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若き監督デイミアン・チャゼルが、アカデミー賞を受賞した映画『セッション』に続き、『ラ・ラ・ランド』を完成させた。本作は、ロマンチックかつスタイリッシュで、果てしなく独創的な最高傑作だ。大人向けのミュージカル映画とも言える本作は大袈裟に描かれておらず、それどころか、ジャック・ドゥミ監督による映画『シェルブールの雨傘』やスタンリー・ドーネン監督による映画『雨に唄えば』にも通じるような作品が、ロサンゼルスに広がる半分夢のような世界で描かれており、ロマンチックな愛の浮き沈みをいかにもハリウッドらしい陽気な寓話として凝縮させている。
恋に落ちる主人公たちを演じるのは、人気俳優の2人。ライアン・ゴズリングはジャズ純粋主義者の売れないピアニストで自分の店を持つことを夢見るセブ、エマ・ストーンは映画スタジオのカフェで働きながら女優を目指す快活なミアを演じる。冬から秋、そしてまた次の冬を迎えるまでの物語が描かれており、その間に2人は出会い、口論し、戯れ合い、恋に落ち、それぞれの情熱と恋愛の間に生じる葛藤と向き合うことになる。
本作で描かれるロサンゼルスの風景は、ジャック・ドゥミ監督と画家エドワード・ホッパーの融合だと表現できるかもしれない。すべてが淡い色調で描かれ、柔らかな光や薄明かり、街灯が映し出される。セットで再現されているが、時代を越えて1950年代の雰囲気がどことなく漂う。まるでミュージカルの黄金期が、独自のタイミングで訪れているようだ。夢心地でありながら横目で劇中劇のように見つめる視点がもたらされており、デヴィッド・リンチ監督が手がけた映画『マルホランド・ドライブ』、あるいはテレンス・マリック監督が手がけた映画『聖杯たちの騎士』のような歪んだ作品に少々通じる。しかし本作は、もっとずっと楽しくて寛大な作品だ。芸術にかける情熱と陶酔するような恋愛は共存が可能であるように描かれ、歌やダンスへの転換が大真面目かつ楽しく描かれている。
2017年2月24日(金)より全国公開
テキスト:DAVE CALHOUN
翻訳:小山瑠美
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