ロサンゼルスには雨が降り続いているが、実際にはどろどろと溶け出した凍雨の厚板が粉砕されているようにも見える。本作は、華やかなレトロフューチャーな世界が描かれる壮大な物語であると同時に、シンセサイザーのダークな音色のようなものが渦巻いていた。2時間半を超える大作で、その独特の雰囲気に印象づけられる。
全体的に1982年にリドリー・スコットが発表したオリジナル版の『ブレードランナー』にとらわれている。オリジナル版と同様に、ギリシャの天才作曲家ヴァンゲリス(Vangelis)は立役者と言えるだろう。彼が手がけたテーマ曲は、作曲家ベンジャミン・ウォルフィッシュ(Benjamin Wallfisch)とハンス・ジマー(Hans Zimmer)の編曲によりアレンジされながら、ヴァンゲリスの特徴的な音響が歓迎の合図のようにビルの谷間に鳴り響く。
スコットの『ブレードランナー』では1940年代のノワールのミステリーが描かれたが、続編となる本作でも少々厳密すぎるまでに似せて描かれている。映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』によく似ているが、人々に愛されるDNAからクローン化したリブートであり、ファンとの架け橋になるべく、類似したアクションとドラマチックなストーリーになっているのだ。
ライアン・ゴズリングが演じるのは、人造人間「レプリカント」を取り締まる間抜けな捜査官K。ゴズリングが出演した映画『ラ・ラ・ランド』のファンは、歌やダンスはもちろん、笑顔さえも期待すべきではない。しかし、魅力的に体を張る演技を披露しており、プログラミングの限界を越えようとする葛藤を表現している。彼は白い部屋でロビン・ライト(Robin Wright)演じる不愉快な上司への報告に応じながら、発掘された遺体の謎を徐々に追跡し始める。そして古代メソポタミアのピラミッド型の神殿のような、輝く巨大建造物にたどり着く。
全く退屈しないストーリーだ。観客は、ハリウッドが莫大な予算をかけて風変わりな作品のひとつをアップグレードしたのを目にして感動するだろう。本作の魅力は、その設定を新たな領域に押し上げたことだろう。Kは彼と家庭を作るふりをするホログラムのパートナー(アナ・デ・アルマス)と感動的で性的に複雑な関係を築いている。途中で放射能を浴びたラスベガスの遺跡が登場するが、そこはエルヴィス・プレスリーやマリリン・モンローとはるか昔に失われた文化の残骸で溢れている(ベテラン撮影監督のロジャー・ディーキンスが高い技術で撮影している)。
白髪交じりのブレードランナー、ハリソン・
フォードに再会できることを明かしても構わないだろう。
彼によって、本シリーズは常に、発明品が持つ人間らしい部分や、
愛について描いていることを思い出させられる。監督のドゥニ・
ヴィルヌーヴは、映画『プリズナーズ』『ボーダーライン』『
メッセージ』
で親密な場面に異質さが存在する違和感を描いてきたが、
本作では空々しくなりうるストーリーに魂を吹き込んでいる。
新たな『ブレードランナー』は、
人間かレプリカントかの見分けがつかないが、
奇妙なハイブリッドであり、
それゆえに価値がある作品だ。
原文: JOSHUA ROTHKOPF翻訳:小山瑠美2017年10月27日(金)全国公開公式サイトはこちら