。 関連記事『タイムアウトが「2025年、世界で注目するべき25のこと」を発表』
東京、12月に行くべきアート展5選

東京、12月に行くべきアート展5選

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、12月に行くべきアート展5選  2024年12月に東京で行くべきアート展を厳選して紹介しよう。「東京都現代美術館」での坂本龍一の最大規模の個展のほか、「ワタリウム美術館」の最新VR作品を中心とした雨宮庸介による個展、人々の願いが込められた美術にフォーカスする「HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―」など、個性あふれるアート展をセレクトした。それぞれの作品世界を楽しんでほしい。 関連記事『東京、12月に行くべき無料のアート展12選』
東京、12月に行くべき無料のアート展12選

東京、12月に行くべき無料のアート展12選

タイムアウト東京 > カルチャー > 東京、12月に行くべき無料のアート展12選 ここでは12月に開催する無料のアート展を紹介したい。杉本博司、ソフィ・カル、青柳龍太の3人のアーティストによる「UNSOLD UNSOLD」展や、虎ノ門「アート クルーズ ギャラリー バイ ベイクルーズ」でのソール・ライターの写真展、ロエベとのコラボレーションが大きな話題となったスナ・フジタの展示・抽選販売など、入場無料で鑑賞できるアート展を揃えた。冬のアート巡りを楽しんでほしい。 関連記事『東京、11月〜12月に開催されるダンス公演3選』

News (32)

六本木で「ラーメンどんぶり展」が開催、ユニークなアーティストラーメンどんぶりも

六本木で「ラーメンどんぶり展」が開催、ユニークなアーティストラーメンどんぶりも

日本を代表し、世界でも大人気の食べ物「ラーメン」。そのラーメンの器である「どんぶり」にスポットライトを当て、デザインの視点から調査・分析した展覧会「ラーメンどんぶり展」が、「トゥーワン トゥーワン デザインサイト(21_21DESIGN SIGHT)」で2025年6月15日(日)まで開催。 クリエーターによるオリジナルの「アーティストラーメンどんぶり」も40点登場し、ラーメンを切り口に、あらゆる視点からデザインの世界を楽しめるだろう。 在り方が多様な現代のラーメン 岐阜県東濃地方のうち、土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市にまたがる地域で製作される陶磁器「美濃焼」。多様な焼き物の産地であるこの地域では、日本のラーメンどんぶりの9割が作られている。 Photo: Kisa Toyoshimaラーメンにまつわる事柄を細かくかみ砕く本展 Photo: Kisa Toyoshima展示風景 本展は、ラーメンどんぶりを切り口に、美濃焼を知るプロジェクトの一環だ。過去にロサンゼルスやサンパウロ、多治見で開催された展示の拡大バージョンとして実現した。 ラーメンにまつわる事柄を細かくかみ砕く本展の冒頭では、ラーメンが登場するあらゆる漫画の一コマや、ラーメン史の年表が登場。まず、ラーメン自体を俯瞰(ふかん)し、理解を深める。 Photo: Kisa Toyoshimaラーメンが登場するあらゆる漫画の一コマ 現代のラーメンは、世界中に存在する即席麺から、ミシュランの星を獲得するラーメン店、宇宙食のラーメンまで、その在り方が実に多様だ。漫画『美味しんぼ』からの「ラーメンという下劣なものを私に食べろと言うのか」などといったセリフで、社会の世相からラーメンの立ち位置を捉える。 ラーメンをデザインの視点で解剖 次に、ラーメンとは何かを、外側から内側へとデザインの視点でじっくりと解剖していく。 Photo: Kisa Toyoshimaデザインの視点でラーメンを解剖 どんぶりの白さや、手にしっとり吸い付くようなマットな触感、たたくと奏でる澄んだ高音。また、ラーメンを食べ始める時の温度や、食べ終えるまでの好ましい時間なども徹底的に解析。併せて、どんぶりを作る際の道具、制作過程なども紹介する。 Photo: Kisa Toyoshima日本全国の店舗オリジナルどんぶり ラーメンどんぶりコレクターの加賀保行が集めた、日本全国の店舗オリジナルどんぶりもずらりと陳列。そのバリエーションの豊かさは見応えがあるだろう。 必見の「アーティストラーメンどんぶり」 注目は、アーティスト、デザイナー、建築家、イラストレーター、料理研究家たち40人がデザインした、オリジナルの「アーティストラーメンどんぶり」。糸井重里、竹中直人、田名網敬一、束芋、皆川明、ヒグチユウコ、深澤直人、横尾忠則らが名を連ねる。 Photo: Kisa Toyoshima深澤直人のどんぶり Photo: Kisa Toyoshima竹中直人のどんぶり ラーメンに対する考えや思い出、食べ進めることで見えてくる意図など、コメントとともにどんぶりが展示されている。 Photo: Kisa Toyoshimaヒグチユウコのどんぶり Photo: Kisa Toyoshima田名網敬一のどんぶり 具材がいらない深澤の「素ラーメン用どんぶり」、自由に作っていいと言われたため自由自在にデザインした竹中、いつか作ってみたいと思っていたどんぶりを手がけたヒグチ。田名網は、昼に必ずラーメンを食べていたが、ある日黒い
神秘的な抽象絵画世界へ、ヒルマ・アフ・クリントの展覧会がアジア初上陸

