都市計画というタイトルにふさわしい、美しく整ったドキュメンタリーが完成した。本作は、監督マット・ティルナーの洗練されたタッチによって、ニューヨークの象徴的な幾何学上の対立が描き出されている。地図に目を落とし、神のような視点から自分が知らない地域を見下ろし、壮麗な高層ビルを上へ上へと建てる建築家のロバート・モーゼス。それに対して、都市研究家のジェイン・ジェイコブスは、人々の横のつながりを大切にした。彼女は1960年代にグリニッジの村を開発から守った、同地在住の先進的な記者である。
この戦い、どちらが勝ったのか?それは、ソーホーが街と街をつなぐ幹線道路に分断されず未だ健在だという事実が、ジェイコブスの闘志を今に伝えている。市民のジェイコブスは、性差別や経済的な苦しみなど、幅広い問題を提起してきた。しかし、すべてを理解していたわけではない。これほど人々が車好きになることを予見していなかったし、ティルナーは彼女の欠点を見逃している。ただ、中国やインドで次々と建設されている無機質な建物をみると、彼女の戦いはまだ終わっていないと分かるだろう。
2018年4月28日(土)全国公開