Pan

レビュー

PAN ~ネバーランド、夢のはじまり

4 5 つ星中
ジョー・ライト監督が手がけたファミリーアドベンチャー映画は、J・M・バリーの原作に基づきながら、少年がピーターパンになった経緯を壮大なストーリーで描いている。
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Dave Calhoun
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タイムアウトレビュー

スティーヴン・スピルバーグが監督を務め、ロビン・ウィリアムズが大人になったピーターパンを演じた映画『フック』や、ジョニー・デップが作家J・M・バリを演じた映画『ネバーランド』など、ピーターパンの物語からインスピレーションを受けた作品は過去にも生まれてきた。映画『つぐない』で知られるジョー・ライト監督が、初めてファミリー映画を手がけ、少年がピーターパンになった経緯と理由を想像しながら「起源」を描く。キャラクターは同様だが(ダーリング家が登場する前の物語だ)、ストーリーが新鮮で、ピーターの両親の素性や、彼らが1930年代のロンドンで孤児院に息子を置き去りにした理由にも着目している。本作『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり』は、賑やかで、活気に溢れ、カラフルで、アイディア満載だ。それらすべてが調和しているわけではないが、大胆で、時にエキセントリックでもある。 

本作では、1940年代の第二次世界大戦時の陰鬱なロンドンと、壮大かつ無秩序なスケールで描かれた多彩な色が溢れるネバーランドがつながっている。この幻想的な世界に、ピーターパン(新人リーヴァイ・ミラーがいきいきと演じる)ら主要キャラクターが登場するのだ。子どもたちをさらってくる海賊の黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)は、ひねくれ者で芝居じみている予測不能な悪役として、ニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』を歌いながら盛大に登場する。「フック船長」になる前のジェームズ・フック(ギャレット・ヘドランド)は、若きインディ・ジョーンズのようにネバーランドにやってきたが、鬱陶しいまでに活動的だ。タイガー・リリー(ルーニー・マーラ)は、穏やかで強く、女子の人気を集めるのは間違いないだろう。また、タイガー・リリーを通して、本作を別の観点から見ることができる。彼女はあきらかに21世紀を描いたあらゆる人種や肌の色が混在する先住民を率いており、それはビクトリア朝時代を描いたJ・M・バリの小説をジョー・ライト監督が脱皮させている部分のひとつだ。 

本作は表面的には熱狂的に描かれているが、分かりやすいキリスト教のメッセージも潜んでいる。ピーターが探す母親はメアリー(アマンダ・サイフリッドが回想シーンで登場する)であり、「妖精の王子と人間の女の子の愛」の話が登場する。豊富なアイデアが詰め込まれており、すべてがまとまっているわけではないが、でたらめな奇跡を描いて若い観客に小さな不安を抱かせることもなく、観客は楽しみながら想像する経験を味わえる。

2015年10月31日(土)TOHOシネマズ新宿ほか全国公開

公式サイトはこちら

テキスト:Dave Calhoun

翻訳:小山留美

©2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

リリースの詳細

  • 公開日:2015年10月16日金曜日
  • 上映時間:111 分

出演者と制作者

  • 監督:Joe Wright
  • 脚本:Jason Fuchs, JM Barrie
  • 出演:
    • Hugh Jackman
    • Amanda Seyfried
    • Rooney Mara
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