神秘的な抽象絵画世界へ、ヒルマ・アフ・クリントの展覧会がアジア初上陸

スウェーデン出身の女性画家、ヒルマ・アフ・クリント(Hilma af Klint、1862〜1944年)のアジア初となる大回顧展「ヒルマ・アフ・クリント展」が、「東京国立近代美術館」でスタートした。本展は、21世紀になってから世界にその存在を知られるようになり、抽象絵画を創案した画家として再評価が高まる、アフ・クリントの全貌を紹介するもの。高さ3メートルを超える代表作『10の最大物』の10点を含め、140点の作品群が初来日となる貴重な機会だ。 日本初でアジア初の展覧会 2010年代から世界的に注目され、突如美術界に登場したアフ・クリント。彼女はスウェーデン王立芸術アカデミーで正規の絵画技術を身に付け、卒業後は職業画家として活動する。その一方で神秘思想に傾倒し、アカデミックとは全く異なる降霊術の体験を通して、抽象絵画を制作した。 Photo: Kisa Toyoshima『10の最大物,グループIV,No. 6.7,成人期』1907年、ヒルマ・アフ・クリント財団 Photo: Kisa Toyoshima『大型の人物像絵画、WU/薔薇シリーズ、グループⅢ、No.6』1907年、ヒルマ・アフ・クリント財団 1944年の死後、20年は作品を封印すると遺言に残されていたことから、長らく限られた人にしか作品が知られていなかったが、1980年代以降いくつかの展覧会で紹介が始まった。 2018年、ニューヨークの「グッゲンハイム美術館」で行われた展覧会では、同館史上最大となる約60万人超を動員。世界にセンセーションを起こし、その表現の先駆性や緻密な体系性など、モダンアート史上極めて重要な存在として評価されている。 Photo: Kisa Toyoshima『無題』1941年、ヒルマ・アフ・クリント財団 Photo: Kisa Toyoshima『パルジファル・シリーズ、グループⅡ、エーテルの折り畳み』1916年、ヒルマ・アフ・クリント財団 本展は、今日の美術界において最も興味深いアーティストの一人である彼女の、アジア初となる待望の展覧会だ。 精神世界の探究によって生まれた抽象絵画 没後70年たっても色あせることない、現代絵画と並ぶコンテンポラリーな魅力を放つアフ・クリント作品。先駆性を持つ彼女の抽象絵画は、スピリチュアルリズムや秘教的思想が基盤となる、精神世界の探究によって生まれた。 Photo: Kisa Toyoshima『進化、WUS/七芒星シリーズ、グループ Ⅵ』1908年、ヒルマ・アフ・クリント財団 Photo: KisaToyoshima『原初の混沌,WU/ 薔薇シリーズ,グループ Ⅰ』1906–07年、ヒルマ・アフ・クリント財団 思春期から霊的世界や神智学に関心を寄せていた彼女は、神秘的霊知によって神を認識できると説く信仰である神智学協会や、キリスト教や神智学の教えを融合したエーデルワイス協会の一員となる。そこで交霊や瞑想(めいそう)によって霊性からのメッセージを受け取り、それを作品として描き続けていた。 壮大なスケールの代表作『10の最大物』 高さ3メートルの壮大なスケールの代表作『10の最大物』は、圧巻だ。幼少期から老年期へと人生を4段階に分け、男性性を表す青色、女性性の黄色、白色と色彩が徐々に変化していく。 Photo: Kisa Toyoshima『10の最大物』展示風景 Photo: KisaToyoshima『10の最大物,グループIV,No. 1.2,幼年期』1907年、ヒルマ・アフ・クリント財団 よく
ヤノベケンジの宇宙猫島が登場、「ハイパーミュージアム」が飯能にオープン

ヤノベケンジの宇宙猫島が登場、「ハイパーミュージアム」が飯能にオープン

埼玉県飯能市の自然豊かな「メッツァビレッジ ムーミンバレーパーク」の森の中。宮沢湖のほとりに2025年3月1日(土)、次世代を開くアートを発信する現代美術館が誕生する。その名も「ハイパーミュージアム飯能」だ。 アート作品を「未来からやってくるコンテンツ」と捉え、ハイパーな才能を持つアーティストと協働し、時代に一石を投じる同美術館。8月31日(日)まで行われるオープニング展「ヤノベケンジ 宇宙猫の秘密の島」では、自然に溶け込む作品のストーリーに没入し、アートの面白さを今一度発見する、驚くべき体験が待っている。 ぶっ飛んだアーティストのハイパーな才能を 同館の館長に就任したのは、日本のアート業界を第一線でリードする、アートプロデューサーで編集者、京都芸術大学教授の後藤繁雄。閉塞(へいそく)を破り超えていくアートの思考や、才能に期待が高まる時代の先が見えない現代で、それを担うのは「ぶっ飛んだアーティスト」の「ハイパーな才能」だという。 Photo: Tsukio Nakanishi外観 アートにおける「キャラクター」や「ストーリー」を重要視し、AIを駆使したテクノロジーを取り入れ、自然とデジタルの新しい表現を探る現代美術館を目指す。 Photo: Tsukio Nakanishi開会式での館長・後藤繁雄 最大規模で最高傑作のヤノベケンジ展 オープニング展を飾るのは、世界的な造形アーティストであり、ストーリーテラーのヤノベケンジ。約80点から成る時代性とヤノベの個人史をクロスする館内展示と、外の立地を生かした巨大な造形『宇宙猫島』で構成される。 企画・キュレーションを手がけた後藤は、一般的に難しいという印象を持たれる現代アートのイメージから離れ、周囲の森を活用・増幅させてくれるような想像力を持つアーティストとしてヤノベを評価し、本展を協働した。 Photo: Tsukio Nakanishiヤノベケンジ 今年で作家活動35周年を迎えるヤノベは、1997年にチェルノブイリを訪問。時代のカタストロフをいち早くユーモラスな形態でアート化し、目次録な作品に取り組んできた。ビジョンや物語を用い、強烈なインパクトを持つ彫刻やキャラクターで知られている。本展は、自身にとって最大規模で最高傑作とのこと。この場所が「想像力を与えてくれた」とヤノベは語る。 Photo: Tsukio Nakanishi展示風景 Photo: Tsukio Nakanishi展示風景 作品を楽しむコツは、ヤノベの空想から始まり、作品群に通底するストーリーだ。現在も展示中で、後藤が展示プロデュースも務めた、「ギンザ シックス(GINZA SIX)」での巨大作品『BIG CAN BANG』。この作品は、地球に生命と文化をもたらした「宇宙猫」というバックストーリーを持つ。本展はそのスピンオフで、人類にとって美術はどういうものかといった問いを、使者の宇宙猫が作品を通して伝える 。 Photo: Tsukio NakanishiAIで描かれたカラーの絵画 また、これまでの活動を振り返り、現在につながるまでの立体・原画・特別映像も並ぶ。カラーで描かれたものは、AIによる制作。宇宙からやってきた猫もAIも、外側から提示されたものとして、今一度美術を考え直すという意味が込められている。 ボートでたどり着く『宇宙猫島』  一度見たら忘れられない、本展のために作られた湖に浮かぶ『宇宙猫島』。ボートに乗って、周囲50メートルの人工島である作品にたどり着く美術館は、世界中探してもないだろ
魅惑の美食体験、外苑前の「JULIA」が春のシーズンメニューを展開

