マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、アラン・アーキンら、トリプルパンチ級のベテラン俳優たちが、ブルックリンを舞台にした強盗映画に主演。本作は、1979年に製作されたジョージ・バーンズ主演の映画『お達者コメディ/シルバー・ギャング』のリメイクだ。ストーリーの粗雑さと活力のなさを感じるが、気晴らしするのにちょうどいい魅力的な作品に仕上がっている。
3人が演じるのは、
リタイア後の生活に翻弄されることに嫌気が差した高齢のトリオ。ケインが演じるジョーが銀行強盗をしないかと2人に持ちかけ、
ウィリアムズバーグ貯蓄銀行に強盗に入ることに決める。
物語の大部分で彼らが計画を練り、特訓を重ね、
完璧なアリバイを作る様子が描かれるが、映画『
終わりで始まりの4日間』を手がけた監督のザック・ブラフは、
奇妙な回り道をしながら深くは掘り下げずに、彼らの家族、
あるいはロマンチックな人生まで映し出していた。
映画『ドリーム:私たちのアポロ計画』を手がけたセオドア・
メルフィによる脚本は、
伝統的産業(3人とも元製鋼所工員だ)における締め付けや、高齢者への財政援助と家族支援の破綻について描写することで、現代社会の経済の行き詰まりについて軽く触れている。このような現実的なシーンは内容が薄く、心をくすぐることはなかった。それは映画全体にも言えることで、たとえば万引きや高齢者用の電動カートでの追跡劇などの場面もそこまで面白くない。しかし筋書きについて考えすぎてはいけない。
3人の名優たちは観客が彼らに求めるものをしっかりと届けている
。それ以上でもなく、
目新しくもないが彼らの親密性が奇妙な心地良さを生んでいた。
原文:DAVE CALHOUN翻訳:小山瑠美2017年6月24日(土)新宿ピカデリーほかにて公開