アレハンドロ・ホドロフスキー自身の出生を描いた映画『リアリティのダンス』の続編となる『エンドレス・ポエトリー』。鬼才ホドロフスキーが87歳にして、抑圧的な父親との関係と、クリエイティブな気質を証明する物語を感動的に描いている。映画『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』『サンタ・サングレ/聖なる血』など奇異な作品を生み出してきたホドロフスキー。本作では、過去作品に関する予備知識は不要だ。普遍的な魅力をもつ作品が完成した。
観客は心を開き、保守的で暴力的な父親から逃れ、詩人やアウトサイダー、サーカス芸人らと交流しながら、人生の歩むべき道を見つけようとする20代のホドロフスキーを見守ることとなる。家族を上手にいかしており、ホドロフスキーの息子アダンとブロンティスが監督本人と父親の役を演じている。そして、フェデリコ・フェリーニ作品のひとつの特徴である、ピエロと豊満な女性への偏愛をホドロフスキーは本作で分かち合っている。
充実した人生を送ることを描いた本作では、色彩豊かで芝居がかった場面が多く見られる。そのシーンひとつひとつは、一流の撮影監督クリストファー・ドイルによって見事に表現されていた。エピソードに溢れ、長く、少々自己陶酔した作品ではあるが、巨匠は情熱を注ぎ込みながら、驚くほどに感動的で純粋なフィナーレまでを描き上げている。
原文: TREVOR JOHNSTON
翻訳:小山瑠美
2017年11月18日(土)新宿シネマカリテ、渋谷ヒューマントラストシネマ、渋谷アップリンクほか全国順次公開
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