魅惑の美食体験、外苑前の「JULIA」が春のシーズンメニューを展開

2017年にオープンした、外苑前のイノベーティブレストラン「ジュリア(JULIA)」。ニューヨーク・マンハッタンのミシュラン一つ星レストラン「グラマシータバーン(GRAMERCY TAVERN)」で修行したシェフのnaoと、日本ワインのペアリングを行うオーナーソムリエの本橋健一郎の夫婦が営む隠れ家的なレストランだ。 料理は、スナックやデザートを含み、アルコールとノンアルコールのペアリングが選択できる「OMAKASEコース」のみを展開する。国産食材とジャパニーズワインに特化し、ペアリングのワインありきで料理の内容を組み立てるというユニークなスタイルが特徴。フルーツや野菜を中心とした色鮮やかで軽やかなメニューで、多くの人を魅了し続けている。 2024年10月に発表された「ミシュランガイド東京2025」では、2年連続「セレクテッドレストラン」として選出され、フランス発の本格レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ2024」にも掲載。この春展開のシーズンメニューでは、旬の食材を使用した料理とペアリングで構成されたコースで、ジュリアだけの世界観が詰まった魅惑の美食体験を提供する。 Photo: Chikaru Yoshioka「鮪 | 大根」 Photo: Chikaru Yoshioka「雲丹 | 酒粕」 ビンテージ家具が並ぶ1階のラウンジで、まずは食前酒とスナックを堪能。自家製柑橘シロップによるノンアルコールと、長崎の五島列島で作られたスパークリングワインとともに、ハマグリとナノハナ、和がらしをアクセントにしたマグロの漬けのフィンガーフードを頬張る。最後のプレートは、北海道産のウニと酒カスを使ったチュロスという斬新な組み合わせだ。 Photo: Chikaru Yoshioka黒と白を基調とした内装 内装は、白と黒を基調としたモノトーンでまとめられ、色彩豊かな料理を一層引き立てる。ソムリエ・本橋の母親のニックネームが店名の由来となっているジュリアの根底にあるのは、愛のある食事で人を幸せにする母の姿。ラウンジには、その母親や、食材や生産者を訪ね日本各地を旅した旅行先での写真が飾られ、温かなストーリーを感じる空間が広がっている。 Photo: Chikaru Yoshioka2階のダイニング Photo: Chikaru Yoshioka「帆立 | 蕗の薹」 2階のダイニングに移動し、茨城県を中心に全国各地の食材による料理と、世界が誇れるジャパニーズワインのペアリングコースを満喫する。料理に合わせた梅干しのダシのノンアルコールと、茨城県産の白ワインとともに現れるのは、ホタテのフリットとキウイを合わせた前菜だ。春らしいフキノトウが添えられ、晴々しい緑がまぶしい。 Photo: Chikaru Yoshioka「柑橘 | 烏賊 | 昆布」 Photo: Chikaru Yoshioka「鰻 | 苺」 焼きミカンとカモミールを合わせたノンアルコールと一緒に口にするのは、「柑橘 | 烏賊 | 昆布」。昆布とイカ墨のソースとともに、スパイシーなカルダモンが印象的だ。ハイビスカスとイチゴのノンアルコールとともに登場するのは、炭火焼きのウナギに茨城県産のイチゴの「鰻 | 苺」。チーズのソースが添えられ、焼きたての蒸しパンとともにゆっくりと味わう。 Photo: Chikaru Yoshioka「蝦夷鹿 | 季節野菜」 ビーツやホウレンソウのソースと北海道産のエゾシカの「蝦夷鹿 | 季節野菜」は、余市の赤ワインや薫香を付けたノンアルコールとともに
ヱビスが荒木飛呂彦とコラボ、恵比寿に巨大美人画が登場

