[title]
理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士は、「人工知能の進化は人類の終焉をもたらす可能性がある」と警告している。現状では、ロボットが人工知能であるかどうか判定する「チューリングテスト」で、人間が人と会話していると騙されるレベルまでは、テクノロジーは進化していない。しかし、脚本家、小説家であるアレックス・ガーランドの監督デビュー作『エクス・マキナ』では、まさにそのテクノロジーが誕生する瞬間が描かれるのだ。
本作で、完全な人工知能の誕生については、かなり内密に描かれる。優秀なプログラマーのケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、彼が勤務するシリコンバレーの企業を経営する巨万の富を築いたカリスマ社長(オスカー・アイザック)が所有する山間の別荘を訪れることに。ケイレブに与えられたタスクは、上司の新たな発明のテストに協力することだ。LEDが光を放ち、サーボメーターを装備したロボット「エヴァ」(アリシア・ヴィキャンデル)は、しなやかな女性の体型と、天使のように美しい容貌を持ち合わせていた。ケイレブは説得を聞かず、エヴァに夢中になり、彼女と気まぐれな大酒飲みの発明家との関係を知るにつれて彼女の将来を心配するようになる。
この物語には、ロマンスとディストピア、そしてスリラーの要素が含まれている。アレックス・ガーランド監督によってアートシアター系映画の進度で展開し、思慮に富んだ人間と機械の対話が続くことで、観客は筋道が浮かび上がるまで待つことができる。なによりも、アリシア・ヴィキャンデルが演じる魅力的なアンドロイドからは、目が離せなくなってしまうだろう。しかし、突然に停電が起きるなど、露骨なまでに意外な展開やぎこちない進展が見られ、ストーリーから信憑性が失われていた。もう少々高度な知能が備わっていれば、おそらく仕上がりも改善されただろう。