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映画『トワイライト〜初恋〜』を経て、映画に登場する吸血鬼はゴスなイメージになりつつある。ジム・ジャームッシュ監督が手がけた映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』に続いて、アナ・リリ・アミリプールは初監督作『ザ・ヴァンパイア 〜残酷な牙を持つ少女〜』を完成させた。彼女はロサンゼルスを拠点に活動する映画監督だが、今作にはデヴィッド・リンチの影響、マカロニウェスタン、男女間の政治闘争の要素が詰まっている。
物語の舞台は、奇妙な人々ばかりが住みついている「バッド シティ」と呼ばれる、ある種オルタナティブなテヘランの町だ。主に描かれるのは、父親の借金を受け継いだヒップスターのアラシュ(アラシュ・マランディ)と、本作のタイトルにもなっている残酷な牙を持つ少女(シェイラ・ヴァンド)が古風な感じで惹かれ合う関係だ。暗い色の唇をした少女は、その歯で噛みつく衝動を抑制するためには十分なほど孤独だった。プロットに見られる無気力さを、作品のスタイルが温め上げている。全体的に見ると、不気味なホラーと80年代ポップの融合によって陶酔感漂わせる仕上がりになっており、観客を引き付けることに成功している。