ヱビスが荒木飛呂彦とコラボ、恵比寿に巨大美人画が登場

2024年にオープンした「ヱビス ブルワリー トウキョウ(YEBISU BREWERY TOKYO)」で、漫画家・荒木飛呂彦による巨大美人画を展示する「美人画で巡るヱビス」展が、2025年2月13日(木)〜5月31日(土)の会期でスタートする。『ジョジョの奇妙な冒険』で絶大な支持を獲得し、世界中の人を魅了し続ける荒木ならではのダイナミックな色使いと構図で、現代的で活力に満ちた美人画を展示。また、会場限定の特別なオリジナルビールも販売される。 ヱビスビールの歴史を象徴する美人画 「ヱビスビール」は1890年に誕生し、その後美人画を広告ポスターとして展開。当時の美的感覚が反映され、ビールの高級感と優雅さを表現した美人画は、特別な体験を提供するブランドとしての地位を確立するための力となった。美人画は、ヱビスビールの歴史と伝統を感じる重要な要素であったのだ。 Photo: Kisa Toyoshimaヱビスビールの歴史を象徴する美人画の数々 会場では、当時の美人画を本展用に加工したものが公開される。 荒木による3メートルの現代版美人画を展示 続いて、『ビーチパトロール』と『ウエスタン』という2点の荒木による作品が、躍動感あふれる3メートルの美人画として登場。今回、初めて美人画というものを描いた荒木は、「美人」の概念から考えたという。そして、自身の漫画に登場するような、力強く意思のある表情の、活動的な女性キャラクターを描いた。 Photo: Kisa Toyoshima『ウエスタン』 和服の柄に場面や背景が描かれているのもユニークだ。ビビッドなオレンジ色に、太陽、イルカ、バナナといったトロピカル柄や、西部の荒野をイメージさせるウエスタンのモチーフがちりばめられている。 Photo: Kisa Toyoshima3メートルの美人画『ビーチパトロール』 ビールを飲んでいる人が、絵を見ながらどのように飲むかを想像し、ビールを楽しめる季節感や癒やされるシーンを表現したという。エネルギッシュで現代的な、全く新しいイメージの美人画には、「人生楽しくいこう、前向きに上がっていこう」という荒木のメッセージが込められているのだ。 Photo: Kisa Toyoshima荒木書き下ろしの恵比寿様 Photo: Kisa Toyoshima恵比寿様のスタンプ また、ヱビスの象徴である荒木書き下ろしのおめでたい「恵比寿様」も登場。恵比寿様をデザインしたスタンプは、訪問記念になるだろう。 数量限定の缶ビールやグッズは必見 『ビーチパトロール』と『ウエスタン』がプリントされた缶ビールは、2月12日から数量限定で発売される。缶に作品をプリントするのは初めてという荒木による華やかな缶ビールは、ぜひ手に取りたい。 Photo: Kisa Toyoshima2月12日から数量限定販売の缶ビール Photo: Kisa Toyoshima限定のグッズ 期間限定販売のグッズも必見だ。鮮やかで魅力的な美人画がプリントされたステッカーやTシャツ、トートバッグが並び、ファンにはたまらないだろう。 会場限定のオリジナルビールも また、荒木が命名した数量限定のオリジナルビール「受け継ぐ者」も、会場だけで特別に飲める。「ビールは物語」をコンセプトとし、1000年以上の長い歴史を持つドイツのホップと、最新品種を組み合わせた爽やかな味わいだ。 Photo: Kisa Toyoshima会場の風景 解放感あふれる広い館内で、楽しくビールを味わいながら、美人画も鑑賞できる本展。改め
早世の奇才・ビアズリーの展示が丸の内で開催

早世の奇才・ビアズリーの展示が丸の内で開催

25歳で他界したイギリスの画家、オーブリー・ビアズリー(Aubrey Beardsley、1872〜1898年)。彼は20歳で脚光を浴びてから、結核で亡くなるまでの5年半の間に、約1000点の作品を残した。10代から外光をカーテンで締め切ったロウソクの部屋で制作し、完成前の作品は限られた親しい友人を除いて誰にも見せたがらなかった。 丸の内の「三菱一号館美術館」では、そんな時代の花形であったビアズリーの生きざまを全て見せる大回顧展「異端の奇才――ビアズリー展」がスタートした。直筆50点を含めた約220点の作品が一堂に会する本展では、開幕前から平日の前売り券が完売となり、ロックスターのような立ち位置で人気のあるビアズリーの凝縮された画業を、余すことなく堪能できる。 スタイルの変遷を素描や代表作でたどる 10代半ばから家計を助けるため日中に事務員として働く傍ら、帰宅後に独学で創作を続けていたビアズリー。1893年に、トマス・マロリー(Thomas Malory、1399〜1471年)の『アーサー王の死』やオスカー・ワイルド(Oscar Wilde、1854〜1900年)の『サロメ』の挿絵で一躍脚光を浴びた。その後亡くなるまでは、凄まじい勢いで制作をしたが、作風は変化に富む。本展では、そのスタイルの変遷を素描や代表作でたどる。 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 初期の作品は相当精緻に描き込まれ、『サロメ』以降は画風を大胆に変更させている。余白を取り、白と黒の分割や線が鮮明に描かれ、シンプルで極めて洗練された作品が並ぶ。 Photo: Chikaru Yoshioka宣伝ポスターの展示風景 Photo: Chikaru Yoshioka「アングロジャパニーズ様式」の調度品も並ぶ ビアズリーが活躍した時代は、イギリスにおけるジャポニズムが流行した時でもあり、ビアズリーもその影響を受けた。モダンデザインにも通じ、ジャポニズムの影響とイギリスが本来持つ雰囲気を併せ持つ「アングロジャパニーズ様式」の調度品は、『サロメ』の挿絵にも表れている。 ロウソクで制作したアトリエ環境の再現 10代半ばから、ロウソクの明かりで制作していたビアズリー。そのスタイルは20代で成功した後も抜けず、昼間でもカーテンで外光を遮断した部屋で創作していた。その雰囲気を再現した空間が会場に登場する。 Photo: Chikaru Yoshioka制作環境を再現 赤い壁には、仕事部屋で制作する様子を描いた自画像『詩人の残骸』が掲げられ、ビアズリーの美意識がじわじわと伝わるだろう。 「18禁」の作品世界へ 1895年にワイルドが同性愛で投獄され、定収入を失ったビアズリーは、当時すぐにもうけになる性的な絵画を進んで制作した。ビアズリーによる黒猫が見張る黒の透けるカーテン越しの展示空間は、「18禁」の世界が広がる。 Photo: Chikaru Yoshioka黒いカーテンで仕切られている「18禁」の展示空間 Photo: Chikaru Yoshioka「18禁」の展示空間 また、かわいらしさという一般的概念に譲歩した初の作例『恋文』や、1895年の『愛の鏡』など、その後も尽きることない制作意欲で画風を変化させ、多彩な作品を残した。しかし、幼少期から患っていた結核が悪化し、後期はほとんど起き上がれず、25歳で他界する。 Photo: Chikaru Yoshioka『恋文』の展示風景 Ph
横浜美術館が全館リニューアル、より開かれた空間にアップデート

