フランス出身のコラリー・ファルジャによる、フェミニズムの要素を加えてレイプ犯への報復を描くウルトラ バイオレンス スリラー作品。ファルジャは、本作で長編監督デビューを果たした。この手のジャンルはたいてい不快で搾取的だと感じる人にこそ、鑑賞してほしいと言える。ただし、食肉処理場並みに血があふれ出るのに抵抗がない場合に限る。2017年のトロント国際映画祭では、上映中に気絶者を救助するために救急医療隊員が駆けつける一幕もあったという。
マチルダ・ルッツが演じるジェニファーは、バービー人形の恋人ケンのような下顎の輪郭を持つ、大富豪の社長リチャード(ケヴィン・ヤンセンス)にとって自慢の恋人だ。彼が狩猟仲間と年に1度の旅行に出かける前に、2人は砂漠地帯に建つ豪華な別荘を訪れる。ジェニファーは狩猟仲間が到着する前に帰るはずだったが、彼らは1日早く現れ、彼女はレイプされたあげく、崖の下へと突き落とされて死にかける。映画『キル・ビル』のブライド(ユマ・サーマン)と『トゥーム・レイダー』のララ・クロフトを足して割ったような主人公は、復讐心を燃え上がらせるのだった。
興味深いのは女性監督が、女性ならではの視点で、物語を描いているということだ。監督のファルジャはレイプを引きずるわけではなく、それを引き起こした原因に興味を持っている。レイプ犯の権利意識や、「まあ、彼女が求めたのだろう」と肩をすくめるような仲間の反応などだ。とにかくバイオレンス演出が満載。個人的には救急車を呼ぶ必要はなかったものの、血みどろの場面ではスクリーンを直視できずにうつむいてしまった。
原文:CATH CLARKE
翻訳:小山瑠美
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2018年7月7日(土)全国公開