横浜美術館が全館リニューアル、より開かれた空間にアップデート

2021年から大規模改修工事をしていた「横浜美術館」が、2025年2月8日に全館オープンを迎えた。リニューアルを記念し、同館のコレクションを大集合させ、横浜の歴史をアートで見直す「おかえり、ヨコハマ」展が6月2日(月)まで開催中だ。 自由にくつろげるエリアが拡充した同館には、どんな人でも「おかえり」と温かく迎える空間が広がっている。 無料でくつろげるエリアが拡大 横浜美術館は、日本のモダニズムの巨匠と称される建築家・丹下健三が手がけ、1989年に開館した。丹下は、作品鑑賞する前にたたずんだり、展示室と展示室の間で一息ついたりする「目的を明確に持たないスペースこそが大切だ」と、同館の建築について語っていた。今回の改修に当たり、丹下が目指した美術館を今一度考えたという。 Photo: Kisa Toyoshima「グランドギャラリー」 Photo: Kisa Toyoshimaピンクの優しい印象の家具類 以前から展示室よりもフリースペースが多かった同館は、改修後、エントランスホール「グランドギャラリー」全体を見渡せる展示室前まで、無料エリアを拡張した。ピンクの石材が建築に使われていることから、キーカラーをピンクとし、優しい印象の家具を制作。椅子やテーブルがあらゆる箇所にちりばめられ、作品鑑賞に疲れを感じたら、光が降り注ぐスペースで気持ちよく休める。 Photo: Kisa Toyoshima飲み物を持ち込めるフリースペースの「まるまるラウンジ」 丹下は、外の広場も一緒に整備することで、館内と街をつなげ、市民が日常的にくつろげる場所を目指した。その目的をより可視化するため、中央の「まるまるラウンジ」は、飲み物を持ち込めるフリースペースとしても機能させている。鑑賞後の感想を言い合ったり、リラックスしたりと、好きなようにくつろいでほしい。 Photo: Kisa Toyoshima靴を脱いで利用できる「くつぬぎスポット」 Photo: Kisa Toyoshima大階段の彫刻の周囲にも座れる 「くつぬぎスポット」は、本棚に絵本も配置され、靴を脱いで利用できる。また、大階段の彫刻の周囲にも椅子が置かれ、作品を囲んで考えを巡らすなど、ゆっくりとした時間が過ごせるだろう。 企画展は縄文から現代まで「横浜」にフォーカス リニューアルオープン記念展の「おかえり、ヨコハマ」では、横浜という土地について真正面から考え、ローカルの歴史を深掘りし、そこに新たな視点を与え、歴史をアートで描いている。 1859年の開港時にいち早く遊郭が開かれ、敗戦後の占領下では米軍兵を迎える慰安施設が準備されたこの港町は、単なるローカルの歴史を探るには収まらない。女性、子ども、障がいのある人や多様なルーツを持つ人々に光を当て、この土地で一人一人が懸命に生きた証を見せる。 Photo: Kisa Toyoshima盾持人物埴輪(戸塚区上矢部町富士山古墳)古墳時代後期 横浜市歴史博物館 ※横浜市指定有形文化財 開港のイメージが強い横浜だが、はにわや土偶を取り上げ、縄文時代から横浜に人が生きてきた足跡をたどる。 Photo: Kisa Toyoshima常盤とよ子『路上』1954年 横浜美術館蔵 Photo: Kisa Toyoshima奥村泰宏『聖母愛児園の園児たち』1952年 横浜都市発展記念館 粟林阿裕子氏寄贈 戦後からは、写真家の常盤とよ子による赤線地帯の路上スナップや、奥村泰宏による、本国に帰った兵士と日本人女性との間に誕生し、街中で保護された子どもたちの写
2月に表参道・青山で開催されるアート展3選

2月に表参道・青山で開催されるアート展3選

ここでは、2025年2月に表参道・青山エリアで開催されるアート展をピックアップ。窪塚洋介の東京での初個展、川内倫子や濱田祐史らによるグループ展、浮世絵師・豊原国周の過去最大級の回顧展と、ジャンル別に厳選して3つ紹介しよう。この季節のアート散歩を楽しんでほしい。 身土不二 Yosuke Kubozuka, Courtesy of Akio Nagasawa Gallery 「Akio Nagasawa Gallery Aoyama」で、窪塚洋介の個展「身土不二」が開催。窪塚の初の東京での個展となる。 これまで大阪で2回の陶芸作品展を開催した窪塚。今回は陶芸作品に加え、自己の表現の幅をさらに広げ、ペインティングによる平面作品にも挑戦した。 会期中は、窪塚本人が参加するオープニングレセプション、トークイベント、クロージングレセプションといった計4回のイベントも開かれる。チケットは同ギャラリーの公式ウェブサイトから販売中だ。また、開催に併せて、作品集も刊⾏する。アーティスト・窪塚の創造的探求がどのように展開されるかを心待ちにしたい。 なお、開館・休館日と開館時間は週ごとに異なるため、詳細については公式ウェブサイトのカレンダーを確認してほしい。 ※2月11日(火)〜4月4日(金)/11〜19時(2月11日は16時まで)/入場は無料 Each View © Yuji Hamada アートギャラリー「ヘンキョー(HENKYO)」で、写真家の川内倫子、濱田祐史、そして日本で初展示となるペインターのクリスチャン・フランゼン(Christian Franzen)、朱麗晴(Liane Chu)を迎えたグループ展が開かれる。 それぞれの作品が、鑑賞者の視点によって異なる解釈を引き出し、具象と抽象の間に広がる曖昧な領域を探求する本展。写真が描き出すリアリティーや絵画が生み出す想像力が交錯することで、「見る」という行為そのものに問いを投げかける。 風景や光、色彩といった形状の断片が織り成す視覚的体験は、固定された意味を超え、鑑賞者の感性によって、新たな物語を生み出すだろう。 ※2月1日(土)〜3月1日(土)/12〜19時/休館日は日・月曜・祝日/入場は無料 生誕190年記念 豊原国周 豊原国周「加賀美山再岩藤」(個人蔵)前期展示 幕末から明治にかけての浮世絵師である豊原国周(1835~1900年)の過去最大級の回顧展が「太田記念美術館」で開催。これまで紹介される機会の少なかった知られざる巨匠・国周の、初期から晩年までの作品群約210点を展示する。 大迫力の役者絵や繊細で優美な美人画はもちろん、初期に手がけた武者絵から、風景画、最晩年の子ども絵まで、ジャンルと時代に偏りなく選定された作品を通して、国周作品の魅力に迫る。 注目は、代表作である『具足屋版役者大首絵』シリーズ12点と、初公開の肉筆美人画『遊女とほととぎす』(前期、個人蔵)。また、大酒飲みや破産宣告、117回の引っ越しなど、信じがたいようなエピソードに満ちている人物像も併せて紹介する。 国周の世界をじっくりと堪能してほしい。 ※2月1日(土)~3月26日(水)/10時30分~17時30分(入館は閉館の30分前まで)/休館日は月曜(2月24日は開館)、2月25〜28日日/料金は1,200円、学生800円、中学生以下無料 関連記事 『恵比寿のギャラリー「NADiff a/p/a/r/t」が3月に閉店』 『ヱビスが漫画家・荒木飛呂彦とコラボし「美人画で巡るヱビス」を開催』 『東京、2月のアングライベント3選
葛飾北斎のイマーシブな映像アートエキシビションが渋谷で開催

葛飾北斎のイマーシブな映像アートエキシビションが渋谷で開催

日本が誇るカルチャーに別の角度から光を与える、新感覚イマーシブエンターテインメント「HOKUSAI : ANOTHER STORY in TOKYO」が「東急プラザ渋谷」3階で開催。会期は2025年2月1日(土)~6月1日(日)まで。 浮世絵師・葛飾北斎をフューチャーした同展では、「映像×サウンド×触覚」で北斎の世界を全身で感じる、いまだかつてない圧倒的な没入体験ができる。 リアルに触感する体験 本展では、「山梨県立博物館」が所蔵する北斎の代表作シリーズ『冨嶽三十六景』を、文化財のデジタル化を手がけるアルステクネ社の最新の特許技術、DTIP(高精細疑似立体画像処理技術)を用いて制作。美術館のガラス越しでは見えないような、和紙の繊維の一本一本や掘られた線までもを確認できる。 Photo: Kisa Toyoshima「映像×サウンド×触覚」で北斎の世界を全身で感じる Photo: Kisa Toyoshima水面を歩くような感覚になれる床面 さらに、SONYの高度な触覚提示技術・ハプティクスが組み込まれ、足元が振動し、風が発生するといった映像と連動する演出が施されている。奥行き感のある音に包まれながら、リアルに触感する体験ができるのだ。 非言語で伝える北斎の魅力 誰もが写真では見たことがあるであろう北斎作品だが、本物の作品を見たことや、北斎自体について知る人は少ないかもしれない。プロローグでは、90歳まで制作し続けた生涯で、クロード・ドビュッシー(Claude Debussy)やフィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)にまで影響を与えた作品について、トリビアと年表も含めたパネル展示で紹介している。 Photo: Kisa Toyoshima北斎の作品風景に踏み入る「大地の間」 絵の中に入り込んだように、北斎の作品風景に踏み入る「大地の間」。歩くと水面の波紋が広がり、水たまりを歩くような感覚と音が返ってくる。風景と同時に床の感覚も変わり、パキパキと氷の上を歩いたり、ザクザクと雪を踏んだりしてみる。空を飛ぶ鶴の影も水面に写り、日本の風景の普遍的な美しさや風情も感じられる。 「風の部屋」では、たこや船の帆など、風を感じる北斎作品をシームレスにつなぎ合わせた世界が広がる。突風が紙を吹き飛ばし、疾走する人馬が間近に接近する。臨場感にあふれ、生き生きとした浮世絵の持つ立体感に驚くだろう。 Photo: Kisa Toyoshima雷鳴の音が響く空間 北斎の想像力を拡張した「北斎の部屋」は、代表的な作品をトリミングしたり、実際の稲妻や大波の映像が現れたりと、大胆に北斎の世界観を再解釈している。まっさらな和紙の表面、懸命に生きる江戸の人々、響く荒波と雷鳴の音、床から伝わる振動……。 Photo: Kisa Toyoshima北斎の想像力を拡張した「北斎の部屋」 そして、最後に現れるのは世界的に有名な『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』。迫力満点のエンターテインメントだ。北斎の一瞬を描く驚異の画力と、観察力のすごみも伝わってくる。 レプリカで作品自体の素晴らしさを 作品自体を堪能できる、マスターレプリカの展示エリアに入る。没入体験の後で、元の絵が違った印象に見えるかもしれない。人物の表情や背景の微細さまで観察でき、北斎作品の素晴らしさを今一度味わえるだろう。これらのレプリカは販売もされている。 Photo: Kisa Toyoshimaじっくりと観察できるレプリカ作品 Photo: Kisa ToyoshimaCOIN P
最新の研究成果も、ミイラやピラミッドの謎に迫る古代エジプト展が開催

最新の研究成果も、ミイラやピラミッドの謎に迫る古代エジプト展が開催

ミイラ、ピラミッド、スフィンクス、ツタンカーメン、クレオパトラ……さまざまなイメージを持ち、世界中の人々を強く魅了し続けている古代エジプトの世界。しかし、その3000年の歴史は未だ多くのミステリーに包まれている。 「森アーツセンターギャラリー」では、そんな謎を掘り起こす「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が、2025年4月6日(日)まで開催。質の高いコレクションが、最初にこの分野の収集を始めたニューヨークの「ブルックリン博物館」から来日した。 Photo: Kisa Toyoshima貴族の男性のレリーフ 彫刻、ひつぎ、宝飾品、土器、パピルス、そして、人間とネコのミイラなど約150点の遺物から、最新技術に基づいたピラミッドの研究成果までを通じて、高度な文化を創出した人々の営みをひもとく。 ユニークな出産や衣食住の謎 本展は「暮らし」「王族」「死生観」の3つのステージに分け、古代エジプトの謎に迫る。監修を務めたのは、気鋭の考古学者である河江肖剰(かわえ・ゆきのり)。彼が携わった最新の研究成果も本展で紹介し、知への探究心が呼び覚まされる空間が広がっている。 Photo: Kisa Toyoshima女性を描いた壁画 第1ステージでは、衣食住や、出産などの暮らしに焦点を当てる。例えば、サンダルは履物ではなく、社会的地位や宗教的儀式などの象徴であった。また、目の周りのアイラインのことを指す「コホル」は、目を邪悪なものから守る呪術的な意味を持つ。孔雀石(くじゃくいし)などをすり潰して目の周りに塗り、眼病を防ぐ目的もあったという。 Photo: Kisa Toyoshima第1ステージの展示風景 出産に関しては、出産してから3年間ほど母乳を与えるのがよいとされていただけでなく、母乳には治癒力もあると信じられていた。そのため、母乳をつぼに入れて保存し、クリーム状になった母乳を傷口などに塗っていたという。当時の常識がトリビアとして紹介されており、古代エジプト文化のユニークさと奥深さを発見できるだろう。 ピラミッドの知られざる内部構造 地球上で最も知られた古代建造物であるピラミッド。ピラミッド建造時、労働者が1個9500キロカロリーのパンを一日に数回支給されていたことや、ヒツジやビールなども数日に一度配給され、豊かな生活をしていたことが古代都市の発掘から判明している。 Photo: Kisa Toyoshimaピラミッドの内部構造に関する映像 また、3D計測や宇宙線ミューオンでの透視調査などの最新の研究結果から、これまで知られてなかったピラミッドの内部構造も展示。河江が発掘時に使用する「七つ道具」も並べられ、興味深い。 必見のクフ王の頭部 第2ステージでは、神の名前を冠し、巨大な権力を握っていた王を意味するファラオがテーマだ。その偉業や王朝史、王族の暮らしを紹介している。 Photo: Kisa Toyoshima花崗岩(かこうがん)でできた王の頭部 見どころは、大ピラミッドを作ったクフ王と考えられている、花崗岩(かこうがん)でできた王の頭部。クフ王の彫像は極めて少なく、スペイン、ドイツと、ブルックリン博物館が所蔵する3点のみである。また、身分が高い家以外は一夫多妻制であり、90歳ほどまで生きたラメセス2世には子どもが100人近くいたというトリビアなども面白い。 ミイラの作り方も分かりやすく解説 最後は、死生観にまつわる謎を紹介。永遠の命を得ることができると信じていた古代エジプトでは、ミイラとして肉体を保存することが重要だった。
堀内誠一のananや絵本の世界に没入できる展覧会が開催

堀内誠一のananや絵本の世界に没入できる展覧会が開催

立川の「プレイ!ミュージアム(PLAY! MUSEUM)」で、デザイナーでありアートディレクター、絵本作家の堀内誠一(1932〜1987年)の多岐にわたる世界観を紹介する「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」が、2025年1月22日(水)〜4月6日(日)で開催される。 「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」と3つのセクションが設けられる本展。それぞれの空間が、アートディレクションや絵本といった堀内が作り上げたおのおのの世界観を伝え、大人も子どもも楽しめる個性的で心踊るような空間が広がる。 自由で大らかな1970年代の『anan』 1947年の戦後の混乱の中、堀内は14歳で百貨店「伊勢丹」の宣伝課に就職する。プライスカードやウインドーディスプレーなどを制作することから始め、さまざまなデザインの仕事を経験。やがて広告制作会社で雑誌のアートディレクションを手がけるようになり、1970年、日本初となる大判の女性誌『anan』のアートディレクターに就任した。 Photo: Kisa Toyoshima「anan」45号、1972年©マガジンハウス ファッションを流行や装いだけにとどめず、音楽や食、旅行やライフスタイルなどのカルチャーをカラフルでビビッドな誌面で伝えた雑誌作りは、当時見たことがないような画面が飛び込む、革命的なものだった。 Photo: Kisa Toyoshima「FASHION」の展示風景 Photo: Kisa Toyoshima「anan」6号、1970年©マガジンハウス 「身にまとう」「脱ぐ」「リズムをとる」などもファッションとし、ファミリーヌードやふんどしの魅力、自由な野菜の食べ方の提案といった風変わりなページがいきなり登場する。ただのファッション雑誌と思わせない、生き生きとした実験的な魅力にあふれ、「今やりたいことをやろう」という堀内の熱意が伝わってくるだろう。 三島由紀夫のエッセイや澁澤龍彦の翻訳による文学など、女性ファッション誌らしからぬ読み物企画もあり、じっくりと読んでみたくなる。 絵本の世界観へ没入 紙に絵を描くことを創造の出発点としていた堀内は、100冊前後の絵本も残している。ファンタジーに対する関心が強く、空想や心に存在することを大切にし、存在しないものを絵を描くことで存在させ、色々な形でファンタジーを描いていた。 そんな堀内の絵本の世界に特化した「FANTASY」セクションでは、『ぐるんぱのようちえん』『オズの魔法使い』『くろうまブランキー』などの、迫力の大きな絵、魅力的な原画、幻想的な映像、約100冊の絵本が堪能できる。 Photo: Kisa Toyoshima絵本ごとに分かれている部屋 Photo: Kisa Toyoshima大きな絵で絵本の世界へ没入 一つの絵本に集中できるようにするため、セクションは絵本ごとに部屋が分かれている。絵本によって画風と画材はさまざまで、1人の作家が描いたとは思えないほどの変幻自在さに驚くだろう。 Photo: Kisa Toyoshima広場の空間には大きな像も Photo: Kisa Toyoshima靴を脱いでくつろげる広場の空間 「ぐるんぱ」の生毛も見えるほどに引き伸ばされた巨大な絵本が囲む広場では、絵本の中に入ったような気分になれる。堀内が愛した国内外の名作絵本や堀内自身の絵本が置かれた本棚コーナーもあり、ゆったりとファンタジーの世界でくつろいでほしい。まるで「ファンタジーの世界はこんなにも面白いものなん
インドネシアを拠点にする注目のアーティスト、今津景の初の大規模個展が開催

インドネシアを拠点にする注目のアーティスト、今津景の初の大規模個展が開催

初台の「東京オペラシティ アートギャラリー」で、インドネシアを拠点に活動する今津景の個展「今津景 タナ・アイル」がスタートした。会期は2025年1月11日(土)〜3月23日(日)まで。美術館での大規模個展は初となる本展では、インドネシアの神話、植民地主義、開発や環境汚染などを題材とした、生命力にあふれる67点の作品群から構成されている。 平面作品から巨大な立体作品まで 今津は、インターネットやデジタルアーカイブといったメディアから収集した画像をアプリケーションで加工を施しながら構成。その下図を元に、キャンバスに油彩で描く手法で作品制作をする。 2017年、アーティストインレジデンスをきっかけに、インドネシア・バンドンに拠点を移した。2022年にドイツの「ドクメンタ15」、2024年にタイの「バンコク・ビエンナーレ」に参加するなど、近年国内外で大きな注目を集めている。 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 Photo: Chikaru Yoshioka展示風景 本展のタイトル「タナ・アイル」は、タナが「土」、アイルが「水」を意味し、両方の言葉を合わせると「故郷」を指す。展示は、現在生活をするインドネシアと日本という2つの土地での経験と思考に基づく。 Photo: Chikaru Yoshioka映画のセットのような雰囲気の『Bandoengsche Kinine Fabriek』 血液の循環で表されたインスタレーション作品『Bandoengsche Kinine Fabriek』。近年地球温暖化に伴いその範囲が拡大しているマラリアと、その特効薬である「キニーネ」の植民地主義が潜む歴史を表現している。毒々しい映画のセットのような雰囲気が印象的だ。 インドネシアで取材した開発と環境汚染 インドネシアで生活する今津にとって、先進国で繰り返される資源の収奪や、その結果生じる環境問題は現実味を持つもの。「世界で最も汚染された川」と呼ばれるチタルム川や、エビ養殖業で知られるシドアルジョ一帯の天然ガス採掘現場で起こった泥火山噴出とそこの人々の生活など、現地を取材した作品を制作している。 Photo: Chikaru Yoshiokaエビ養殖業で有名なシドアルジョ泥火山をテーマにした絵画 Photo: Chikaru Yoshiokaマラリアをモチーフとした絵画 あらゆる生物、骨、植物などのモチーフなどがミックスされた今津の絵画群は、地球上のあらゆる問題がつながり合っているような、または、生命の循環を感じさせるような、ハッとさせられる瞬間がある。 生命が循環する神話の世界観へ インドネシアの神話に登場する「サテネ」という神が構える鉄のゲートを抜けると、ピンク色の床に巨大な絵画群、頭蓋骨や手の骨、身体の一部や植物を模したオブジェが配置されている。 Photo: Chikaru Yoshioka鉄のゲートのインスタレーションを潜る 「ハイヌウェレ」というインドネシアの神話から着想を得たもので、ハイヌウェレはココナッツから生まれ、自分の排せつ物から金銀財宝を生み出す力を持つという女性の名前だ。その力を恐れた島民たちによってハイヌウェレは生き埋めにされるが、彼女の遺体を切断し土地に埋めると、そこからさまざまな芋が育ち、島民の食を支えたという。 Photo: Chikaru Yoshioka巨大な頭蓋骨のオブジェと絵画 Photo: Chikaru Yoshioka身体の一部や植物のオブジェ 今津はこの神話を、フェミニズムや